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ドイツからみた日本の医学部教育

現代における多様なキャリア形成の選択肢

正直、ドイツのシステムと比べた際に、日本の医学部6年+初期研修2年というのは長すぎる。教養と研修を含め6年でやっているのがドイツ医学部。彼らはその卒業後すぐに、自分の専門への道に入る。たとえば循環器内科に「入局」して、その一環として他の内科部門や集中治療をローテーションして経験していく。最終的に約6年で専門医が取得できる。
昨今の医療経済や雇用状況を顧みると、医学部の全員が同じようにジェネラリストを前提とした教育を受ける必要は全くないのではないか。例えばジェネラリストや家庭医を目指す人にはそのプログラムを組む。地域医療、地方での医療に関連することも多いため、その専門医資格を持った医師の給料にはインセンティブをつける必要がある。
 
近年のドイツでは医学部卒業した学生の1/3が、病院ではない場所での働き方を希望しているようだ。日本でも同様の事を考える医学部生は増えていると聞く。
  
・起業
・企業就職
・データサイエンティスト
・行政
・国連
 
こういった選択肢を求める人が増え、多様性が増えてきている。多様性の可能性に対抗するのは、日本の「集団行動」や「横並び」を重んじる思想だろう。

日本から出る、海外で働く、という選択肢

多様性のある選択肢として、日本から出て海外で働く、というのがある。最近本当に多くの医学部生や医師から問い合わせを頂く。彼らは将来ドイツやヨーロッパで医師免許を取得して永住することを視野に入れており、現地での働き方や生活、書類の準備方法について問い合わせを頂く。

あるいは、どのタイミングで海外に行くべきか、という相談もある。
 
いずれにせよ、早い段階から視野が世界にあって素晴らしいと思う。
可能ならば、学生時代の僕に少しでも教えてあげたい。 
 
海外を視野に入れたとき、世界標準の能力を準備していくことが後々身を助けることになるだろう。

先日、当院のボスにアプライしてきた24歳のトルコ医学生。
・母国語のトルコ語に加え、英語C2、ドイツ語C2、フランス語B2の語学資格能力
・研究論文6本(うち1st 3本)
・在学中に複数回の海外研修経験
・5人の教授(母校および研修先)からの推薦状
をひっさげて、無給で6-9ヶ月研究、その後専修医として雇ってほしい、というものだった。 
 
さすがにボスの目にも良く写ったようで
「みんな、ぜひ一度書類をみてくれ。もし彼が遂行できる研究できるテーマを提供できるならぜひこのオファーを受けよう。それで私たちのところにフィットするか見極めよう。」というもの。
 
つまり
・語学能力
・論文執筆能力
・国際経験
・在学中からの研究
・複数の教授からの推薦状

 
このあたりが国際的に評価される基準になるのだろうか。おそらく志の高い医学生にとっては「そんなの常識だ」というレベルのことだろう。
 
世界には猛者が多くいる。日本を国際社会にするには、若手がその土俵にあがるチャンスを増やすには、上記の点を意識した教育・支援体制がこれからの医学部に必要なのではないか。


 



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