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読書、言葉の力のこと

風が強い日曜日。


川上未映子さんの『夏物語』を読んでる。
(やっと!)
きのうから読み始めて、活字から一瞬も目を離したくないという勢いで。
(つまりとても面白い)

でも、その「面白さ」ってグサグサ刺さる感じというか、ありとあらゆる心の痛みを総動員させるような、そんな感覚にとらわれる。


主人公 (夏子) が同じくらいの年齢だからかもしれない。
たとえば10年前だったら、
これほどまでに刺さらなかっただろう。


川上未映子さんが描く女性リアルさには、
息がつまりそうになる。
とてもしんどいことが、生きていく不合理のようなものが克明に描かれ続けている。

細部にリアリティがあって、
感情が泡立って、絶望の合間に生活があって、
(それはもう生きていくしかない生活のリアルさで) だから目が離せない。


女性の貧困について、ここまで書けるひとって他にいないんじゃないかな。
そう思ってしまうくらい。
ときどき、
ハッとするくらい美しい風景描写がある。

夏子の過去と、現在の夏。


川上未映子さんの小説は、
とても省察的な気持ちにさせられる。
現実の解像度が格段に上がる感じもある。

世間的に「ない」とされているものや、
平然と無視されてしまうもの、
誰も知らない誰かの痛み。

そういう普段「見えないもの」に光を当てるのが小説の役割だとしたら、『夏物語』はまさにそれをしてるんだと思う。

その本を読むべきとき、というのが誰しもあると思うけど、今は川上未映子さんの本ばかり読みたくなってしまう期なのかも。

『黄色い家』も気になるけれど、
その前に読みたい本もあって、(何なら『読みたい本リスト』はずっと先まで続いていて)
それは自分が書きたいのと同様に、とても幸せなことだなと思う。


『夏物語』が凄すぎて、思わず語ってしまった……
(でも、良い小説を読むと語りたくなってしまうよね)

読んだときの昂揚を残しておきたい、
という気持ち。
高校生のときはよく読書ノートを付けていた。
(いつもの日記帳にビッシリ)

そのとき記録した物語や、好きだと思った一文は、何年経ってもずっと残っているような気がする。

読んだきりあらすじも忘れてしまった本がたくさんあるなかで、そうやって記録を残しておくと、ずっと消えない言葉になって、未来の自分の道標になってくれるのかもしれない。


いつでも触れたくなる言葉。
心の奥深くにあって、取りだすたびに眺めたくなる一文。


そういう言葉を、私もいつも、
生み出せたらと思ってる。





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