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※悪魔の傾聴※マーケティング・リサーチに関わる人には全員読んでほしい。

こんにちは。
フリーランスのマーケティング・リサーチャー、眼力女子です。
久しぶりに読書をして心に刺さったので、久しぶりにnoteに投稿してみようと思います。

今回ご紹介したい本はこちら。

ノンフィクションライター 中村敦彦著
「悪魔の傾聴」飛鳥新社
2022年9月 第一刷出版

この本に書かれていることは、マーケティング・リサーチの世界でのインタビュアー・モデレーターの基本技能そのものです。


心理的に相手が安心できる環境や雰囲気を用意し、
相手の話をすべて受け入れて、否定しない。
自分の意見や感情は出さない。常に中立の立場で。

質問は、オープンクエスチョンが基本。
相手のキーワードを見逃さず、
ピックアップクエスチョンを重ねていく。

相手に関心を持ち、話に興味を持つ。
相手の体験や感情に寄り添わない。
過度なリアクションはしない。

話は最後まで聞く。途中で口を挟まない。
相手のペースやリズムを尊重する。
沈黙を恐れない。過度に言葉を重ねない。


このスキルは、インタビューでだけでなく、クライアントとの関係性構築や上長・部下といった会社内での人間関係にも役立ちます。

もちろん仕事上だけでなく、ふだんの人間関係でも活用できます。

・・・だから、私は夫に「家庭内にインタビュー・テクニックを持ち込むな」と言われたのか。

悪魔の所業だとは自覚が足りませんでした。


この本に書かれているスキルはすべて「その通り!」と共感できることばかりがかかれています。ただし、やはりルポとリサーチでは異なる要素もあるにはあります。

マーケティング・リサーチのインタビューでは、必ず課題解決としての目的や目標があります。そのことを念頭に質問を深めていくことがまずは異なるのかなとは思うのですが、上記のスキル加えて、私が個人的に心がけていることがさらにもう1つあります。

それは、人間は必ず「ウソ」をつく、ということ。

そのウソは意図的であったり、無意識だったりします。
そのウソをインタビュー中に明らかにしなければならないと思っています。
それが、マーケティング・リサーチャーとしての役割だと思っているので。


そのために必要なのは、言語と行動の不一致を早い段階で見極める能力。

人は、誰かに自分の話を聞いてもらうのがとても好きです。
目の前の相手に、(無意識に)サービスで過剰なトークに盛りがち/あるいは謙虚に語りがちだったりするものです。
だからこそ、インタビューの前段で対象者に思う存分好きなように語らせる時間を持ち、その語り口や内容から「(ある意味)矛盾点」を拾い出しておくようにしています。

例えば、「この商品とても良かったのよ」ってポジティブな話をしているのに表情や態度が楽しそうではない/逆にネガティブな話をしているのにイキイキしている等。

また、自己紹介ではぺらぺらと話しているのに、本題に入るといきなり口が重くなる、あるいは、インタビュアの目をみなくなる等。

他にも、最初に言ったことと後から言ったことが一致していないとか、話していることとその人の外見から受ける印象がどうしても一致しないとか、気になればたくさんみつけられるはずです。

その「矛盾点」が、対象者の本音を引き出すヒントとなっていくのです。


デプスインタビューでは、ファネルのように質問していくのが定番です。
真綿で首をしめるように、とも表現されることがあります。

要は、

最初は間口の大きな質問から始め、ピックアップクエスチョンによって深めていき、最終的に矛盾点を突き付けて(ときとして本人も気づいていなかった)本音を引き出すことにつながっていくのです。


こう話して整理していくと、やはりリサーチ・インタビューには専門的な技術がいるんだなぁと思うのですが、昨今、そういう特殊スキルが必要だということをわかっていないような人が増えている印象です。

ユーザーインタビューを開発者自ら行うのは結構なこと。
生の現場の声を自ら拾いに行こうという姿勢は良きことです。
でも、ただ聞けばいいってもんじゃない。

適正な相手に適正な取得方法で得た情報でなければ、適正なマーケティング・ディシジョンも下せないはず。

インタビュースキルの価値をもっと今の日本の世の中に認めてもらうのはどうしたらいいんでしょうか?私に何かできることはないんでしょうか?

最近の私の悩みはもっぱらそんな感じです。



最後までお読みいただきありがとうございました。



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