金平糖は、魔法のお薬。

「おねぇちゃん、げんきないね」

え・・・?

ベンチで腰掛けていた私の頭上から降ってきた声に、そっと顔を上げる。

そこには5、6歳くらいの女の子が立っていた。

「これ、あげる。」

差し出した拳の中のものを受け取るように、私は手を出した。

手から渡されたものは、小さなキラキラとした星の形。それは金平糖だった。

「星の形が

可愛いね。」
そう女の子に言うと、

「げんきがでる、まほうのおくすりなの。わたしがげんきないときね、ママがこれをくれるの。」

そんなバカな。そう思いつつも私はそれを口にしてはいけないと言葉を飲みこんだ。

「だから、わたしもね、げんきがないひとにあげるの。」

「ありがとう、元気でたよ。」

そう言うと、女の子は満足そうに微笑んで、何処かへ駆けて行った。お母さんの元へ戻ったのだろうか。

私はもらった金平糖をつまみあげて、空に透かす。

元気になれる、魔法のお薬か。

口にすると甘〜い味が広がる。そして、ボーッとしていた頭が少しスッキリした気がした。

そっか、私糖分不足だったのかな。

いなくなった女の子を思い出して頭の中でお礼を言って立ち上がる。

もうひと踏ん張りしますか。

残っている仕事を思い出して、少しゲンナリするけれど、明日は給料日。

早めに切り上げて、ちょっと贅沢な時間を過ごそうかな。

小さな金平糖は私の中で溶けて消えたけれど、やる気と元気に生まれ変わった。



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お仕事中のドリンク代にさせていただきます。ちょっといい紅茶を買いたいです。