現代詩

〈娘の四季〉

結婚したから
といって
知らない誰かに

娘が

知らない場所で

痛い思いを
するのは
嫌だ

あの日は
深い
鍋を
被った
ような
夜が明けて

遅い昼を
手練れの
まかないに
急がせた
はずなのに


たっぷりと
暮れた
次の夜を
もう
その身
一つに
迎えている

そのうちに

薄衣の夏を越して
おのづから
秋を見送り
鞭のように
峻烈な
冬に籠る 


やがて

見知らぬ
若い女の
しなやかな
その身から
柔らかい
芽が
伸びてゆく

霞みたなびく
春の

どこまでも

父である
ぼくの
決して
見ることのない

空へ











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