本当につくりたいものを、本気のチームでつくる / 川口 貴之
こんにちは。Stapleで設計デザイン・開発分野のクリエイティブディレクターをしている川口です。このnoteでは、僕の担当する仕事の内容や大切にしていることについてお話します。
Stapleとの出会い
この会社に出会ったのは、前職の同僚で先にStapleに入っていた、ミサから声をかけられたのがきっかけでした。当時はSOIL Nihonbashiの開発中で、僕はSoil work Nihonbashiの2Fの解体ワークショップに参加したり内装デザインのお手伝いをする形で携わりました。予算も時間もなく、異例のスピードで作り上げたんですが(笑)、今はシェアオフィス・Soil workの会員さんで賑わう場所になっていて、日々皆がそれぞれのスタイルで利用しているところを見ると、なんとかやりきって良かったなと思います。
Stapleでは設計デザイン・開発部門のディレクターですが、自分の仕事はその空間に関わるデザインから予算管理全般を扱う、空間デザイナーだと思っています。
具体的には自社開発案件のホテルやオフィスの内装デザインをやっていて、内装材を決めたり、インテリアのレイアウトを考えたり、照明をセレクト・配置したり。基本的に“ひっくり返しても落ちないもの”をすべて担当しているイメージです。今は内装だけでなく、新築の建築デザインも自社チームで挑戦中です。
こんな1週間を過ごしています
開発中の案件が各地にあるので、打ち合わせをしたり現地を見に行ったり、あちこち飛び回っていることが多いです。その間もずっとデザインのことを考えていて、考えたことを図面に落とすということを繰り返しています。
よくある1週間のパターンは、出張が2日くらい、出社してチームメンバーとコミュニケーションを取りながら開発計画を進めていくのが2日、残り1日は在宅で集中作業、という感じです。
Stapleが手がけるほぼすべての開発案件に関わっているので、正直仕事量は多いですが、メリハリのある働き方をしていると思います。
理想の開発・理想のデザインとは?
PMとデザインの両方をやるからできること
実は前職では、今と同じ開発に絡む企画業務ではあったものの、内装デザインには関わっていませんでした。予算管理やプロジェクトマネジメントを主に担当していて、内装デザインはまた別のチームと連携しながら進めていました。
でも自分の手を動かして内装にも携わりたかったので、友人の店舗など内装の仕事もずっとやっていて。Soil work Nihonbashiの内装デザインも、前職をやめて個人で活動している間に依頼されたものでした。その中で、やはり企画とデザインを両方やりたく、デザイナーとしてだけでなくデベロッパーの仕事も両軸でやらせてもらえるStapleが自分にとってとても魅力的に感じ、入社を決めました。
この“両方がやりたい”という思いが強くなったのは、ハウスメーカーで設計をやっていた頃に経験した縦割り体制に疑問を感じたからです。当時は営業部門=予算管理、設計チーム=営業から下りてきた与件にしたがって言われたように設計する、という体制だったのですが、僕はそれがイヤで設計担当でありながらお客さんとの打ち合わせにどんどん同席して、与えられた役割を超える視点も持ちながらやっていました。
というのも、デザインだけわかっていても良いものは作れないし、逆に予算を握っている側にもデザインのリテラシーがないと良いものは作れないと考えていたから。世の中の良い建築はだいたいクライアントのデザインリテラシーが高く、予算とデザインの意思疎通がうまくいった結果として素晴らしい建物や場所が実現できていると思います。
でも、開発やデザインの仕事に携わる中では、そうではないことがすごく多いと感じていたのです。
Stapleで僕が担当しているのはほぼ自社案件ということもあり、こうした「予算とデザインの意思疎通」や「愛情を持って開発に取り組む」ということが叶っていることに、やりがいを感じています。自分たちで資金調達をし、社内に決定権があり、会社としてこうしたいという意志が強くあることは、僕にとっての理想の開発&デザインができる環境です。
竣工写真はゴールではない、運営が入ってからが本番
そして、僕が思うStapleのもっとも素敵で他社にはない強みは、ほぼ自社案件だからこそ成立する“妥協のなさ”です。
チームメンバーはもちろん、会社全体がそれぞれの物件・プロジェクトに対して思いがあって、そこに向かってみんなで議論して本当に作りたいものを作り上げる、というのがStapleの開発の進め方。たとえばデザインに関しては社外の誰かに承認をとるのではなく、自分たちがデザインの承認権を持っているという状況です。
ただ、それは言い換えると自分たちで高いクオリティを出し続けないといけないということ。誰からも突っ込まれないということは、自分が純粋に良いと思ったものを作れると同時に、作らなきゃいけないという緊張感がある。そこが僕はStapleでの仕事の醍醐味だと感じています。
そしてもう一つ、Stapleのデザインにおいて特徴的なのは、社内にいる運営チームとの連携があることです。たとえばホテルを開発するなら、開業後の日々の宿泊オペレーションを担うチームがすぐ近くにいるので、デザインそのものが優れているかだけでなく、使い勝手が良いかとか、お客様に寄り添ったデザインかということを求められます。運営チームの目はすごく厳しいんです(笑)。
でも、建てるまでより建ててから運営していくチームの方がずっと長くその空間と付き合っていくので、厳しいのは当然のこと。一般的にはデザインのカッコ良さと使い勝手の良さは相反することが多いですが、デザインから運営まで一気通貫でコミュニケーションが取れていて、同じ思い・熱量で作るからこそ、“カッコ良くて使い続けられる”Stapleらしいデザインに通じているのかなと思います。
そして、作ったあとにその空間で何が起こるかという長い時間軸で開発を捉えているので、開業後にさまざまな人の手が入り、空間がどんどんアップデートされていくことを意識してデザインするよう心がけています。竣工写真を撮った瞬間がゴールなのではなく、運営が入ったことによってできる空間をゴールにしたいなと思っているんです。だからチームメンバーにもよく言うのが「我々は作品を作ろうとしているわけではない」ということ。自戒も込めて、忘れないようにしたいスタンスです。
描いている未来の景色
Stapleが手がけるまちづくりはたくさんの人を巻き込んでいきますが、デザインのプロセスにおいてもどんどん地域の人を巻き込んで進めていきたいと思っています。僕たちのプロジェクトに関わったことで、それまで日の目を浴びることのなかったその地域のプロダクトやインテリアに光が当たって、ハッピーになる人が増えたら嬉しいです。
今は流通が発達していろいろなものがどの場所でも扱えるようになりましたが、その多様化の反対側にはおそらく均質化があって、どこでも同じような空間ができるようになってしまいました。タイルひとつ選ぶにしても、カタログからイタリア製のものを簡単にセレクトできてしまう。でもそれだとデザイン的には成立しても、プロセスとしては自分たちがやりたいことではない気がしていて。
ひと昔前の建築や家具は、その場所で取れる素材で如何にコストコンシャスに作るか、が前提条件にありました。その土地らしいまちづくりをするからにはやっぱりその場のストーリーを大事にしたいから、これからはもっと地域でとれる素材を使ったり、地域で事業をしている人を巻き込んだデザインをしていきたいです。
こんな人、ぜひ仲間になりましょう
デザインが大好きで、とにかく前向きな人はきっと楽しめるお仕事だと思います。
デザインの仕事はけっこう忍耐力が必要なのですが、僕は経験上、何かにぶつかった時に良いデザインが生まれることが多い気がしています。そしてぶつかった時に前向きさがあると、安易に妥協案を考えてしまうのではなく、粘り強く考えてポジティブなデザインに変換できると思います。
僕自身がそういう人と一緒にお仕事をしたいなという思いもあるので、我こそはという方はぜひエントリーしてください。
一緒にStapleらしい思いのこもったデザインをしていきましょう!
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ご興味をお持ちいただいた方は以下URLからお申し込みをお願いします。