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項羽と劉邦から礼節を考える 日々のノート9

人の能力と成果を引き出すため、
ビジネスにおける礼節の大切さについて中国の故事から引用する。

項羽と劉邦


昔々、紀元前の中国に、項羽と劉邦という人物がいました。

結論から言うと、この二人は戦って劉邦が勝つのですが、
この劉邦は大変人情に厚く人望があり、今の中国の礎と言われる、漢という国を築きました。今の漢字や漢民族の元となった中国の歴史上でも屈指の大帝国です。

一方、項羽は大きな力を持っていましたが、家臣を粗雑に扱ったために人望が無く、家臣が次第に離れていき、敗れ去りました。

ここで劉邦が勝った要因となる一つのターニングポイントがあります。

「賢人」の抜てきです

漢に勝利をもたらした最重要人物に韓信(かんしん)という人間がいます。

この人が国士無双(こくしむそう)と言われた人物です。
麻雀の役名にもなっていますね。

この韓信が初めて漢の国へ訪問した時に、
劉邦やその家臣である丞相・蕭何(しょうか)は、目の前にいる韓信をとても粗雑に扱いました。

そこで、韓信はこう言いました。

韓信「私は急に田舎に帰りたくなりました。」

蕭何「はて?どうしてかな?」

韓信「賢人を求めるには礼を以ってすべし”と云う言葉をご存知ですか??」

しかし、蕭何はその意味を知らず、韓信は昔話を引用して説明を始めました。

琴の名人と斉王の話

昔、斉の国の王は、非常に琴を聴くのが大好きであった。
斉王は、日頃から琴の名人の演奏を聴くのを楽しみにしていたので、とある名人に、再三に渡って、宮中で琴の演奏をして欲しいと、使者を出して口説いた。名人は、斉王の願いを聞き入れ、遥か遠方より、宮中へ参りました。

斉王は琴の名人を前にして
「そなたは名人と聞く。早速、琴の音を聴かせよ」と、命令した。
それに対して、名人は相手の王に対して、

「王様は琴がお好きで私の琴の音を聴きたいと云うことでしたので、私は宮中へ参りました。それに対して王様は、私に向かって“さぁ琴を弾け”と、下男に命令するがごとくおっしゃいます。私は自分を卑しくしてまで琴を弾きたくありません。」

更に続け

「もし、王様が、本当に琴の音を聴きたいのであれば、香を焚き、座を設け、礼を見せてくださらねばなりませぬ。それでこそ、私も王様の為に心を込めて琴の音を奏でることが出来ます。

それを聞いた斉王は、即座に自らの非を率直に認め、直ぐに、態度を改め礼を尽くして名人をもてなし、名人もその王の礼節に答えて心を込めて琴を奏でることをしたそうです。

蕭何に対して、韓信が言いました。

「この様に、琴を弾く者ですら、自らを卑しくしてまで王の側に立つことを恥としたのです。王でさえ態度を改めたのに、まして丞相ごときが国のために賢人を必要としている大事な時に、座を設けることもしないでおごり高ぶり、賢士に会おうという態度をみて、私は失望しました。それ故、田舎に帰りたいと申したのです。」

蕭何は姿勢を改め、韓信に対し礼節を尽くし、劉邦も韓信を抜擢し、
項羽を倒し、漢帝国を打ち建てたのでした。

教訓

このように常に礼節を以て人と接することは将来的に大事を成すためにも忘れてはならないことと言えます。

まとめると

立場がどうであろうと、賢人には礼をもって接するべし。

受け手に礼節がなければ、芸術も技術も本来のかたちを見せることはできない。

技術提供者は賢人と思われるような姿勢、立ち居振る舞い、商品提供をすることが大事である。

こんなところでしょうか。

立場の上下に関係なく、礼節を重んじている組織は強いはずです。

礼節があることにより、その組織の技術は引き出されていくことでしょう。




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