文化継承の視点で見るメキシコ先住民の祭り"ゲラゲッツァ"が面白い
前回の記事でも取り上げたメキシコ・オアハカ州で毎年7月に行われるGuelaguetza(ゲラゲッツァ)祭り。
今回、実際に祭りに参加した経験を通して、このお祭りが地域にもたらす価値についてお話ししたいと思います！
Guelaguetza(ゲラゲッツァ)祭りとは
前回の記事でも紹介した通り、Guelaguetza(ゲラゲッツァ)はメキシコのオアハカ州で毎年7月に開催される伝統的なお祭りです。
このお祭りは、オアハカ州内の16の先住民コミュニティから来た各地域の代表が、伝統的な衣装を着て、ダンスや音楽を披露し、互いに贈り物を交換することで、地域間の絆を深め、連帯感を強化することを目的にしています。お祭りの起源などは以下の記事で紹介しています。
Guelaguetza(ゲラゲッツァ)祭りでは、どんなイベントが行われるの？
Guelaguetza(ゲラゲッツァ)祭りでは様々なイベントが開催されますが、その中でも一番大きなイベントとなるのが、7月の第3週、第４週の月曜日に行われるLunes del cerro guelaguetza(ゲラゲッツァの丘の月曜日）という式典です 。
式典では、オアハカの中心地の丘の上にあるゲラゲッツァホールで各民族がダンスや音楽を披露し合います。
全４公演で各公演約1万枚のチケットが売り出されますが、毎年発売当日に売り切れるほど大人気です。
各民族のダンスや音楽を見れるのは、式典だけではありません。
Lunes del cerro guelaguetza(ゲラゲッツァの丘の月曜日）の前々日には、セントロ中心に各民族がダンスや音楽を披露するパレードが行われます。
パレードは約3kmの区間で行われるため、町中の人がパレードを見ることができ、途中でダンサーの方に手を引かれ一緒に踊ることができるなど、共に彼らの文化を楽しむことができます。
その他にも、各民族のダンスや音楽を見られるイベントは地方の村でも行われます。
もしLunes del cerro guelaguetza(ゲラゲッツァの丘の月曜日）を見たかったけど、チケットが取れなかったという場合は、地方の村に足を運ぶのもおすすめです！
ダンスや音楽の披露以外にも、Guelaguetza(ゲラゲッツァ)祭りでは各地域の特産物を味わうことができるイベントがたくさん実施されます。
今年は以下のような様々なフェアが開催されました。
・メスカル
・民芸品
・モレ（メキシコ版のカレー）
・トラジューダ（メキシコ版のピザ）
・テハテ（カカオを使った飲み物）
・タマレス（とうもろこし粉の蒸しパン）
・チーズ
・アレブリヘ（鮮やかに彩った木彫り）
各フェアの中でも一番盛り上がるのがオアハカの地酒メスカルのイベントです。各地域のメスカル生産者が集まり、様々な種類のメスカルを試飲することができます。メスカルはアルコール度数50%近いため、試飲だけでかなり酔っ払ってしまいます笑
Lunes del cerro guelaguetza(ゲラゲッツァの丘の月曜日）が文化を広め、繋げる
今回初めて、Lunes del cerro guelaguetza(ゲラゲッツァの丘の月曜日）を見て、この式典が文化を世界に広め、また後世にその文化を残す役割を果たしていると感じました。
というのも、Lunes del cerro guelaguetza(ゲラゲッツァの丘の月曜日）では16の先住民コミュニティが各々の文化を披露する公演をするのですが、その中でダンスや音楽だけでなく、先住民の言語や手工芸、慣習、特産物を上手にPRしているのです。
各民族の公演は4つのパートで構成されます。
①先住民言語を交えた前説
先住民言語（サポテコ語、マサテコ語など）とスペイン語で村の魅力をスピーチするところから公演が始まります。各コミュニティとても力強い声で村への愛を語るので胸に刺さります。
②民族衣装で披露する踊り
村ごとに異なる色鮮やかな民族衣装を着て、伝統的な踊りを披露します。
③民芸品の制作や村の儀式の披露
踊りの前後で村の民芸品の制作工程や村で行われる儀式を見せるコミュニティもいます。その場で紡がれる編み物など手仕事の凄さや村で受け継がれる独特の慣習を知ることができます。
④特産物の配布
公演の最後には村の特産物を配る催しがあります。踊り手が観客席にトルティーヤや果物などを投げるので若干危ないですが、かなり盛り上がります！
オアハカの地酒メスカルを客席まで配りに来ることも笑
以下から公演の動画が見れるので、気になる方は見てみてください！
このようにして、本イベントを通して、各先住民コミュニティの言語や手工芸、慣習、特産物なども上手く多くの人に知ってもらえる仕組みになっているのです。
そして、その後各特産品をより深く味わえるフェアが用意されているので、文化を知る→触れる動線が上手に設計されているなと思います。
また、本イベントは主催側である先住民コミュニティにとっても意味があるものです。
特に、Lunes del cerro guelaguetza(ゲラゲッツァの丘の月曜日）の舞台に立つのはとても光栄なものであるので、参加できる先住民コミュニティは事前にコンテストで勝ち抜いたグループです。
どのグループもいつかあの舞台に立ちたいという思いがあり、村の文化を守るだけでなく、魅力を高めることを考えたり工夫をしながらコンテストに臨みます。
そういう取り組みが、文化を後世に繋いでいくのだと思います。
オアハカでは先住民の言語が消滅の危機にあったり、手工芸も担い手不足の問題があったりしますが、このGuelaguetza(ゲラゲッツァ)祭りが文化に関心を持つ人を増やしたり、文化に関わり守りたいと思う人を増やすことに繋がっているのだと思います。
以上が今年初めてGuelaguetza(ゲラゲッツァ)祭りに参加して私自身が感じたことです。
今年は初めて、チーズフェスが開催されるなど年々アップデートも行われているイベントです。
ぜひ、興味のある方は来年の7月オアハカにお越しください！
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