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障がい特性を踏まえたテレワークで、今はリーダー職にも挑戦中。自宅で働きながら広がるキャリアの選択肢

通勤困難な重度身体障がい者の完全在宅就労を推進しているスタッフサービス・クラウドワーク。同社では、在宅で働く社員(クルー)を雇用するだけでなく、継続的な就労の中でキャリアを広げたりやスキルを高められるような成長支援に力を入れています。障がい特性によって働き方に配慮が必要なクルーは、どのように新たなチャレンジをおこなっているのでしょうか。

今回は、現在リーダー職を務めるクルーの達下たてした 英明ひであきが登場。人材開発課 マネージャーのしば 宏幸ひろゆきにも、クルーのキャリア支援について聞きました。

在宅で働く障がいのある社員に、もっと多様な仕事・キャリアの選択肢を

多様な人材が活躍できる社会の実現は急務です。厚生労働省は2023年3月に「障害者雇用対策基本方針」を改正。障がい者雇用における「質の向上」として、障がい特性や希望に応じて能力を有効に発揮できる就職を実現することや、雇用後もその能力等を発揮し活躍できるようにすることが、雇用主の責務として明確にされました。

また、雇用主に求められている障がい者の法定雇用率は、現在の2.3%から2024年には2.5%へ、26年には2.7%へと段階的に引き上げられることになっています。今後は障がい者の雇用機会を増やすことだけでなく、障がい者一人ひとりが中長期的に自分らしく活躍するための仕組み・環境づくりの両軸で取り組んでいくことが欠かせません。

スタッフサービスグループでは2015年からスタッフサービスグループの人材サービスのバックヤード業務を担う、在宅就労事業を2016年より本格スタート。2020年には在宅就労専門の会社として設立したのがスタッフサービス・クラウドワークです。テレワークで働くことが一般的でなかった時代から、完全在宅ワークの障がい者雇用に挑戦。クルーの増加とともに担当業務も徐々に拡大し、チームマネジメントや難易度の高い職域にもクルーの活躍の場は広がっています。


「雇用機会創出」のその先へ。誰もが自分らしく活躍するためのキャリア開発に挑戦中

柴 宏幸(しば ひろゆき)
株式会社スタッフサービス・クラウドワーク
事業推進部 人材開発課 マネージャー

障がい者雇用では、障がい特性に応じて「できる業務」と「できない業務」を明確化し、社内の既存業務の中からできる業務を切り出して任せていくことが一般的です。当社でもこの方法で、これまで働きたくても働けなかった多くの障がい者の人たちの働く機会を生み出すことができていたのも事実。その一方、一緒に働く仲間が増えるにつれて、これだけで良いのだろうかという疑問も湧き上がってきました。
 
個人の属性や特性を見て、できる・できないの線引きをしてしまうことは、果たして正しいのだろうか。本人がやりがいを持って働ける状態になっているか。新しいことにチャレンジし、自分にできることが増える喜びを提供できているだろうか…。もっと一人ひとりの志向や能力にあわせた仕事で活躍できるような会社にしたいと考え、私たちの挑戦は始まりました。

クルーの能力開発・キャリア支援において、私たちが大切にしてきたのは、同じ職務の中でより難易度の高い仕事に挑戦することや、チームを引っ張るマネジメントやリーダーなどのような縦方向の成長と、担当できる仕事の幅を広げていくような横方向の成長、つまり職域の拡大です。

入社後のクルーは、マニュアルで定められた業務を担当することからスタートし、本人の志向や能力にあわせて「新たな業務のマニュアルづくり」「定例ミーティングの司会進行」「複数のクルーをまとめるチームリーダー」といった機会に挑戦。いきなり任せるのではなく、小さなチャレンジを少しずつ積み上げながら、「できる」を増やしていくことを大切にしています。また、個人の業務習熟度を見える化したスキルマップを作成。スキルを可視化することで新しいものに挑戦したり、学んだりする意欲を高めています。
 
そうした取り組みの延長線にあるのが、私が現在マネージャーを務める人材開発課です。2023年4月に立ち上げたばかりのこの組織には、業務がより複雑で関わる人も多い、難易度の高い業務を集約。社内外に向けた研修講師や、社内広報、グループ外の一般企業から受託した「ウェブアクセシビリティ」検査業務などを担当することで、クルーのキャリアの選択肢を広げることに挑戦しています。そのため、クルーが業務に取り組んでもらう前には、この仕事は誰のために、なぜ必要なのかを考える機会を持つなど、仕事の意義を自覚しながら主体的に取り組めるような支援を大切にしています。
 
私がこの組織で実現したいのは、クルーの適性を活かしながら幅広い業務を引き受けていくこと。なぜならここで人や業務が増えることが、一人ひとりの持ち味を発揮した活躍を実現していくことに他ならないからです。私たちが先んじてさまざまな職域への挑戦を実現することで、社内はもちろん、社会に向けても障がいのある人たちの多様なキャリアの可能性を示していきたいです。


入社1年目から小さなチャレンジを重ねるうちに見えてきた、リーダー職の道

達下 英明(たてした ひであき)
株式会社スタッフサービス・クラウドワーク
北海道・東北エリア推進課 岩手県在住

手足の自由が利かない感覚を覚えたのが35歳のとき。「脊髄小脳変性症」という難病指定を受けました。それまでの私の職業は身体を動かす仕事だったため、泣く泣く勤務を断念。身体への負担が少ない別の仕事に就いたものの、症状の進行とともにそれもできなくなりました。妻・子どもと暮らしている岩手県では自分に出来る仕事がなかなか見つからず、休職期間は1年に。そんなときにハローワークで紹介をしてもらったのが、スタッフサービス・クラウドワークでの完全在宅ワークの仕事です。私がこの仕事に出会った2017年は、今ほどテレワークが世の中に浸透していなかった時代。そんな条件の仕事があるのかと驚いたのと同時に、通勤に不安があった私にとっては奇跡のような出会いでした。

東北エリアで初めてのクルーとして入社。任された仕事は求人情報マーケットのネットリサーチ業務でしたが、私はこれまでパソコンをほとんど使ったことがなく、自分に仕事が務まるのかという不安もありました。でも、上司や一緒に働くクルーの仲間が支えてくれましたし、もっとできるようになりたいという想いで勉強するうちに、業務を習得。そのうち、マニュアルのある規定の仕事だけではなく、少しずつ自らの意見やアイデアが求められる仕事も任せてもらえるようになりました。後輩クルーの教育担当を務めたり、新たにチームで引き受ける業務のための最適な業務体制・プロセスの構築を上司と2人3脚でおこなったり。そんな風に自分の仕事が広がっていくのが楽しくもありました。

そうした日々の中で、2022年からはリーダー職を務めることに。はじめに上司から打診されたときは、正直全く自信がありませんでした。でも、振り返ってみるとこれまでも少しずつ新しい経験に挑戦してきましたし、私にそうした機会を提供してくれた会社にも貢献したかった。いろんな仕事にチャレンジしながら成長する楽しさを教えてくれたことへの恩返しのつもりで、踏み出すことにしたんです。

リーダー職として任されているのは、私を含め11人のチームで、入社当時にもおこなっていた求人情報マーケットのリサーチ業務。リーダーになったことで、仕事の進め方はもちろん、クルー一人ひとりの成長やモチベーションを意識したチーム運営を意識するように。この会社でみんなが活き活きと働ける状態をつくることが、私の役割だと思っています。また、今の立場になると、チーム以外のクルーや他エリアのリーダーとの横のつながり、関係部署とのやり取りなど、組織を越えた接点が各段に増加。そうした機会を自らの学びに変えることだけでなく、得た知識や経験をチームに還元することも意識するようになりました。

▲休みの日に愛犬とお出かけするのも、楽しみのひとつです

また、キャリアアップが実現できたことは、プライベートにも良い影響を与えています。我が家には中・高生の子どももいますので、家族の生活を支えるためにもキャリアアップと連動して収入がアップできたのは非常にありがたいこと。また、別の会社で働く妻も近い役割を担っているので、以前よりもお互いの仕事の楽しさや苦労が分かり合えるようになりました。私の苦しい時期を支えてくれた妻に感謝しつつ、夫婦としてフラットに仕事の話をしあえる関係性になれたことも嬉しいです。

今後も私は、機会をいただける限り新たな仕事・キャリアに積極的に挑戦していきたい。振り返ってみれば私は入社して6年の間、ずっと在宅で仕事をしてきましたが、所属する北海道・東北エリアの仲間はもちろん、関東・東海・近畿・九州などいろいろなエリアで働く人たちとも出会い、刺激を受けてきました。岩手にいながら自分の可能性を広げられたことに驚いています。

また私が挑戦を続けたいのは、自分のためだけでなく、私の次に続く人たちのためにもなるからです。私が会社とともに成長する姿を見てもらうことで、他のクルーにもきっと可能性を感じてもらえるはず。そんな風に自らのチャレンジを通して、障がいのあるクルーたちの働く選択肢を増やしていきたいです。


\お読みいただき、ありがとうございました!/

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