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ストーリー・テラーに憧れる。

2008-03-02 01:09:44

テーマ:日記モード

どうして、そんなトシになって作家なのか?
たぶん、多くの人にはそれが理解できないだろう。
ネット上の小説投稿サイトを覗いてみても、その中心は十代後半から二十代だ。
そのことは、投稿された作品をちらっと読めばすぐにわかる。
そこには、人生に少々疲れたサラリーマンも、都会の片隅で葛藤しているOLの姿も、ない。
もちろん、話し始めたら複雑な過去をもつ、ビルのガードマンや地下街の掃除のおばちゃんも登場しない。
いい意味でも、悪い意味でも、「蒼い」のだ。
(ま、「蒼さ」が羨ましいのも事実だが……)
たまに、トシをかさねた人っぽい作品も見かけるが、それはどちらかといえば既にリタイアしたシニア世代であり、「人生とはこうである!」という「断定・総括モード」に入っていることが多い。
結局、その中間、いろんなことに思いをめぐらしたり、迷ったりしているはずの世代の書き手がぽっかりと抜け落ちているのだ。
「仕事や子育てで忙しいのにそんな書生じみたことなんかできるかよ」
もっともだ。
しかし、自分は、これまでの、短くもなく、かといってそれほど長くもない人生の中で、経験したことや、出会った人々を、あえてその慌ただしい中、自分なりに思いをめぐらせながら描いてみたい。
そう、描きたい、そして、語りたい、のだ。
それは、画家が人物や風景を切り取ってキャンバスに描いていく作業に似ている。
筆の代わりにペン(正確にはキーボード)を使い、独自のタッチで

「こんな人がいて、こんな人生がありますよね、あなたの周りにもいるでしょう、こんな人。もしかしたら、それはあなた自身かもしれませんね、
どう思います?共感できますか、まったく共感できませんか?」

などと。

そして、主人公の男性や女性は、ちょっとカッコよく、それでいて切なく描いてみたい。
とどのつまり、作家とは、ストーリー・テラー、なんだと思う。
いろんな人の、いろんな生き方を、描いて、語ってみたい。
そんな想いから、現在、小説を書いているのです。
ストーリー・テラーに憧れる……。

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