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映画『オランダの光』

2003年/製作国:オランダ/上映時間:94分 ドキュメンタリー作品
原題 DUTCH LICHT 英題 HOLLANDS LICHT
監督 ピーテル=リム・デ・クローン
         

 



予告編

※予告編を見つけることが出来なかったため、本編のclipを・・・


STORY
 
17世紀オランダ絵画の巨匠たちの作品には「オランダの光(オランダの自然光)」の存在があった。
 しかしドイツの現代美術家ヨーゼフ・ボイスは「オランダの光」が1950年代に行われたザイデル海(現:エイセル湖)の干拓事業により失われてしまったと主張した。

 はたして「オランダの光」というものは、本当に存在したのか?
 そしてその「オランダの光」は、本当に失われてしまったのか?
 フェルメールをはじめとする巨匠たちの描いた「光」の色とは?

 今、「オランダの光」を巡る壮大な旅が始まる


レビュー

 「光を追う」作品です。
 オランダの四季の光をカメラに収めつつ、南仏プロヴァンス、アメリカのアリゾナ砂漠の光までを追い、光を採取、比較してゆきます。
 秀逸なのは、実写や絵画による光の比較のみならず、人々の語る「言葉による光」も数多く採取し比較(特定の人々の脳内にのみ存在する光も採取し比較)することにより、驚くほどにその検証の範囲を押し広げていることです。
 登場する発言は多岐にわたり、芸術家以外に天文物理学者、気象学者、美術史家、モニュメント・ヴァレーのガイド、果てはEU諸国を駆け巡るトラック運転手等までをも含み、そこに更に科学的な検証とその結果等も上乗せし、それらを編集によりたくみに織り上げてゆくため、途轍とてつもなく面白い作品に仕上がっております。

 また「オランダの光」を語る上において重要な位置を占める「水」に関する情報や指摘も、鑑賞者の知的好奇心を刺激する非常にエキサイティングなものとなっており、脳味噌を活性化してくれます。
 ※ちなみに様々な大陸の様々な場所の光を目にしたことのある人は、本作にて語られている内容をより理解(実感することが)可能となるため、間違いなく楽しい時間を過ごすことが出来るでしょう

 オランダの光は世界の他の地域の光とは本当に違うのか?
 何が真実で、何が神話で、何がフィクションなのか?
 そしてヨーゼフ・ボイスは正しかったのか?

 「光」への優れた検証と観察が、観る者の「見る」を新しい体験へと導きます。



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