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酒提供なしの日本料理店がNo.1の称号を獲った理由

規矩準縄(きくじゅんじょう)
→ 物事や行為の基準、法則、ルール。

物事には一定のルールが必要だ。

ただ、そのルールは国や地域によって大きく異る。

わかりやすくいえば、日本では大丈夫なのに外国ではダメということや、逆もまた然りだ。

法律で年齢も限定されていることも多々ある。

ビジネスをするということは、そんなルールの中で戦わなければいけないわけだが、ルールに縛られすぎるのも良くない。

当たり前と思っていることが、実は当たり前でなかったりするし、縛りを逆に利用するということもできるからだ。

その好例とも言える良記事を発見したので、紹介していこう。

日本料理店のポテンシャル

飲食店の売上はお酒が大半を占める。

日本では比較的、常識とされている概念ではないだろうか。

食事だけでは原価率を抑えることができず、お酒の提供で利益率を上げるということは理にかなっているし、否定するつもりもない。

私が飲食店を経営するとしても、基本的にはこの座組で挑戦するだろう。

でも、その考えを根底から覆す記事がこちらだ。

酒提供なしの「日本料理店」が、中東・北アフリカNo.1になった理由

(出典:Forbes)

舞台は、中東・北アフリカ。

そんな土地を舞台に、世界のベストレストラン50の地域版である、中東・北アフリカベストレストラン50が立ち上がり、2022年2月7日、アラブ首長国連邦でその授賞式が行われた。

対象となった国は、中東の14ヶ国。

・アラブ首長国連邦
・バーレーン
・クウェート
・オマーン
・カタール
・イスラエル
・ヨルダン
・レバノン
・パレスチナ
・シリア
・イラン
・イラク
・サウジアラビア
・イエメン

そして、北アフリカの5ヶ国。

・アルジェリア
・モロッコ
・チュニジア
・エジプト
・リビア

上記の中の1カ国でも訪れたことがある人がどれだけいるだろうか。

もしかすると、生涯訪れることのない国も多いかもしれない。

そんな国々の中での表彰式は、驚くべきことに、発表された50店のうち15店が日本料理店、もしくは居酒屋風など日本料理に影響された店だった。

そして、栄えあるNo.1に輝いた、3 fils(スリーフィルス)も、日本料理に強く影響を受けたお店だった。

No.1に輝いた3 fils(スリーフィルス)とは?

19ヶ国の頂点に立った、3 fils(スリーフィルス)は、2016年にアラブ首長国連邦にオープンした。

多国籍なスタッフで構成されていて、オーナーが敬虔なイスラム教徒ということもあり、店でアルコールは一切提供していない。

それにも関わらず、No.1の称号を手に入れた。

その理由、そして、なぜこのように多くの日本料理店がランクインしたのか。

まず、毎日の継続的にきちんとした仕事をくり返すことが、質の向上にはとても大切なことだとする日本料理の精神性に深く感銘を受けるという。

それから、中東の料理は油ベースだが、日本料理は油に頼らず旨味を中心に構成されている料理だという点も評価が高い。

つまり、日本料理のヘルシーさも人気の秘訣だということだ。


そして、3 filsには昨年の2021年から、日本人の城間俊シェフが加わっている。

城間シェフの参画により、魚の扱いがガラリと変わり、地元の魚がテーブルに上ることが増えたそうだ。

品質を保つポイントは、元々の魚の個体差もあるが、刺身の魚は釣ってからいかに短時間に低温で処理ができるかだという。

また、南国では水道水がぬるいことが身質の劣化に繋がっている。

そこで、冷却水を取り入れて良い状態に保てるようにしているのだという。

そんなテクニックを合わせて、日本料理というよりも日本料理をローカル化した料理を3 filsは提供していると本間シェフは語っている。

実際に提供している料理には、刺身や寿司だけでなく、低温調理したラム肉にバーベキューソースを合わせた料理や、ハンバーガーなども並んでいる。

寿司もアスパラガスの天ぷらを巻き、半熟の卵にスパイシーマヨネーズを合わせたものなど、地元の人たちが食べたいものに合わせてアレンジされている。

酢飯は日本と比べて酸が控えめで、やや甘めになっているのは、アルコールを飲まない人が多く甘いものが好きな人が多いからだそうだ。

どうやら中東というマーケットでは、甘味というのが大きなポイントになるようだ。

日本料理の進化

日本料理とペルー料理が合わさって、Nikkei料理が生まれたように、中東・北アフリカ地域からも日本料理の進化版が生まれるかもしれない。

その理由の1つとして、中東の地元の一般的なレストランではアルコール提供をしない店も少なくないことが挙げられる。

アルコール提供するには、酒類提供の免許を取らなくてはならず、高級ホテルや大手の飲食グループなどが中心となっている現状がある。

3 fils(スリーフィルス)の場合は、オーナーの宗教的な思いがあるのだが、そもそも小規模な個人店は免許を取るのが難しい背景があるというわけだ。

それが、日本と全く同じ料理を作ることを難しくしている部分もあるという。

調理にアルコールを使うのも許可制で、その免許をとっていないため、日本料理に欠かせないみりんや料理酒も使えないそうだ。

そして、使うのはハラル食材のみで、豚肉はご法度。

そんな制約が多いイスラム地域において、日本料理が進化していく可能性が高いことは想像できるだろう。

まとめ

3 filsでは、アットホームな雰囲気もしばしば感じられるそうだ。

キッズメニューもあり価格帯も比較的カジュアルだ。

イスラムの国々では、伝統を守り今も大家族で食事をすることが少なくない。

そんな環境で上手く順応できるの日本料理には、まだまだポテンシャルがあるということだ。

私ももう10年以上前になるが、上海に拠点を置き、様々なアジアの国を訪れていた時期がある。

そんなとき、日本に戻って心から感じていたのが、飲食店のクオリティの高さだ。

コスパ重視になりつつある感覚には少々違和感を覚えるところもあるが、自信を持って日本の食文化は世界一だと誇ることができる。

そして、その可能性はまだまだ世界中で拡がっていくことを確信した。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。