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夏の夜の夢 ボクが思い描くこと

今年の夏は何かが足りない。


引き際を忘れた蝉が息絶え絶えな声をあげている。
出どころを間違えた鈴虫が威勢よく鳴いてる。
自分たちの時代がきた蛙たちは大合唱。


でもいつもの夏の夜にはないものが、決定的にかけているものがある。


長雨が続いた梅雨は8月に入ると同時に一気にあけて、決壊したダムのように夏の到来を知らせる暑さが一気にボクの身の回りにやってきた。

1年ぶりの暑さにボクの身体は多少驚いたけど、こんな日が1週間も続けばいつの間にか『本当に暑くてやんなっちゃうよね』なんて減らず口をつけるくらいには慣れてきた。


ボクは梅雨時期から引き続き砂浜へ通っている。

昼間の暑さは確かに厳しいけど、夕方にも慣れば少し暑さも和らいで、水面を吹き抜ける風はボクの身体にじめっとした湿気と多少の涼しさを与えてくれる。


もうすぐ日が暮れる

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日没は人類がこの世に生を受けてから今までずーっと悲哀を与え続けてきた。でもボクにとって夏の夜だけは少しのワクワクを与えてくれていたのが事実。


でも今のボクにとって、夏の夜はこれまでと同じように寂しさしか残ってない。


暗幕が東からやってくる

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ボクのそんな気持ちを知ってか知らずか、あいも変わらず今日も日は暮れる。東の空から真っ黒な闇がボクを中心とした全天球を覆い始める。

黒の闇に包まれたボクは少しずつ目が慣れてくると、黒の闇はそのうち青の闇になってくる。

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いつもと違う今年の夏

今年の夏はいつもの『音』が足りない。

ボクの夏はこの『音』が聞こえてきて始まって、この『音』が消えることで終わる。


そう。今年は秋季祭礼がないんだ。


ボクが生まれてから初めての秋季祭礼がない夏。
ボクの夏は始まってないし終わらない。


だからボクは
今日もポートレートを撮りにいく。

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