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ZOOM株は未来のGAFAか?それともオワコンなのか。ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ徹底考察①

こんにちは、Starです。私はズーム・ビデオ・コミュニケーションズ株 $ZM に3月から投資していまして、ポートフォリオの主力です。最近のマーケットは在宅関連やハイテク・グロース株が下落、まるで昨日の友は今日の敵と言わんばかりの逆風でした。自分の資産が暴落するというのは100回くらい経験していますが(全く自慢できない😅)、この状況でもズーム株を買い増しており、機関投資家を除く個人日本人の中ではそろそろ持ち株数50位以内くらいに入っているのではと自負しています…確認はできませんけど。
ズームの将来に対し懐疑の声も聞こえる中、今こそ考察記事を書いておこうと思った次第です。

なお決算等経営数値の分析は他の方の記事で良いものが沢山ありますので、自分が経営者ということもあり経営的視点から深堀りしていきます。今日明日の株価が適正かとか、何が起きてもずっと持ち続けようといった議論ではなく、中長期的視点での企業研究です。またズームは11月30日に3Q決算発表を控えており、このノートを読んで売買したことによる責任は負えませんのでご承知ください。

さて先日のノートで企業のビジネスモデルを診断するチェックシートを作ったので、そちらの項目に沿ってズームを説明していきたいと思います。

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ズームの未来を占う上でのテーマ。それはひと言で言えば

ZOOMはコミュニケーションの社会インフラになれるのか?

ということではないでしょうか。
「人と会う代わりにアプリを使う」今年になって広く浸透した習慣です。来年以降ワクチンが出来て日常が戻った場合、これは避難的措置だったとして忘れ去られてしまうのか。それとも社会に欠かせないインフラとして定着するのか。ズームの未来はそこにかかっているでしょう。

1.利便性

ズームはオンラインミーティングアプリとして頭角を現しました。しかし人と人をカメラ映像で繋ぐ機能自体は新しいものではありません。古くはスカイプもありますし、私もLINEで良く使います。Google、アップルのFaceTime、Facebookも似た機能があります。
通信の歴史を紐解けば、ネットのスピードが速くなった2000年代中盤あたりから、キャリア電話での通話という文化は廃れ始めました。無料通信手段として最初に有名になったのはスカイプで、私のように古くから海外との連絡を必要としていた人の利用率は今も高いです。しかしその後チャットアプリ・メッセージアプリが普及し、スカイプは埋もれていきます。
アプリは寡占された無料のものが多いため、個人ビデオ通話は大きな市場ではなく、ズームのターゲットも会社や組織の「ビデオ・Web会議システム」でした。後続のズームが支持された理由は
・すぐに使えるオープンな設計
・ビジネスユースに耐える安定性
・使いやすさにこだわったUI、顧客重視
と言えるでしょう。パンデミックを機に個人に普及した際にもこの利点は活かされました。
GAFAMは従来型のモデル、つまりGoogleやFacebookなどの登録でユーザーを一元管理しサービスを提供する、そのクローズドな枠組みから離れられませんでした。しかしこれではユーザーの持っているデバイスや利用しているアカウントに拘束され、気軽なミーティングが出来ません。ズームは会議へのリンクURLを知っている人なら誰でもすぐに参加できるオープンなシステムを作り、垣根を低くしてユーザーを増やしていきました。オープンな設計は今年になりズーム爆弾などセキュリティの問題も生みましたが、その問題もクリアし利便性で群を抜いています。
(ズームの成長ストーリーについては、2019年のTECHBLITZさんの記事などいろいろありますので、参考にしてください。)

2.経済性(コストダウン)

2020年3月まだパンデミックが出始めの頃、ズーム株を買おうと思った理由は在宅勤務という視点が強かったです。私は海外で会社を経営していますが、何年も前から社員にリモートワークを許可しており、出勤にあまり価値がないという意見は理解できます(でもオフィスは持っていたりする)。しかし在宅勤務を取り入れていない企業の場合、コロナで出勤を規制されたとしてこれからどのようにコミュニケーションを取るのだろうと考えました。
昔から「テレビ会議システム」というものは市販されており、導入されているのを見たことはあります。でもそんなコストのかかるたいそうなものを入れたい企業が多いとは思えません。不況ですから尚更です。ズームを入れればせいぜい月2000円くらい払えば明日から対応可能。またオープン設計のため商談でも使えそうで、オフィスも顧客訪問もいらなくなります。よって「コロナに合わせて対策したいけどお金をかけたくない」という人たちが喜んで使うデフレ型のサービスであると当時思ったのです。大企業や秘匿性の高い業種は安全で高価なシステムを使うでしょうが、世の多数は中小企業です。
この低価格サブスクリプションという仕組みは、ズームアプリに限らず経営者にとっては優秀な仕組みで、私は自社の経理システムも数年前からサブスクにしていて経理担当も雇っていません。経営がどんどんスリムになります。
ただ問題もあります。社員とあまり顔を合わせないと何をやっているかわかりません。相手が家にいると急いで連絡したくても、子供の相手をしていたりして気を遣います。外国では家族第一の文化なので尚更です。休暇と勤務の境目があいまいになります。現行の社員の権利(雇用契約)は出勤を前提に作られているので、経営側には不利です。すると実績の出ない社員と中間管理職は必要ないという思考になりやすくなり、あちこちでリストラが起きます。気を付けてください。日本のように解雇しづらいと少し難しくなるかもしれませんが。
話を戻しますと、この不況時代、コスト削減できるサービスは強いのです。クライアントもズームを許容してくれれば、交通費・人件費で会社はお釣りが来ます。よってコロナが収まっても企業によるニーズはしばらく堅いでしょう。経営者はコストに敏感なものです。
ズームの使い道はオンライン学習など他にもいろいろありますが、顧客にとってコストダウンに繋がる道が多ければ多いほど、離反の低い安定したサービスに繋がります。これはコロナ後に生き残る上で鍵となります。

3.市場の伸び

オンラインミーティング市場はこれからも伸び続けるのでしょうか。意見の分かれるところだと思います。これは多面的に考える必要があります。
①世界における市場の広がり=ユーザーの拡大
②無料ユーザーから課金ユーザーへの転向
③他市場からの需要取り込み
例えばもしアメリカで市場が飽和したとしても他国では拡大する可能性がありますし(①)、もしユーザーの伸びが止まっても無料ユーザーから課金ユーザーへの切り替えが増えれば売上は成長しますし(②)、また想定している市場が頭打ちになっても他市場のパイを食って行くという方法も存在します(➂)。市場と言ってもいくつかパターンを考えられるのです。
ではズームは果たしてワールドワイドに市場を取れるのか。私は日々各国のアプリダウンロードランキングを見ていますが、参考までに国による傾向をご紹介します。
―ここで問題です。下記に11月20日現在の、ZOOM(ios)アプリ・国別ダウンロードランキング推移を貼ります(直近3ヶ月、無料アプリ+iPhoneのみ)。選んだのは、日本・アメリカ・インド・フランス合計4つの国です。パッと見てどのグラフがどの国かわかるでしょうか。
(注:左の目盛りは順位で国により変わっています。またこれはダウンロード数でなくアプリの順位なので傾向を把握する意味で使用します。)

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ちょっと難しいかもしれません。1番目と4番目のグラフは少し似てます。1番目は毎週日曜にランクが落ちているのが見て取れますが高位安定。2番目は最近どんどんランクが上がってきており、3番目は少し下がって行っています。
正解は…
 
アメリカ・フランス・インド・日本の順番です。アメリカについては、夏以降ランキングが落ち着いてますが、アプリの本場であることを考慮すると根強いです。フランスは8月に200位近辺だったものの、9月に上がりさらに10月30日からはロックダウンが始まった関係で、そこから顕著にランキングが上位になっています。インドは10月中旬からランクが目に見えて下降しています。日本は10月後半から低調でしたが、最近急速に上がっています。
その他の国のランキングも比較して見ていますが、総じて言えるのは
・アメリカではまだ根強い人気。引き続き最大市場。
・ヨーロッパはロックダウン後どの国も急速上昇中。ただしこの地域はMicrosoft Teamsも負けじと強い。デッドヒート。
・コロナが流行していても、インドを始め暖かい国・南米・英語を使用しない国などでは人気が下降気味。
こういった傾向を読み取れました。
良く言えば未開拓市場はまだてんこ盛り、悪く言えば先進国以外には不安定な人気と言えます。iosだけでなくアンドロイドでも調べましたが傾向は似ていました。地域によってそもそもオンラインミーティングが浸透していない影響がありそうです。ZOOMとしては「いろんな言語対応に奔走し各国で普及活動する」か、それとも「今ある先進国マーケットで課金ユーザーを増やしていく&利用シーンを広げていく」か。どちらが成功するかで市場の伸びの捉え方は変わってきそうです。
私見としては、無料ユーザーをどれだけ獲得しても売上にならないので、日常的にアプリ課金をする人が多い国にターゲットを絞るのが適切と思います。ちなみに世界の1人当たりアプリ支出ランキングといったデータもありますが、やはり先進国がドル箱のようです。無理に経営リソースを世界全体に振り分ける必要はないかもしれません(法人対応は別として)。ズーム本体もわかっているでしょう。
よって当面の市場の伸びは最初に挙げた
②無料ユーザーから課金ユーザーへの転向
➂他市場からの需要取り込み
にかかっていると考えます。

長くなりますので一旦ここで切ります。投げ銭や感想、良いねなど、反応があると嬉しいです。引き続きよろしくお願いします😊。

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