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映画『男らしさという名の仮面』

2015年/製作国:アメリカ/上映時間:97分 ドキュメンタリー作品
原題
 The Mask You Live In
監督 ジェニファー・シーベル




予告編(海外版)


レビュー

 男性も女性も必見。
 ※若干論拠を欠く描写もありますけれども、女性は、男性のイマイチ理解することの出来なかった行動の理由が理解出来るようになり、自分たちにも刷り込まれている部分(男性蔑視&差別)についても気付きがあるかもしれません。

 本作は、アメリカの男性が幼少期から成人となるまでの期間に、親や社会、そしてメディア等により、どのように「歪んだ男らしさ」を刷り込まれてゆくのかを分かり易く描いています。
 また、どのような順番のどういった過程を経ることにより、本来持っている優しさ等の良い感情を抑えつけられ、奪い取られ、破壊され、捻じ曲げられて、野蛮で歪んだ思考パターンを当然と考えるようになってしまうのかも、とても分かり易く解説してくれます。

 「男らしさ」や「女らしさ」という仮面を、幼少期からの洗脳や、その後の同調圧力等により無理やり着けさせられ続け、疲れてしまっている人は、実はとても多いように思いますけれども、如何でしょう。
 「なんか男(女)性として生きてるのしんどいなぁ・・・」「何故男性は人前で泣くなと言われるの?」「何故女性を見下す男性は後を絶たないの?」等の疑問を思い浮かべたことはないでしょうか。
 本作はそういった疑問に、かなり明確な答えを提示してくれます。
 またもし本作にて描かれている情報が世界中の多くの人々に認知されたなら、現在の「男」や「女」という概念は、その大部分が「完全に時代遅れの思考パターン」&「悪習」であるということに、多くの人が気付くことになるかもしれません。
 そうなれば世界中に、そのような問題を解決しようとする試みは広まり、人々は過去や現在よりも、もっとずっと過ごしやすい、笑顔のあふれる(自殺者や差別や争いの少ない)、心地よい社会をつくることが出来るようになるのではないかと思います。
 ※「男らしさ」「女らしさ」なんて、実際には存在しない概念(妄想)でしかないし、価値もなければ必要も無い概念(妄想)だよねって思いますし、もっと言うと「男」「女」という「性別のカテゴリー」の監獄から、多くの人々が解放されて身軽になるよう、祈っております。
 

 以下、本作の印象に残ったセリフを記し、レビューを終えます。

 ・比較は幸福を奪う
 
 ・(学校の)優先順位では、(身体的な力の)強い子が上になる。そして弱い子は大勢の中の一番下に位置する。これが性差別と同性愛嫌悪の原点だ。性差別では、女は男より弱いとみなされる。同性愛の場合、ゲイの男は弱さと女性らしさの象徴のように扱われるのだ。子どもたちの関係においては、弱そうに見える子が標的なる。いじめるか、その存在を貶める。自分の中の弱い部分をその子の中に見るからだ
 
 ・みんなが同じフリをする。その結果、ほんとうに欲している親密さを失っている
 
 ・(思春期の男の子達が)お酒やドラッグを使うのは、ルールから解放されるためだ。寡黙で強くあれというルールからね。酔えば友達をハグし、大好きだと伝えられるからね
 
 ・学校は罰と言いながらまずは彼らを侮辱する。黒板に名前を書き廊下に出す。彼らの行動の裏にある問題を見ようとしないのだ
 
 ・12歳の選手に聞いた。女みたいなプレーだとコーチに言われたら?とね。打ち砕かれると彼は答えた。そう言われるだけで絶望的になるのだ。我々は彼に女の子のことをどう教えたのか
 
 ・私達は内省や自己認識に脅かされると関係ないと言って横に押しのける
 
 ・支配的な男の典型はテレビや映画などにある。強くて寡黙で支配的で、感情を表に出さない男です。ヒーローも同様です。激しい暴力的な行為で、目的のためには手段を選ばないヒーロー達。典型的な悪党もいます。彼らより暴力的な役割を果たすという特徴があります。そして永遠に成長しない子どものままの男もいます。筋肉がないタイプで、別の形で男らしさを表しています。そういう男は、女性をはずかしめ危険なことをするのです
 
 ・映像が行動に影響を与えることは明らかだ。そうでないと広告業界は成り立たない

 ・過度なジェンダーの強調は社会構成概念への恐怖や文化的緊張の反映。社会を体系付けシンプルにするため少年少女にプレッシャーを与える

 ・父親が子供と接するのは称賛されるのに、母親と息子が近い距離だとマザコンと言われてしまう

 ・共感や感情は女性特有のものであると考える




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