見出し画像

Ascension



そのとき時空は開かれ
意識は記憶を抱きながら
しだいにその姿を変容させてゆく...

深い呼吸のなかで
微細な振動が高まりをみせ
激しい上昇気流を創り出していた

繋ぎ止めていた記憶は
その意味を解かれ
粒子となって舞い上がってゆく...

振動だけが支配する世界で
それは私を包んで
気流のトーラスを描いてゆく

上昇しては周囲を巡り
深い内部の一点から
また湧き上がってくる

振動が描き出す磁力線のように
それは私を包み… そして私を貫き
螺旋を描きながら昇ってゆく...

その振動は色を変えながら
水に溶けたような
時間を纏っていた

それは地球を包む海のようでもあり
意識を包む細胞のようでもあった...

それは私の内でもあり外でもあり
私の細胞でもあり
私をとりまく海でもあった

ひとつの細胞のなかで
意識は脈動を想い出したように
気息の歌を歌いだしていた

渦を巻きながら
歌は記憶を溶かし
螺旋のなかに時を編んでゆく

それは振動であり… 気息の歌であり
私は呼吸のなかで
その律動を生きていた

天の渦と地の渦と
ふたつの渦が触れたとき
螺旋を抱いて龍が昇っていった...

そのとき歌はひかりとなって弾け
気息は言葉となって
新たな螺旋を呼び覚ましていった...

海は言霊となってわたしを満たし
わたしは呼吸のなかに
記憶の潮騒を聴いていた...












この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?