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個人的に秀逸すぎた心理描写 百田尚樹「プリズム」


はじめに

こんにちは。田中です。百田尚樹のプリズムという小説を読みました。読んでいて個人的に印象深かった部分を、内容を読んでいなくても伝わるようにまとめました!

素直な子供心

「その子のどこが好き?」
修一は少し考えて、「全部」と答えた。
「全部? いやなところはないの?」
「ない。全部好き!」
修一は力強く言った。その顔は、彼女の名誉を守るために戦う騎士の顔だった。

百田尚樹「プリズム」

主人公の家庭教師をしている女性と、小学5年生の男の子との会話シーンです。微笑ましいですね^^
子供ならではの気持ちの良い素直さが表れていていいなと思いました。大学生の僕は今、大人と子供が半分ずつ半分ずつ混じっている状態です。中途半端な僕は、好きな女性のどこが好き?と訊かれたら納得してもらえる回答を頑張って考えてしまうと思います。でも小難しいことは考えず全部好き!と言い切れる方が、スッキリしていいですね。堂々言えたらもっとカッコ良さそうです。素直に気持ちを表現することの大切さを考えさせられたシーンでした。

気付かないふり

「あんな庭だなんて——」
私は言った。
「こんな素晴らしいお庭は初めてです」
「ありがとうございます」
夫人は微笑んだが、その笑顔にはどこか複雑な気持ちが入っているように見えた。私はそれに気付かないふりをした。


百田尚樹 「プリズム」

家庭教師をしている主人公が家のお庭を褒めるシーンです。夫人には庭についてあまり触れられたくないようですね。主人公はそれに気付きつつも、うまくスルーしたようです。日常でもこんな状況ありますよね。相手と距離感をとりつつ、地雷は回避する… 僕は結構会話の違和感とかに気付くタイプなので、あるある〜と思いつつ読んでいました。人間関係において距離感の取り方ってすごく難しいと思うのですが、主人公の経験値を物語っているところだなと思いました。

自分にこんなことをさせる存在

二日間、携帯電話の電源はほとんど落としていた。そして数時間ごとに電源を入れ、留守電が入っていないのを確かめて、ほっとした。でも同時に、自分にこんなことをさせる卓也が憎らしく思った。

百田尚樹 「プリズム」

嫌いな上司や、恋焦がれる異性。なかなか頭の中を離れない存在ですよね。こんなことを考えていると嫌になりますが、つい考えてしまう。しかも相手はそんなことはつゆ知らず。自分だけ消耗してしまうのが悔しくなってしまいます。個人的にとても共感した描写でした!

最後に

恋バナが好きなので、恋愛描写を多くセレクトしてしまいました笑。百田尚樹さんの作品は普段本を読まない人でもスラスラ読めてしまうので、気になった方は読んでみてくださいね。本を読んでいると、これまで言語化できなかったが日常的に抱く感情が見事に描写されていて拍子抜けしてしまうことがよくあります。これからも面白かった本や感心した描写をまとめていくので、いいねとフォローをよろしくお願いします(≧▽≦)


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