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(作文の練習を兼ねて。)

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最近の記事

それが何を意味しているか

映画「オッペンハイマー」を見た。 もともとそれほど興味があったわけではなく、監督のインタビュー記事を偶然読んで(それなら見てみようかな)と思った。忘れてしまいそうなので、自分の気持ちに勢いがあるうちに公開初日のレイトショーのチケットを予約した。核兵器について考えるとき、個人的に「広島」と「物理学」というバックグラウンドを持っている。この映画は後者の側の作品。 180分、ずっと集中していた。見て良かったと思った。学部のときの(たぶん3回生の春の)あの講義の日からずっと、折り

    • 「川内倫子 M/E ―球体の上 無限の連なり」

      「川内倫子 M/E 球体の上 無限の連なり」 2023年1月21日(土)〜 3月26日(日) 「川内倫子と滋賀」 2023年1月11日(水)〜 5月7日(土) 滋賀県立美術館  写真とは、光を記録することなんだな、と、あたりまえのことをぼんやり思い出したりしていた。川内倫子の作品を見るのはとても久しぶり。懐かしく、もう一度見たかった作品もあった。新しく初めて見る作品も良かった。  彼女の作品にいつ出会ったのか、そういえば覚えていない。大学院生の頃、ケータイカメラで撮られた

      • ベランダに春の花

         東京の狭い狭いベランダです。一畳もないのではなかろうか。あまり活用していなかったのですが、在宅の時間がぐっと増えたので、ちょっと真面目に掃除して、狭いなりに居心地良いスペースにしてみました。午後の日当たりは良い方角なので、外の空気が快適な季節なら、夫は昼食後のコーヒーをベランダに出て飲んだりしています。ベランダを日常生活に取り入れることができると、これは植物を置いても良いのではないかという思いが、忘れていたあれが、ふわふわっと心に浮かび上がって自己主張を始めるのです。  

        • 八月の青い空とキョウチクトウ

           八月の晴れた日の、眩しい光は、知らないはずの戦争の記憶を思い出させる。空気は熱をふくんでじっとりと重く、蝉の声は途切れることなく、空は気が遠くなるほど青い。庭の木も田んぼも山も、川の土手も、あざやかな緑。日差しは刺すように眩しい。ここはこんなに静かなのに、戦争はまだ続いている。激しさを増している。その行き着く先を私は知っている。夏の光景は、私の中で戦争と直結している。  それはたぶん、子どもの頃に受けた教育のせいで、折りにふれ目にせざるを得なかった物語の影響を受けている。

        それが何を意味しているか

          Where are you from?

           いちばん最初に必ず聞かれる質問です。Where are you from?  去年の秋、仕事で必要に迫られて、英語をなんとかしなければという気持ちになったので、マンツーマンの英会話スクールに通い始めました。最初のうちは、いろんな先生のレッスンを受けてみて、相性の良さそうな人を探していました。初対面だと、必ず聞かれますよね。Where are you from? 私はこの質問が、たとえ日本語の会話でも、ちょっと苦手です。  生まれ育った場所が、あまり好きではありません。土地

          Where are you from?

          白はすべての色

           白い本だな、と思いました。装丁だけでなく、中身もどこまでも白いと感じながら読んでいました。そんな本。白は彼女の作品のイメージに合う。というより、ほかの色が考えられない。そもそも彼女の作品は、ほとんど真っ白なのでした。  この本を手に取る人のほとんどは、内藤礼の作品を知っているだろうし、きっと内藤礼の作品を好きな人だろう。私もそうです。彼女の作品を知っていれば、彼女の作品を自分なりに理解して見てきた人なら、この本に綴られた言葉は違和感なく読むことができるだろう、と思います。と

          白はすべての色