「テニプリ」不二兄弟を、熱く語るぜ!
こんにちは、雲州はとむです。皆さん「テニスの王子様」なる伝説的な作品をご存知でしょうか? 週刊少年ジャンプにて連載がスタートしてから、それはもう社会現象と呼ばれる壮絶な大ブームを巻き起こし、漫画からアニメやゲーム、そして漫画原作として初めてのミュージカル化、原作者自身が武道館にて生歌を披露するなど、驚異的なエンターテイメントとして君臨している存在であります。
ビッグ・ウェーブ、「テニプリとの出会い」!!
あの頃の思い出は鮮明に記憶していて忘れられません。2003年頃の私には、走り屋漫画・頭文字D」の深夜アニメをきっかけに、ネットで知り合った北海道在住の親友がいて、両親も彼女のことが大好きでした。国立大学をストレートで卒業してから小学校の先生になり、音楽的な才能にも恵まれてピアノの名手。卒業論文は太宰治を専攻、描く小説も本当に聡明で素晴らしい人です。
彼女の特技の一つとして「新人俳優や新作漫画を見出す力」があり、まだ全然世間に知られていなかったオダギリジョーの「仮面ライダークウガ」にハマっては、都内の我が家を拠点としてステージイベントに参加。オダジョと相棒の葛山信吾さんの出演トークはほぼ全て見ていたと思われます。
そんな才媛である彼女と、苫小牧と東京というかなりの遠距離友情を持ちながら、ほぼ毎週長電話をしたり、コミケなどで二ヶ月に一度は会っていた私に、クールな性格からは珍しく「はとさん、今度お家に行く時には凄い漫画を布教させて下さい」「来ますよ……、とんでもないビッグ・ウェーブが!!」と、嵐の前振りを予兆させる熱いメールが。
当時は「遊戯王」や「封神演義」にてコンスタントに二次創作漫画同人誌を発行した後、ちょっと休憩していた私。「ほう、彼女が言うからには注目すべきジャンルだろうなあ」と、来訪を待機。
その日はアニメイト本店がある池袋にて待ち合わせ。中古の漫画をまんだらけに売ってきた彼女は大きなスーツケースを引いていました。夏コミ直前とあって既にアスファルトは強い紫外線で焼けていて、いまだに存在する静かなドトールにてお茶したのをよく覚えています。
楽しくお喋りしつつ、うちに帰宅。「これなんですよ……」と、リビングのカーペットに広げられたのは、一枚の大きなポスター。
主役の中学校が好きになれなかった……。
うーん、描いてる人は許斐剛? またジャンプで新しい漫画家が出てきたのねと思いきや、よく聞くと東海大学を卒業後に営業でデザイン会社に勤務していた人とのこと。
親友は、主人公越前リョーマ(様)が所属する青春学園中等部テニス部の、桃城武こと桃先輩(cv小野坂昌也)が好きでした。明るくて真っ直ぐな優しい人物です。
正直、私は「あ、これにはハマらないだろうな」と直感しました。ビジュアル的に好みがいなかったし、まあ、何より……コノミンこと許斐剛先生の絵柄って、かなり古い雰囲気で固いんですよね……下手……と言っちゃうと角が立つんですけど……。
その頃のジャンプでは「封神演義」を藤崎竜さんが素晴らしい画力とファッションセンスで連載していたし、「ヒカルの碁」を小畑健先生が神業とも謳われる絶対的なセンスで展開していた。とてもそれらと競える絵柄ではないなと。
特に、細目の不二周助先輩(cv甲斐田ゆき)には、絶対にツボは無いと……、その時には感じていました!!! その時には!!!
私はどうにも子供の頃から「女顔美形の策士的なキャラクター」って、タイプではなかったので……。
美麗なアニメと、超絶豪華な声優陣!!
ところが、毎週木曜日の夜19:00から一時間、ジャンプアニメのゴールデンタイムでテレビ東京にて「テニスの王子様」と「銀魂」が放送されるようになったんです。
「機動戦士ガンダム」を製作したサンライズが、「銀魂」でジャンプアニメの作画を担当するという革命的な出来事にも衝撃を受けましたが、「あ、あの許斐剛先生の絵が、アニメになるとこんなにシャープで美麗に!!??」という驚きも!
ただ、アニメも漫画も私にとって初期のお話はほとんど心が動かされず。
テニスの天才中学生の越前リョーマが、アメリカの帰国子女としてスポーツの名門青春大学附属中学校に転入してきて、片っ端から歳上のテニスプレイヤーを叩きのめしていく。
アメリカ帰りなので先輩にもタメ口で意見をズバズバ言うし、批評も手厳しい。元プロテニス選手だった父親にコンプレックスはあるが、内面は隠されている優しさや正義感に熱い彼が、部活の部長であり「日本中学テニス界を背負う男」と呼ばれる手塚国光に敗退。彼の自己に厳しい背中を追って成長していくドラマです。
手塚部長の声を置鮎龍太郎さんが演じていて、まさにどハマりでしたし他のキャラクターもピッタリ。だけど私には決定的に何かが物足らなかった。
不二裕太の登場で、人生が変わった!!
さあ、ここからフルスロットルで行きますよ、皆様着いて来られてますか!!? すみません、熱く燃え上がってブースト掛けます!!
アニメが始まって二ヶ月した頃かなあ。一応ビデオテープ(時代!!)に、一話から「テニプリ」と「銀魂」は録画してましたけど、ほとんど見返さず、18:30から放送していた「焼きたて、ジャぱん!」の面白いストーリーに夢中でした。こちらの作品もサンライズの作画で、そもそも原作の絵からして美しく目を惹かれます。少年マガジンの作品をコミックスで集めたのは初めてで、コンビニコラボのパンなども買いましたね。
さてそんな時に、主役校の青学が同じ私立中学である聖ルドルフ学院のテニス部と、都大会で当たります。準々決勝かな。
そこで!!! 私は運命的な出会いを果たしてしまうんです!!!! 全く興味を持てなかった、あの不二周助先輩の弟である裕太と!!!
試合の前に、一人で壁打ちをしている裕太。ルドルフの先輩がやって来て「さすが裕太くん! あの青学の天才、不二周助の弟だね!!」と、お世辞をかけるんだけど、最大のタブー「天才、不二の弟」と呼ばれて「それ、やめて下さいよ!!」と裕太は怒り心頭。
するとそこへ、話題の兄である不二先輩が登場! ここはテニプリで史上初に私が「ど、どうなるの……」とドキドキした瞬間でした!
そっけないと言うか、実の兄に対して冷淡な対応しか返さない裕太に動揺もせず、「元気だった?」「また上達したね」と優しく話しかけます。
でも頑なな態度を崩さない弟に「今度の一年、お前が対戦する越前リョーマは、強いよ」と、爽やかに立ち去る不二先輩……。
不二兄弟の切ない確執と、弟への想い。
青学テニス部のメンバーも試合前に集合。「あれ? リョーマ君の相手って不二先輩の弟なの?」と疑問を持つ一年トリオに、一瞬レギュラーメンバーが言葉を失う。後から見返すと、仲間達も不二兄弟の亀裂には心を痛めていたんだなあ。
「最初は青学にいたんだよ」「三ヶ月で聖ルドルフに転校したんだ」と説明してくれる乾先輩(cvブレイク前の津田健次郎)。
そう、去年兄と同じ青春学園中等部に入学した裕太は、余りにも周囲から「不二先輩の弟」「天才の弟」と呼ばれ続けて結局テニス部には入らず、遠方のテニスクラブで一人孤独に練習していたんですね。
そこへ聖ルドルフの部長でありつつ、プロデューサーでもある観月はじめ(cv石田彰)に、「お兄さんは君とは関係ない。君には独自の才能がある!」と称賛され、彼に心酔した裕太は転校し、全寮制なので家からも出てしまったんです。
考えてみて下さい、自分の兄弟や息子が入学三ヶ月で転校ですよ? しかも理由が「同じ校内にいる実兄と比較されて辛い、もう学校に行きたくない。家からも出たい」って、壮絶な家庭内分裂だと思いませんか??
特に「テニスの王子様」は、登場人物のほとんどが経済的にも家庭的にも裕福で満たされた人が多い。そんな中、初めて家庭内に大きな悲劇を抱えていたのが不二兄弟だったんです。それも、私が惹かれた大きな理由。
不二兄弟の愛憎劇、アニメではより繊細な描写に。
漫画版ではコミックス一冊の中で、本当に少ないページ数の中で語られている不二兄弟の過去ですが、アニメだとなんと四週間にも渡って語られています。時間にするとほぼ二時間、たっぷり二人の物語。
幼い二人が無邪気に遊んでいたり、それからオリジナルパートでは、虐められている小さな裕太を不二先輩が身体を張って助ける回想シーン、森の中を手をつなぎ合って歩き進んでいく暗喩的な場面もあります。
原作通り、左利きである裕太は「対サウスポー選手用の使い捨て駒」として観月に利用されており、まだ中学生が打ち出すには身体的に危険な「ツイストスピンショット」を多用する様に指示されているんですね。
リョーマも青学テニス部の顧問竜崎先生も、それを裕太や観月に指摘するけど、「強豪校に勝つ為に、地方から金をかけて選手を集めている」聖ルドルフの監視役として、観月は一向に耳を貸さず無視。普段、涼しい顔で微笑んでいる不二先輩の表情が、ここから変わっていきます……。
リョーマとの試合によって自分が深くテニスを愛している事、兄から与えられてきた優しさや慈しみを思い出した裕太。観月が出した「越前リョーマが痛めている腕を狙いなさい」という指示に従わずに、敗北。しかし晴れやかな気持ちで、二人は握手を交わすんです。
命令通りに動かなかった裕太を無視する厚顔無恥な観月に対して、ついに彼が動きます……。実の弟が本当に捨て駒として利用されているのか確認する為に……。
「美しき魔王不二周助、ここに爆誕!!」
このストーリーが漫画とアニメで発表されるまで、不二先輩ってコミック・マーケットでは「美しい、青学のお姫様的な存在」として、多くのサークルさんに描かれる事が多かったんです。
特に「頭文字D」の壁サークルがいっせいにテニプリに転んだ時も、まるで相談し合ったかのように皆さん「手塚×不二」のボーイズラブカップリングを推して、同人誌を出していました。
ところが、この「裕太の敵討ちをする為に、観月を大勢の目の前で嬲るように仕留める」姿にて、そのイメージが劇的に一新!! ここに「青学の美しき魔王、不二周助」が爆誕します!!
不二先輩のイメージも「お姫様→天使の弟を持つ魔王」に激減!
初めて、初めてここで不二先輩が開眼する!! 観月にわざと最初負けておいて、ゲーム終盤芝居をやめこれ以上無い程の屈辱的な敗北を味合わせる為に!!
私も親友の彼女も「……怖い」「不二先輩の本性、ここにあり」と電話で数時間語り合ったものです……。
そして真逆に、自分を捨て駒として利用していた観月を、恨まない裕太がもっと凄い!!! 不二家の描写も多々あるんですけど、両親や由美子姉さん、そして兄貴に、それはそれは大切に慈しまれ愛されて育ったんでしょうね。
ゲストキャラクター裕太の、人気が爆進!
許斐剛先生の特徴として、最初はただのゲストキャラクターとして登場した人物が、ファンの応援の声を聞いてどんどん出番を増やしてくれるという幸せがあります。
裕太もまさにこのラッキーに当てはまる人でこのアニメ放送以来、オリジナルエピソードでの活躍が多発するんですね。
例えば原作にない、アニメストーリー「デートだ!」やタイトルを忘れたけど、目の前に黒猫の行列やカラスが大量に飛び回っていた朝、不二先輩は咄嗟に「裕太!」と離れた弟の身を案じ、また裕太もシューズの靴紐が切れた時に「兄貴?」とその呼びかけに応えるように反応する。(ガンダムのニュータイプが如く)
「デートだ!」では、久しぶりの休日を過ごしてたテニプリメンバーが、偶然他校チーム同士で顔を合わせ、公園のコートで普段有り得ないダブルスで試合をするんだけど、その時にバッタリ弟に会えた時の不二先輩の満面の笑みが!!
「裕太、僕たちもデートしようか?」なかなか衝撃的な台詞でございました。
私も毎週、「売り上げ伝説、ジャンプのアンケートハガキ」には裕太の応援コメントと、それから許斐剛先生には毎月、裕太への愛を込めてファンレターを出しました。年賀状も数年、許斐剛先生や他声優さん方に書いていましたし、あの頃はTwitterも無かったので一番有効なのツールだった。
そして、私の不二兄弟への愛が伝わったかのように、裕太の声優さんである冨田真さんがテニプリステージin有明テニスの森(客席応募数18000人!)に登場!不二先輩のアルバムにも兄弟デュエット新曲で歌ってくれたり、本当に幸せでした。
そしてついに、私は友人サークルと合同の「不二裕太オンリー同人誌即売会」を開催します! あれも良い思い出です。
私はそれまで「二つのジャンルで、同時に同人誌をコミケで出すなんて不可能」と決めつけていたんですが、きちんと「ヒカルの碁」と「テニプリ不二兄弟と、愉快な仲間達」の本を並行して出せたし、どちらも個人イベント主催をこなしました。そのお陰で自信もついて、自分のキャパシティを熟知することもできるようになった。感謝感謝なのです!
最近はすっかりテニプリも新規キャラクターが現れて、青学メンバーや裕太も影を潜めてしまったけど、あの日あの時に裕太と出会えて、許斐剛という人と繋がる事が出来て私の人生は豊かになったし、毎日幸せでした! 裕太がいなかったら、絶対にテニプリにハマることもなかったと思うし、毎週アニメ放送後に感想FAXを送り合い、それをまとめて同人誌で出す日も来なかった……。
うわああああ!!! 今日11:30に起きてnoteを書き始めたら、もう19時半に!!やっぱり私の深く熱い「不二兄弟への愛」は、簡単には書ききれなかったようです!!
他にも「テニスの王子様」で絶対的頂点に君臨し、声優の諏訪部順一さんブレイクの最大功労者である跡部景吾様や、2016年に武道館で開催された史上最高に盛り上がった「テニプリフェスタ2016」についても、またそのうち記録したいと思います。
こういう、長くマニアックな濃厚noteのネタが本当に溢れるくらいあるんですよ。でもなかなか、丸一日掛けて書き上げられなくて……。今日で都内は梅雨入りしたけど、私には良い1日でした!! ここまで長い文章にお付き合い頂き、ありがとうございます!!
友達とも当時、毎日のように話しましたが、きっと不二兄弟は結婚とかせずに、お爺ちゃんになっても二人で暮らすんだろうねって。不二先輩、枕元に弟とのツーショット写真を飾ってますからねえ……。
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マダム、ムッシュ、貧しい哀れなガンダムオタクにお恵みを……。