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読書note

梅雨の晴れ間な日曜日。

久しぶりに布団を干したり、エアコンを(やっと!)掃除したり、お風呂場の燻煙をしたり、
ルンバを回したり……
午前中はそんな感じで過ごす。

なんというか、
日々仕事で精一杯で、
掃除はいつも後回しになってしまうな、と思う。
(そして掃除する場所って、家のなかに果てしなくある)

それなのに頻度が少ないから、必然的に部屋が散らかる。散らかすのは主に子供たち。
でも、私も物を所定の場所に置かなかったりするからおあいこなのかもしれない。


夕方、やっと涼しくなって散歩に出る。
風を感じたくてマスクを外してみたら、
顔をさらして歩くのがとても久しぶりで、
なんだかそわそわしてしまった。
そして、
同じように散歩してる人たちも殆どマスクをしてなくて、ああ外して歩いていいんだって安心した。
いつでも付けられるように忍ばせてはいたのだけど、そんな必要もなく歩けた。

そんなことすら新鮮に思えてしまうくらい、
ずっとマスクを付けてるんだなぁって思うと感慨深い。
この2年間ずっとそうだったんだなぁ、とも。


午後からは読書。

朝井リョウさんの『正欲』
(これはずっと気になってた)


マイノリティのなかのマイノリティを初めて知った。
想像も及ばない性癖に生きづらさを覚えるひとの心情が次々に明かされる。

そこで繋がりあうふたりは、
決してお互いを好きでもないし恋愛感情も抱いていない。

でも、
抜き差しならない切実な痛みで結ばれている。

生きていくために繋がりあって、
その理由が同じだから、何より強い約束になる。

読んでいて、
ほんの少しだけ『流浪の月』を思いだした。
(繋がり方は違うけど、お互いを愛していないのに切実に想いあう点は似てる)


どんなものを持ち合わせて生まれてきたとしても、自分はこの星で生きていていいんだと思いたい。何もかもを持ち合わせられずに生まれてきたとしても、この星でなら生きていけるのかもと期待したい。この世界がそういう場所になれば、たとえ人生の途中でどんな変化が訪れたとしても、生きていくこと自体には絶望せずにいられるかもしれない。


終盤、検事の男性が
「一体何で繋がれば、そんなふうに想い合えるのだろうか」と自問する場面が何より痛快だった。


簡単に他者を理解することなんてできない。

その人の過去も痛みも傷も、
全部その人だけのものだ。

それを理解した上で、本当の意味で許容しあえる社会になればいい。


多様性が重視され、世論が加速するなかで、
その言葉がもつ意味を根底から覆すような物語だったな、と思う。

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