ハイボール2.17

結婚とかに見る 状況判断(生きる環境をリモコン操作したい。)

因果関係

って、たったひとことで言ってしまうから、勘違いのもとになるんだ。「原因」と「結果」。「あれ」があったから「これ」がこうなった。卵があったから、にわとりになった。にわとりがいたから、卵が生まれた。ってこれ、もとは法律用語なんだけど。

原因がひとつだったらね、結婚できないのだって、納得できるんだけど逆に。私が。ずばり「あなたには、思いやりがないから、魅力がないんです」って、占い師かだれか言ってくれないかな。「思いやりに欠けていて、不器用で、おまけに器量もよくないからです」でもいい。

原因が知りたい。直球で、それが原因、という事実。

でも実際、そんなもの、ないんだよね。ひとつの結果には、それに付随するひとつ、あるいはいくつかの原因がある、って、「因果関係」は言っている。でもそんなもの、ない。原因は、いつだって、ぜんぶが関係してくる。

人生の困難って、子供のころは、ときどき訪れる、年に数度の嵐のようなものだったけど、歳を重ねてくると、時々じゃなくて常駐するような類のものが現れるんだよね。

ひとつの困難が1年くらいずっと続いて、やっと終わったと思ったら、次の年にはまた別の困難がやってきて、そこの座布団に座ってこちらを見物している。

さらに年齢が上になると、今度は数年間も居座るようなやつまで出てきて、それで、疲れちゃうんだよね。人生に。大人になったらどんなに華やかな人生が待っているのだろう、という幼くて淡い期待なんか、簡単にぶち破ってくれちゃう疲労感。ストッキングを透かして世界を見ていたみたい。夢みたいに視界が淡く明るかったのが、かんたんに破れて、しかもその向こうに超リアルがめちゃくちゃクリアに見えている。

それでさ、ちょっと残ってる期待が、あまく幸福な新婚生活なわけよ。おかずなんか少なくていいから、やさしい旦那さんと二人分、ハイボールなんか作って、夜ごと語りあう。とぼしい多摩の夜景がみえる高層(賃貸)マンションなんかで。今日も仕事つかれたね。お疲れさま。きみこそ。なんつって。

っていう期待こそもまた、幼くあわくて甘っちょろい。みんながそんな夫婦になれたらね、修羅場もATM旦那もアーウィン女性探偵社もいないっつの。あ、倒産したんだっけ?

探偵社がつぶれるのだって、原因はひとつじゃない。もちろん、おしどり夫婦が増えているせいではないだろうけど、もしかしたら時勢が変わってのことかもしれないし、単に経営がわるかっただけかもしれない。

重要なのは、原因がそう簡単に絞れない、っていう、ただそれ。出来のわるい新入社員がいて、「あいつ使えねーな」ってなっても、それを新人ひとりの気質のせいにする? それ自体、やってることが「使えねー」よ。会社に入るには、それなりのテストを越えてきたわけでしょう。使えない人間を雇った採用側に、えらぶ能力がなかったんだし、それはそれで、採用しちゃったんだから、使えるように全員で教育して、どうして使えないままでいたりするかしら。日本語はしゃべれるんだから。

って話はそれたけど、状況を動かせる、という感覚にいない人間は、やっぱり周囲に原因を求めるしかないんだよ。新人ができないのは新人のせいだし、上司が働かないのは上司のせいだし、給料が上がらないのは景気のせいだし。

……っていうね、状況を動かしたいという強烈な願いと、状況を動かすほどのエネルギーがない、という切迫した状況と。この大きな二つの壁のあいだに、人生ってのはあるんだよ。

結婚ねー。

それか、もし原因をひとつに絞るとしたら、「結婚したくない」って私が思っているからかもしれないね。結婚したって不幸になる人もいるんだから、人の幸不幸は、結婚が決めているわけじゃないわけ。それ言っちゃったら、生まれ育ちも、学歴も、性別も、美醜も、財力も、才能も、ぜんぶが幸不幸の決定打にはなれない。あそうか、原因はいつだって、always、ひとつじゃないんだもんね。

状況を動かしたいなら、動かす。必要ないんだったら、ほかのことをする。

本当に結婚したかったら、ネックとなっている自分の特性も、周囲の環境も、なんとかしよう、と努力するんだけど。たぶん。残念ながら、そんな志も、元気もないってわけ。


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