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【子ども】他の道はある?と自問自答してみる

中学生のハローワーク11月のゲストは、アレクサンダーテクニーク教師のバジル先生。今回はアレクサンダーテクニーク教師になるまでをメインに、ご自身のことを赤裸々に語っていただいた。

【アレクサンダーテクニークとは】タスマニア出身の俳優、F.M. アレクサンダーが自身の声が出なくなるという不調を乗り越えるうえで、当時の演劇や歌唱のメソッドを土台にしながら自らの体の使い方の観察を通じて見出し整備していった方法論がアレクサンダーテクニークと呼ばれています。

バジル先生のレッスン動画はこちら↓(全部で5分ほど)


今の気持ちは?

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さて、この企画のスタートはいつもカード選びから。プロジェクトアドベンチャージャパンのしるらないカードを使わせてもらっている。小学校教員時代の先輩から教えてもらったものなんだけど、ゆるいのに奥深いイラストがすごく好き。(カードのダウンロードや購入はこちら)

今回は、「今の気持ち」をテーマにカードを選んでもらった。いつもと違って、「緊張」とか「知らない人」とか、マイナスのワードが多い印象。バジル先生人気もあって、今回は初参加の方が半数くらい。マイナスワードが多いのは私の事前フォローが足りないせいだなあ・・・申し訳ない・・・とか言ってる時間ももったいないので、バジルさんの話術で助けてもらおうと密かに心に決めてスタートした。


アレクサンダーテクニーク教師になるまで

まずは、ここまでの道のりを簡単に語っていただいた。なんと、始まりは6歳の頃に「ピアノを習いたい」と親に言ったことから。当時はまだまだ「ピアノは女の子が弾くもの」のイメージが色濃い時代。それでも「習いたい」と言い出すなんて、よっぽどピアノがやりたかったんだろうな。
「僕の記憶ではそう。でも、記憶って改ざんされるらしいから、本当はピアノを習うよう脅されてたかもしれない」
とバジルさん。そんなわけないやん!という笑いが起きる。うん、ちょっと空気がほぐれてきたかも。

中学校で吹奏楽部に入ったバジルさん。ただ、自分のやりたい楽器をやらせてもらえるとは限らない。入部した時期にメンバーが足りないところとか、体格とか、実際吹いた感じで適正を見極められる。吹奏楽部の中学生や楽器経験ありの大人の方が、首を縦にブンブン振りながら聴いている。どこの学校もそうやって楽器が決まるのね。今考えたら、数年しか楽器経験のない先輩が「あなたの楽器はこれ」って決めるのはなかなか荷が重い。バジルさんにホルンを選んだ先輩は、まさか、その子が将来ホルン奏者になるなんて思ってもみなかっただろう。

そうして、ところどころユーモアも交えながら話は進み、いよいよ進路選択の時期がやってくる。ホルンの道を志し、ドイツへ渡るバジルさん。迷いはなかったの?と問うてみると、
「じゃあ、他の道があるか?って考えた時に、答えはNOだった」
とバジルさん。ホルンの道で大丈夫かな?と思う前に、他の道はありえなかったんだそう。

この考え方、あらゆる人生においても活かせそうだけど、中学生にはどう届いたんだろう。何かを決断するときに迷いそうになったら、「じゃあ、他の選択肢はある?」って自分自身に問いかけてみる。他にないなら、迷うことはない。潔く前進あるのみ。そんなふうに受け取ってくれていたら嬉しい。


なーんて、カッコイイこと言ってるけど、実は・・・

と、きらきらしたエピソードを話してくれていたバジルさん。でも、ドイツ行きの背中を押してくれたのは、「自分がいたいのはここじゃない」という感覚。日本の金管楽器パートの飲み会だったり、オーケストラを聴いた時の感じだったり、ここで楽しんでいる自分を想像できない。むしろ「無理!!!」という拒否や嫌悪の感覚。

中学生は「へ〜」って聴いているけど、大人は“昔の“飲み会、つまり、上級生の独壇場でお酒を強要する雰囲気を知っているから、そこに適合しないバジルさんの姿は容易に思い浮かぶ。思い浮かぶけど、だからって海まで渡っちゃうのはずいぶん思い切った決断。いやいや、そこまでするんかい!?って思わず笑っちゃう。話し手と聞き手の距離が近くて、良い雰囲気だ。

大学に入ってからの苦労もあり、アレクサンダーテクニークの道を本格的に歩み始めるバジルさん。
「ということは、アレクサンダーテクニークの道へ進んだのは大学の先生のおかげとも言える?」
の質問に、
「そうとも言えるね。感謝はしてないけど!」
で、みんなまた大笑い。先生の技量や知識にはバジルさんも舌を巻いていて、すごい先生なんだよ!!いう話もした上での発言なので、そのギャップがまたおかしい。大学の先生とのエピソードは、もうすぐ別のところで発表される文章に詳しく書かれているそうなので、興味のある方は探してみてね。

先生に感謝してない!だなんて、巷に溢れる感動エピソードとは全く違う、生の声だ。これ、「大人の言うことは理解できるけど、心から納得できない!」って思ってる中学生と、近い感覚だったんじゃないだろうか。中学生の表情を見てみるとやっぱり好感触だった様子。
最初の緊張感はずいぶんほぐれたみたい。よーし、この雰囲気のまま、第二部へ突入だ!

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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。 小学校・放課後等デイサービスを経て、現在は児童発達支援事業所で障害児支援にあたりつつ、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。 ―――――――――――

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