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ニューノーマル時代に適応するための中小企業のDX戦略

騎虎之勢(きこのいきおい)
→ 虎の背に乗った者は、途中で降りれば虎に食われてしまうという意から、物事の成り行き上、中止で出来ないことのたとえ。

もはや止められない流れがある。

デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXという言葉がバズワードになって、様々な企業が打ち手を発表している。

2020年以降、新型コロナウィルスの感染拡大に対応するため、非接触という生活様式が常態化し、こうした変化はニューノーマルと呼ばれている。

ニューノーマル時代において、企業が勝ち残るために業務内容やサービスの改善および変化にデジタル技術の活用は避けて通ることはできない。

こうしたデジタル技術による変革が、いわゆるDXというわけだ。

生活様式の変化がもたらす経営への影響

緊急事態宣言による経済活動の停滞によって、2021年4月の段階で約7割の中小企業がマイナスの影響を受けたと回答している。

マイナス影響の内容として、企業および消費者の需要減少に次いで、営業活動の制約が挙げられており、対面接触機会を制限された影響が大きいことを表している。

こうした状況の中で、オフィスへ出勤せずに業務を行う在宅勤務や、オンラインによる会議や営業手法など、非対面接触を前提としたワークスタイルへの早急な転換が求められるようになった。

同時に、人々の消費行動や価値観も大きく変化している。

顧客に対しては、都市から地方、オフィス街から住宅街へのエリア戦略の見直しと、利用用途の変更も余儀なくされている。

例えば、カラオケが会社員にテレワークを行う場所として提供されているといった具合だ。

また、提供価値を物理的なサービスをオンラインで提供するようになっている。

オンライン診療、エンタメイベントの生配信、アプリ上での衣類の試着といった具合だ。

そして、感染症の予防や軽減、ポストコロナにおける新しい価値観も生まれつつある。

さらに、収益モデルにも大きな変化が起きている。

その場限りの取引であるフロービジネスから、継続的な取引のストックビジネスが主流となり、固定費の削減するため、オフィスの解約や通勤定期代支給の廃止も一般的になった。

それに応じるように、業務スタイルもオンライン化され、業務の自動化と人員配置の見直しも行われている。

日本企業が直面する「2025年の崖」

DXに向けて企業が進んでいる中、2025年の崖という問題を知っているだろうか。

既存ITシステムの崖と呼ばれる問題のことをいう。

2025年の崖とは、20年以上利用してきた各企業の基幹システムを速やかに刷新しなければ、様々な問題が2025年ごろに顕在化するという警告と置き換えることができる。

いわゆるITゼネコン問題が日本の大企業には必ずある。

企業が自らシステム開発をせず、仕様書だけ書いて下請け企業に流すという悪しき習慣だ。

その目をつむってきた問題が2025年に顕在化するというのである。

・21年以上基幹システムを刷新していない企業の割合:60%
・日本全体で不足するIT人材:43万人
・IT予算全体に占める保守および運用に係る予算割合:90%以上
・システム老朽化に起因する毎年の経済損失:最大12兆円

具体的には上記の問題が懸念されている。

業務プロセスを変革するDXへの取り組み

企業が様々なITツールを使い始めているのは、誰もが知っていることだろう。

オンライン会議のツールを使ったことがあるという人がほとんどのはずなので、このあたりは割愛するが、これだけでは完全に業務プロセスを変革したとはいえない。

デジタル化は段階と内容によって、デジタイゼーションとデジタライゼーションに分別されることを理解しよう。

デジタイゼーション

情報がアナログからデジタルに変換されることで、データ化と同義だ。

例えば、脱ハンコ化、ペーパレス、手書きデータや音声をデジタル情報として保管するといった具合だ。

デジタライゼーション

業務プロセスやビジネスモデルがデジタル技術によって変換されることをいう。

デジタイゼーションでデータ化した情報をAIやRPAによって自動化して処理する、または情報と情報をつなぎ合わせて分析を行うことを意味する。

まずは、点在するアナログ情報をデータ化する、デジタライゼーションを行う。

こうして、データ化された情報は線として繋げることが可能になり、効率化や利便性の向上、つまりデジタライゼーションを達成することができるというわけだ。

そして、各点を結ぶ線が1つの面になり、より大きな変革が起きることをDXと捉えることができるのである。

DXに貢献するデジタル技術

実際にDXの推進のために使われる代表的なデジタル技術を紹介していこう。

クラウド

クラウドコンピューティングの略称だ。

具体的なサービスを紹介した方がわかりやすいと思うので、代表的なサービスを挙げると、AWS(Amazonが提供するクラウドサーバー)、Google Workspace(Googleが提供するサービス)などだ。

IoT

Internet of Thingsの略称で、モノとインターネットが繋がることで、人を介さないリアルタイムな情報収集や遠隔操作が可能となる。

この領域については、まさにstak社が目指している世界観そのものなのだが、スマート化することが可能になる。

例えば、スマートハウスでは、スマートフォンなどから遠隔操作によって自宅の照明やエアコンが稼働できる。

AI

Artifical Intelligenceの略称で、人工知能と同義だ。

具体的なイメージは、YouTubeで視聴者がよく見る動画の傾向などを学習し、同じジャンルの動画をレコメンドする場面を想像すれば理解しやすいだろう。

API

Application Programming Interfaceの略称で、ソフトウェア同士をつなぐ窓口だと理解すればいいだろう。

本来は、異なるシステム間でデータをやり取りすることが目的であったが、 現在はアプリやシステムのサービスを連携する目的で使用されることが多い。

ブロックチェーン

簡単に一言で片付けられるものでもないが、分散型台帳というイメージを持っておけはいいだろう。

別々のブロックで管理されたデータをつないで処理を行う画期的な技術で、過去データの改善などを防ぎ、取引内容を記録していくことが可能だ。

まとめ

DXの成功例も少しずつ登場し始めている。

ただ、それは必ずしも大きな投資を行っているものではなく、その裏側にはリーダーシップを発揮したトップがいるというヒエラルキーになっている。

中途半端になにかを始めても結果など残るはずもなく、ビジョンを明確にすることが重要なのである。

これがずっとできなくて、ITゼネコン問題による失われた20年、今や30年と呼ばれる時代となった。

大企業は、これ以上の失われた時間を増やすことがどれだけ不毛かを改めて考えるだけでなく、どこかでは必ず切り替えなければいけないことを再認識すべきだ。

そして、もはや痛みを伴わない改革は起こせないので、誰かがどこかで損切りしなければ未来はないだろう。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。