【しらふ日記】 飲みたい理由を理解すれば禁酒も楽になる
昨日の記事では、なぜ禁酒をしているのかについて書いた。今回は、そもそもなぜお酒を飲みたくなるのかについて書きたい。
まず大前提として、飲みたくなるのは脳がアルコールに依存しているからだ。大変な一日が終わって、「あ〜、ビール(あるいはワインでもウィスキーでも)飲みたい!」と思うなら、程度の差こそあれ、それはアルコールに依存している証拠だろう。こちらの記事で紹介したルイス・デイビッドの『The 10-Day Alcohol Detox Plan』でも以下のように書かれている。
When habits become so hardwired in our behaviour that we feel we need them to exist, we often use another term: addiction.
(拙訳)
習慣が、生きていくのに必要不可欠だと思えるぐらい深くまで自分の行動に根付くようになれば、それは別の言葉で表現されることが多い。つまり、「依存」だ。
(David, Lewis. The 10-Day Alcohol Detox Plan: Stop Drinking Easily & Safely (Self Help) (p.203). WinsPress.com. Kindle 版.)
しかし、アルコールに依存しているからといって、四六時中酒を飲みたくなるわけではない。さすがに私も、爽やかに目覚めた朝いちばんで「お酒をのみたい!」と思うことはない。酒よりもコーヒーが飲みたい。お酒を飲みたくなるのは、一般的には「HALT」と呼ばれる心理状態のときに多いとされている。
HALTとは以下の4つの単語の頭文字をとったものだ。
Hunger(空腹)
Anger(怒り)
Loneliness(さみしさ)
Tiredness(疲れ)
以上の4つの精神状態が飲酒欲求を呼ぶとされている。私も過去の経験を振り返ってみると疲れているときに「飲みたい」と思うことが多かった。仕事帰りに子供を保育園に迎えにいき、ヘトヘトで帰ってきて「さあ、これから晩ご飯つくってお風呂に入れて・・・・・・」というときに、とりあえず「プシュッ」と缶ビールの蓋を開けていた。私にとって、飲酒は家事と育児のためのドーピングだった。
このHALTという引き金さえ知っていれば、飲みたくなったときに「ああ、この飲酒欲求は空腹(喉のかわき)のせいだ」と理解できる。理解して受け入れれば、飲酒以外の対処法を考えられる(炭酸水を飲む、とか)。怒りや寂しさにまかせて酒を飲んでも、何の解決にもつながらない。リラクゼーションの方法を追求したほうが健全だろう。夕方の疲労度が上がるのは、連日の飲酒により睡眠の質が下がっているからかもしれない。アルコールで疲れを麻痺させるよりも、睡眠と運動で疲れにくい身体をつくりたい。
自分の飲酒欲求を振り返ると、私の場合はこのHALTにもうひとつの要素が加わる。Boredom(退屈)だ。忙しい日常のなかで突然時間が空いて手持ち無沙汰なとき、何をすればいいか分からなくなったとき、とりあえず酒を片手にネットや映画を見たり本を読んだりする、という行動をよくとっていた。もっと有意義なことに、生産的なことに時間を使えばいいのに、と自分でもよく分かっている。だけれど、脳はより簡単に、即時的にドーパミンを放出できる物質を求めるのだ。
退屈といえば、高校生のころによく聞いていた曲を思いだした。トモフスキーの「タイクツカラ」という曲。「退屈から 退屈から 未来はつくられる」という出だしで、「退屈が僕のスイッチを押す 次々新しい場所へ」と歌う。そう、退屈は新しいことにチャレンジするための余白なのだ。退屈な気持ちをクリエイティブに生かそう。酒を飲んで無為に過ごすばかりじゃもったいない。というわけでこの「しらふ日記」を始めた。おかげで隙間時間も「何を書こうかな」と考えてワクワクできる。退屈感からお酒を飲んでいる人は、消費よりも創造のほうがずっと面白いよ。
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