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【Steve* クリエイティブ酒場】 第1回(後編) 「僕らSteve*なんで全部できます!」と言いたい

日本のどこかにお酒を酌み交わしながら、腹を割って語り合える一夜限りの酒場があるーー。その名も「Steve* クリエイティブ酒場」。ブランディングや商品開発を企業と一体となり行うクリエイティブカンパニー、Steve* inc.の代表取締役社長で唎酒師でもある太田伸志が、今語り合いたいクライアントをおもてなしする特別な席。

今回も第1回(前編)に引き続き、「HOPPIN’ GARAGE」(ホッピンガレージ)のプロジェクトでご一緒しているサッポロビールマーケティング開発部のグループリーダー・清水英孝さんをお迎えしています。

後編では、クリエイティブにかける二人の想いやSteve*の未来像を語り合いました。

■プロフィール

今回のお客様:サッポロビール株式会社 清水 英孝(しみず ひでたか)

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大学卒業後、化粧品メーカーでマーケティングに没頭して働いてきた後、酒好きが高じて2014年サッポロビールに入社。クラフトビール事業・ブランドの立ち上げ、Amazon・LOHACOチャネルの販売戦略や自社ECの運営などを経て、2020年から新設の新規事業開拓室にて、新たなビジネスの開発とグロースに携わり悪戦苦闘中。

オーナー:太田 伸志(おおた しんじ)

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株式会社スティーブアスタリスク 代表取締役社長。宮城県出身。クリエイティブディレクターとして、広告企画や商品開発を多数手がけると同時に、大好きな地元、東北を中心にした地域ブランディングにも積極的に取り組む。また、武蔵野美術大学や東北学院大学の講師も歴任するなど、大学や研究機関との連携にも力を入れている。作家、唎酒師としても活動。『アニメ 大福くん』脚本執筆、Pen Online『日本酒男子のルール』連載、七十七銀行FLAG『大学で教えてくれないことは東北の居酒屋が答えをくれる』連載など。 


■まるでサッポロビールさんの社員になった気持ちで

太田:清水さん、グラスがもう空いている感じですね? 次に楽しんでいただきたい日本酒を、先にご紹介してもいいですかね。

清水:ぜひ! お願いします。

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太田:ご用意したのは、僕の古里・宮城県は塩竈市にある蔵元、阿部勘酒造店の純米吟醸「夏酒 金魚ラベル」です。海の近くで製造されていて、あまり東京では見かけない渋いお酒なんですよ。

清水:う〜ん、うまい! 夏っぽい爽やかな軽さがあって。ちょっと塩気を感じるね。気のせいかもしれないけど(笑)

太田:塩竈には他にも有名な酒造があって、「阿部勘」はその中では少し地味なお酒なんですが、味はね、最高なんですよ。今日お持ちしたのは夏吟醸で、ボトルの反対側から見るとラベルの裏に金魚が描かれていたりという粋なひと工夫もあって。

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清水:本当だ! 粋だねえ。まるで金魚鉢を見ているみたい。やっぱりパッケージ、見た目っていうのは本当に重要だよね。「HOPPIN’ GARAGE」(ホッピンガレージ)でも太田さんたちに頑張っていただいていますけど。

太田:そこはね、絶対こだわり抜かないといけないところです。でもパッケージデザインだけではなくて、CI(コーポレートアイデンティティー)の作成とか、クリエイティブのあらゆる部分でサッポロビールさんと一心同体になって取り組んでいますからね。

清水:まさにそうだね。私たちとしてはホッピンガレージは、あくまでも一新規事業という位置付けなので、うまくいかなければ、それでもう終わってしまう。軌道修正のために別のクリエイティブの制作会社に変えれば良いという話ではなく、事業自体がストップしてしまうことになるから、Steve*さんとはまさに運命共同体だと思ってますよ。

太田:そういう意味では、僕自身も「仕事を受注している」という感覚ではもはやなくて、自分たちの事業と言っても過言ではない想いで取り組んでいます。クライアントさんとの境目すら分からなくなるくらい(笑)。サッポロビールさんの現場の若手の方々と打ち合わせをする際は、僕が清水さんの想いを代弁している感じすらある。清水さんをリーダーとするチームの一員になって働いているうちに、まるでサッポロビールさんの社員になったかのような感覚。

清水:疑似社員体験をしてくれているならもう気付いているかもしれないけど、うちの会社って100年以上の歴史があるから、たまに「めんどくさいなあ」って思うことはない?

太田:いえいえ、そんなことはないですよ(笑)。100年続いてきた歴史とか、その間に積み上げてきたことにはすごくリスペクトしています。

清水:それなら良かった(笑)。Steve*さんにはブランド単体の世界観はもちろん、うちの会社のトンマナ(トーン&マナー)もすごく大事に制作いただいているので、安心してお任せしてます。こういう信頼関係は、クリエイティブを依頼する上での一番の根幹だからね。そこが揺らいでしまったら、パートナーとしては成立しない。たまに難しいことを言ってしまうこともあると思うけど。

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太田:全然大丈夫です。難しいことをクリアするのがクリエティブですし、難しそうなアイデアを実現するために社内の関係者の方々を説得することも含めて、僕たちのクリエイティブだと思っているので。相手の想いを実現するためのことであれば、何だって全力でやりますよ。

清水:ありがたいねえ。クリエイティブの良し悪しというのは、定量的には分からないものだからこそ、日頃のコミュニケーションなど目に見えない部分も大事になる。些細なことでも気軽に対面で聞けるような距離感や関係性が、やっぱり理想なんだろうと思うんだよね。

太田:そうですね、将来的には週変わりでうちの社員の誰かを出向させてもらえたりしたら嬉しいですね(笑)。


■僕たちが目指すのは、世の中にまだ存在しない会社

清水:ホッピンガレージもローンチから3年目を迎えて、徐々に成長フェーズに入りつつある。今までは「ビール文化を広めること」に主眼を置いていたけれど、今は少しずつ、事業として会社に貢献する段階になってきていて。そうするとどうしても葛藤してしまうのが、ブランディングと利益の関係なんだよね。これまで育ててきたブランドを大事にしながら、どうすればより多くの方に買っていただける商品やサービスになるのか。最近はそこをずっと考えている。

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太田:そこは清水さんたちと一緒に僕らも考えていかなくちゃいけないところです。ブランドの世界観を保ちつつ販促につながるようなアイデアを出していくというのも、僕たちの役割。

清水: そこには一緒に超えなくちゃいけないハードルがあるよね。ECサイトやSNSで広告を発信する時にも、しっかりとブランドの世界観、ホッピンガレージらしさを忠実に表現するのが大切だということは、分かってるんだよね。だけど、クリエイティブの世界観といった“らしさ”が担保されていることが、そのままユーザーや消費者の行動につながるかと言うと、必ずしもそういうわけでもない。インターネットやSNSの広告の世界ではむしろ、もっとシンプルに目をひくフレーズや、インパクトのあるビジュアルの方がクリックされやすい傾向にある。これはね、一つリクエストになってしまうんだけど、Steve*さんにはブランドの世界観をきっちりと守りながら、そういう世の中の消費者の傾向にも応えられる強い術を持っていただきたいんです。そしたらもう、鬼に金棒かもしれない(笑)。

太田:ありがとうございます。そこは確かに課題です。でも「これもできたらいいのにな」というリクエストは、僕たちのモチベーションにもつながるので言っていただけて嬉しいです。

清水:ただね、逆に言うと、「ブランドなんか気にせずに、とにかく商品を売ってください」みたいな仕事があったら、俺は太田さんには絶対頼まないんだよね(笑)。太田さんにやってほしいのはそういう仕事じゃないから。

太田:ええ! 僕はそういう仕事だって清水さんと一緒にやりたいですよ。目指したいのは「ブランドの世界観を作り込む、かつ、むちゃくちゃ売れる」なので。将来的には「NEW 黒ラベル」とか、売れなければならないという課題を持つメジャーブランドのブランディングにも本気で挑戦してみたいです。個人的にはブランドやサービス、そして商品の世界観を作るという話と、世に広めて販促につなげるという話は、同じ土俵にあると考えているんです。デザインは「わかる人にだけわかる」という仕事ではないので。清水さんには言っていることですが、僕が将来的に社員を100人とか、1000人にしていきたいと思っている理由はまさにそこで。一見対立構造に見える命題をあらゆるルートを探って全て繋げて、クリエイティブファーストで進められる会社というのは、世の中にまだ存在しないと思っているんです。僕はSteve*をそういう会社にしたい。経営戦略や、営業や、プランナーや、デザイナーなどのような役割分担、それらは一見別々の仕事だと思われているかもしれないですが、僕は全て一緒にできると思っているし、同じ目的を共有できるだけの「じぶんごとの経験」が集まっていく組織こそ、本当に人数の多さを武器にできると考えているので。そこには力を入れていきたいです。

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清水:すごく楽しみ。今は「SNS広告だったらこういうフォーマットを使いましょう」というテクニックを謳う方々もいるけれど、Steve*さんにはそうしたものを凌駕するようなノウハウや経験を持ってもらうことを期待してるんです。


■全てのクリエイティブをつなげるために境界を超えていく

太田:役割の話で言うと、いつ誰が決めたのか分からないんですが、世の中には「俺は建築家なんで」「私はマーケターなんで」「僕はデザイナーなんで」というような分業体制が、なぜか当たり前になっていますよね。個人的にはこの体制が本当に良くないと感じていて。

清水:確かに。

太田:例えばデザイナーの仕事も、狭く深くやるべきという考えが強い。でも実際は、一台のパソコンさえあれば、建築の図面だって引けますし、文章も書けます。知り合いに連絡も取れるし、世界中のデータだって参考にできる。会社でも、今は映像は映像会社、グラフィックはグラフィック会社、プロダクト販売は販売の会社に依頼するという体制が主流ですけれど、プロダクトを作って、販売場所を決めて、プロダクトの魅力を世に紹介するために映像をつくるというのは本来、根っこの部分で全てつながっているはずだと思うんです。

清水:そうだよね。もちろん、一人一人の職能としての分業だったり、得意な分野というのはあっていいわけだけど、だからと言って最初からそれぞれの領域だけに狭めて仕事を割り当てるのは少し違う。だからこそ私は、クリエイティブに携わるメンバーにも、プロジェクトの企画段階から入ってもらって、企画そのものを「じぶんごと化」してもらうようにしてる。そして自分たちがクリエイティブを制作する場面をイメージしてみて、何か少しでも疑問を感じた時には、その時点で意見を出してもらう。そうすると企画の統一感が増していくし、最終的にユーザーに伝わるメッセージが、ものすごく納得感あるものになっていくんだよね。

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太田:本当にその通りだと思っていて、例えば「Webデザイン」も未だにジャンルのひとつという考え方がありますが、サイトにはロゴも、商品写真も掲載されていますし、映像も流れていれば、キャッチコピーだってついています。それなのに、それぞれが分断した状態で考えられている。全てをつなげることは時代としても必須だし、Steve* inc.ではジャンルや職種の境界をどこまでも超えていきたいと思っています。

清水:そこには本気で期待してますよ。

太田:一連のプロジェクトの端と端をつなげるのは、本当に大変なことですけど、クリエイティブという領域には、それぞれをつなげる力も可能性もあると信じています。「一貫してSteve*に頼んだ方がいいね」と思っていただける仕事をこれからも増やしていきたいんですよ。それと、ホッピンガレージにはまだまだ秘策があるんですよ。


清水:おお秘策か。それは楽しみだ!

太田:はい、楽しみにしていてください。そして引き続きよろしくお願いします!

清水:ちょっと待って。この場所って、今回の企画のために借りてくれたスペースなんだよね? ということは、「Steve* クリエイティブ酒場」は閉店までまだ時間はある?

太田:もちろんです(笑)。

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清水:じゃあ太田さん、早速なんだけど、その秘訣についてこれからじっくり話さない(笑)?

太田:ははは。そうしたら、おつまみとビールを追加で買って来ないと!


今回登場したサービス「HOPPIN’ GARAGE」:

今回登場したお酒「純米吟醸夏酒金魚ラベル/阿部勘酒造店」:

Steve* inc.

Steve* Magazine by Steve* inc.


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