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Alex Henry Foster × Momoka Tobari 『Kimiyo』 海への旅

Alex Henry Foster (アレックス・ヘンリー・フォスター)
Momoka Tobari (トバリ・モモカ)
Ben Lemelin(ベン・レムリン)




はじめに

 まずは美しい音たちと世界の豊かなイメージに彩られた、
『A Silent Stream』 
『Under a Luxuriant Sky』
を聴いてみてほしい。

 本レビューには、アルバム『Kimiyo』(全曲視聴可能)、公式HP(日本語訳完備)、そして本作の「ボーカル」及び「詩(詞)の日本語による表現(通常の日本語訳とは一線を画す)」を担当したアーティスト、Momoka「noto」TOPページへのリンクも記載。
 ゆったりと、そして存分に、「去りゆく時のあわいに満ちる命の旋律」を、お楽しみください。


シングル 

『A Silent Stream』 


『Under a Luxuriant Sky』



アルバム『Kimiyo』


公式サイト

Momokaデビューアルバム『Lotus Boreal』は、2025年初頭にHopeful Tragedy Recordsよりリリース予定。


Momoka「noto」TOPページ























Secret Review

 『Kimiyo』の楽曲を聴いた際の私の脳の反応「通常のレビューを書く際には記さないであろう部分」を、ほんの少しだけ記してみようと思います。
 その多くが一瞬「脳裏」に浮かんでは消えてゆく、去りゆくイメージと感情のカケラゆえ、たぶん誰かが読んでくださったとしても、さっぱり意味がわからないのではないかと思います。
 しかし、そのような試みがなされているのを、余り見たことは無いため、読む人によってはもしかすると、楽しんでいただけるかもしれません。
 
 ※尚、本アルバムのアーティストの意図に関する考察は一切記しません。あくまでも本作に接した際の、とりとめのないパーソナルな一部の感覚と思考のみを記します。
 また私は無宗教であるため、本作のテーマとの感覚のズレは、否めないように思われます。

 

①『Of Dreams and Dust』
 記憶の闇に響くように、雨音と落雷の音。その音に寄り添うように、私の中ではもうひとつの雨音と落雷の音が、鳴り響いていた。
 その音は、ある大好きなカナダのミュージシャンの1stアルバム9曲目にて、出会った音。それは失いかけていた、私と自然の絆を、再び強く結びつけてくれた、人生で出会った最も大切な音のひとつ。
 
 不安を呼び起こすような、始まりを知らせるサイレンの音。小さい頃から舞妓になりたくて、舞やお茶のお稽古に憧れていたという、京都の女性の語りに、自分が子どもの頃、ビンタをされながら、強制的にさせられていたお茶のお稽古の記憶が蘇る。雨の音とサイレンの音が、自分の流した涙と暴力を受けて感じた恐怖と悲しさを呼び起こし、心拍数は跳ね上がり、体が熱くなる。

「はてしない傷」「ネオンの光(私の中では赤色)」「消えてゆき」「少しずつ漂ってゆく」「リズムは安定している」「あてもなく走りながら」「蠟燭に燈された火のように」「朽ち果てる自らの終焉にも気づかず」「かつて交わした約束を」「燃やして輝く」「願うことが 無くなるまで」「そして鳥が歌うのをやめる」「流れが続く中」「誰かの訪れを待っている…… まっている…… まっている……」
 詞の、そのような言葉と、弦楽器とピアノの音、そして雨音とサイレンが、記憶に刻まれた生傷の痛みを蘇らせながらも、優しく撫でてゆく。


②『A Silent Stream』
 PVに映し出された荒々しい北の海に、癒される。
 まるで自分の体内に日々うち寄せる感情の荒波を、肯定してもらったかのよう。
 ドラムスとギターの音が、心臓の存在を意識させる。
 「亡霊と孤独」「答えを探して」「誰かを求める……求める……」「ずっと昔に」「失った笑顔」「戻ることのない人の優しさ」「見守って欲しいと願った」
 ドラムスの音が止み、カメラが水中に生まれては漂い消える、無数の泡を、光と共にとらえる。その泡はまるで「私たち」であるかのように見える。
 録音されていない、水中の水音が聞こえる。泡の音も。その音に、包まれる感覚が心地良い。
 「鏡が 恐れを映しながら」「同じ輝きが 点滅する」
 カメラが水中から陸へと戻ると、ある意味攻撃的な光の存在を感じ、力強くせつなさを掻き立てる音の行進が、触れられたいと思っていた感情の中心へとズンズン近づいてくる。
 スピード感のあるスライド撮影にて映された、打ち寄せる波。その後に映る岩を打つ波、そしてその岩を優しく流れ下る波が、私の中の悲しみを捕らえて、拭い去る。岩を強く打つ波と飛沫が映され、再びドラムスとギターのリズムが鳴り響き始める。内面から外界へと引き戻された私の感情は、覆っていた鎧を剝奪され、波と風と音の群れとを、全身の肌から直に取り込み、体内の隅々まで、巡らせる。
 気が付くとドラムとギターの音は消え、替りにピアノとベースの音が引き継いで、鼓動の動きと呼吸を安定させてくれる。
 水位の深い場所のゆったりと大きくうねる波が映し出され、私の呼吸も、深く、そしてゆったりとうねる。
 
 水は最も柔らかく、最も固く、最も自在に形を変える物質。
 海水という水は地球上の全ての命の源。
 ゆえに全てのリズムの源であり、それゆえに全ての感情の源でもある。
 「愛」も「暴力」も「祈り」も、そして「微笑み」も、全ては「海」から生まれた。

 生命は、風が海水を押すことにより波を作り、その波により海水が撹拌されて、元素が様々に交り合う過程にて、偶然に発生したのかもしれない。
 人が、「海」や「波」の姿やリズムに惹かれるのは、その体を構成する細胞の全てが、海由来のものであるからなのでは? とも思う。
 だから人の「感情」の変化するさまが「波」の動きの変化に似ていると見るのは、あながち可笑しなことではないだろう。

⇩ 「波」を「感情」に置き換えて読むと、ちょっと面白いかも


③『The Edge of Time』
 
砂漠
 蜃気楼のように浮かび上がる、記憶の情景
 感情は乾き、忘れたい記憶の発する熱にヒリつくような、酸素濃度の低い、息苦しい世界
 歩いても歩いても、目の前には灼けつく砂の世界が広がっている
 ただそれゆえに、自らの身体を、命を、呼吸を、まだ生きていることを、強く実感する……というよりは、実感せざるを得ない……
 「時の果てに響く 柔らかなつぶやき」「地平線はぼやけている」
 「治らない傷のように 集められる ひび割れた窓」「逃げる歩みを 内側から追っている」「壊れた紙の人形は 囁きを生むことが出来ない」
 「景色の変化を 求めて叫ぶ 叫ぶ 叫ぶ……」
 「生きてる……息を…して…る……」
 「それとも誰かの過去の響き? 過去の響き? 過去の響き……?」
 「私は悲しい白黒のキャンパスに映った 消えゆくたったひとつの雲」
 「手の中で握っている見えない奇跡の流れ」
 「けれど それは なげきを持ってくるだけ 嘆きを 持ってくるだけ……」
 「永遠に停止した 転落…転落……どこにも導かない…どこにも導かない…」
 「無関心…無関心…無関心……」「私は生きてる 息をしている?」
 「それとも誰かの 過去の響き?」「時の果てに響く 柔らかな誘い」
 「私…を 生き…てる」「息を…し…てる 生…き…て…る…」
 

 
 ④『A Vessel Astray』
 
深い岩穴の底に流れ落ちてくるかのような 水音 鳥のさえずりが聞こえてくる 
 視線を上へ向けると 仄暗い岩穴に 光線が幾筋か射している  
 しかし穴の外へと這い上がることは 出来そうにない
 「方向を見失った舟」「海の侵食」
 「生まれることの無い子ども」「かつて光だった嘆きの象徴」
 「衰弱した鎖と共に 彷徨った挙句…横たわる……涙ごと……」
 「水と洗礼の物語」「喜びの幻影」「塩で血を洗う」「未来ごと……」
 肉体を放置し 魂(感情)の翼にて飛翔を試みるも それは叶うことなく 肉体へと引き戻される
 「信じる心が…」「愛と…その歌声には……」「枯れはてた先に…」「…輝かせる……」「駆けまくる……追っかけまくる……」
 「モザイクの空」「描かれた」「帝国と不信仰」「存在とその具象」
 「真実でさえも」「孤独に眠る……」
 「絶望を信じる……」「深く溺れてしまう恐怖のために……」「深く…考え込むために……」
 「人は…今後の…問い掛けをする…ひざまずいて…祈るのみ…ひざまずいて…祈るのみ……祈るのみ……祈るのみ……祈る…のみ……」
 
 
※「駆けまくる……追っかけまくる……」の部分は誤変換ではなく、個人的な音の解釈によるものです

⑤『All of Our Past Future Lives』
 
祈により 思考と感情の一部を 祈りのもたらす光の中へと焼却するとき
 心は時の流れに沿うように 明るい光の川を ゆっくりと 下ってゆく
 遠くの空から 鐘のが舞い降りて 私をそっと 包み込む

 「心に何があったのか 思考は教えてくれない」
 「静寂」「口笛を吹く風」「鐘の音」「よそ者の私たち」「新しい幸せを真似た音」
 「時計がとりとめもなく」「進み続けるとき」「過去と 未来の 人生が 飛び散る夜のように 動く…動く…動く……」
 「目隠しをして…」「…恐れている……」「死がその恐れではないとき」「命は その眺めを明るくする……命は…その眺めを…明るくする……」
 「すべての裏切りと 自己破壊的な別れのために……」

⑥『Autumnal Processions』
 
ここからの感想は、公的な空間に書くか書かないか迷いがあるため、今は保留に……
 いつか記すかもしれません……

⑦『Nocturnal Candescence』

⑧『Too Bright to Crumble』

⑨『Under a Luxuriant Sky』

 
 

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