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コンポストのススメ。失敗しないコツ。

料理をするとどうしても出てしまう、野菜の切れ端。

生ゴミとして捨てると、ゴミの量が増えるし、時間が経つと臭くなって、ゴミ箱を開ける度に、嫌な思いをすることありますよね。


この野菜の切れ端、実はほとんどが水分で、焼却するのも大変。たくさんのエネルギーを使って処理されています。


そのまま捨てると厄介なこの切れ端ですが、微生物の力を使って発酵的に分解すると、嫌な臭いを出すことなく、手品のように消してしまうことが出来るんです。

しかも、畑やプランターに使える堆肥づくりも兼ねて。


生ゴミとして捨てるものが無くなって、野菜づくりに使えるものに。。
このアップサイクルを実現するのがコンポスト。


I Love Compost」や「発酵で循環。畑とホテルの良い関係」でも触れたように、サンシャインファームでは兄弟会社でもある「暮らしの発酵LIFESTYLE RESORT」から出る食料残渣を、ほぼ全て回収して、コンポストで堆肥化。できた堆肥で土づくりをしたり、鶏舎の床材にして鶏糞堆肥をつくったりしています。


約200名が宿泊できるホテルから出る残渣なので、量もかなりのものです。

1 日で、90リットルのポリバケツ4〜5杯分になることも。


これをコンポストにすき込んで、発酵的に分解するにはちょっとしたコツがあります。

今回は、具体的にどうやって食料残渣を堆肥化するのか、作業を細かく追ってみましょう。


家庭の生ゴミを処理するのも理屈は同じ。

規模を小さくして、使用する資材を家庭むきにすることで、すぐにでも始められます。


ここで作業を追う前に、発酵的じゃない分解についても触れましょう。
どうして失敗してしまうのか。


食べ残しや野菜の切れ端を、そのままにしておくとどうなるか。

だいたいの場合は腐ってしまいます。


「発酵」とは逆のこの作用を「腐敗」と言います。


腐敗も微生物の働きによるもので、発酵も腐敗も微生物が行なっているのは「分解」です。


ただ、分解が腐敗に傾くと嫌な臭いがしたりして、触るのはもちろん、見るのも遠慮したいですものです。

腐敗的に分解する微生物は分解スピードが速く、水分過多な環境を好む菌が多いようで、水気の多い野菜クズや食べ残しの分解が進んで、環境が水分過多になると、腐敗的な分解が優勢に。。すると、日和見菌たちも腐敗的に振る舞い始め、ますます腐敗的な分解が進んで。。。。腐ってしまうのです。

水分が全く無いと発酵的な分解も進まないのですが、コンポストにおいて多すぎる水分は、腐敗の素と言ってもいいでしょう。


そして、虫。


特にウジムシみたいな水アブの幼虫が発生すると、そんなに問題がないとしても嫌なものです。

この2点が失敗(やりたくなくなる)の大きな原因。
水分調整と虫対策が、コンポストでの生ゴミ分解を快適に続けるためのコツなのです。


腐敗的な分解をする微生物を増やさずに、発酵的に分解してくれる微生物が、存分に働ける環境づくりを意識してコンポストに接すると、それはそのまま土づくりにも活かせます。始めてみれば意外と簡単。
生ゴミの嫌な臭いともサヨナラして、環境負荷も軽減できるコンポストは、僕にとって、微生物の世界への入り口でもあったんです。


それでは、サンシャインファームでの実際の作業を追ってみましょう。
家庭用に応用する場合についてもまとめておきます。(太字)

暮らしの発酵LIFESTYLE RESORT」から受け取った野菜の切れ端を、同じ村内の山の木をチップ状にしたものにすき込みます。

家庭でやるなら、衣装ケースや木枠、段ボールなどにピートモス+もみ殻くん炭(→漉き込み終了後、堆肥として利用可能に)や、使い古したプランターの土(→使える土に復活)などを入れてすき込むのが良いのでは。。

農場でひと山にすき込む量はコレくらい。

半分に崩した山に切れ端をのせて。。。

回収した状態で、そのまますき込みます。

野菜の切れ端は、小さなものから大きなもの、水気の多い少ない、いろいろありますが、そのまますき込みます。

失敗を少なくするためには、切れ端はできるだけ細かく、乾燥したものが理想的。細かい方が分解が早いし、水分過多は腐敗への傾きを招きます。
家庭での場合、小さく切ってあげるのをお勧めします。食べ物をよく噛むようなイメージです。面倒な場合はそのままでもなんとかなりますが、難易度が上がります。

農場では毎日写真の3〜4倍の量を処理していくため、作業量を抑えなければなりません。。。そこで、そのまますき込むのです。

すき込む毎に、天地返しをして、空気を送り込みます。
週に3〜4回の天地返しと水分調整、そしてEM活性液(EMって何?)の散布で、腐敗への傾きを防ぎます。

切れ端の分解を進めるのは、主に空気が好きな微生物たち。
堆肥の内部は空気が消費されてしまって供給が少ないため、そのままだと分解が止まってしまうことも。。。
空気を送り込むためにも、天地返しは欠かせません。

よ〜く混ぜて。。

水分量を確認しながら、堆肥に混ぜ込んでいきます。
水分量が多過ぎたら、乾燥したチップも一緒に混ぜて、水分調整を。

この水分調整が重要。
水分が多い時、家庭ではすき込む母材と同じもの(ピートモスや籾殻燻炭、乾いた土など)を一緒に混ぜることで、水分調整ができます。

分解時に出る熱で水分が蒸発するので、水分が足りなくなることもあります。

そして微生物の働きを整えるイメージで、EM活性液をかけてさらに混ぜます。

菌ちゃんたち、ありがと〜。

水分が多めなら、濃いめを少量(原液を2ℓくらい)、全体的に乾燥していれば、希釈して多めに(5倍希釈で10リットル)など、EM活性液の量と濃度は堆肥の水分量によって変えています。

小さなコンポストなら、水分調整も兼ねてスプレーでシュシュシュッ、と3〜5吹きくらいでも良いのでは。乾燥ぎみなら少し多めに。。

今日入れた切れ端が混ざったら、天地返し(下の方と上の方を入れ替える)しながら空気を入れて、最後に新しいチップや既に出来上がった堆肥で、野菜の切れ端が見えなくなるように覆います。

野菜を見せないのが大事。。

野菜が見える状態だと、虫がよりやすくなったり、見えている部分から腐敗に傾いたりするのです。

家庭のコンポストでも同じ。
乾いた土などで、野菜の切れ端を隠すのがポイント。
その上にちぎった新聞紙を洗濯ネットにたくさん入れて置いておくと、水分調整に効果的。
最後に通気性のある大きな袋(100均の布団袋など)に入れて、物理的な虫除け。ネットで蓋を作っても◎
空気が必要なので、密閉はしない。

置き場所はできるだけ雨が当たらない場所がベストですが、ベランダでOK。
どうしても雨が吹き込むようであれば、空気が入るようにブルーシートなどで覆ってあげると良いかと。。。
雨がたくさん入ると、大変なことになるので、要注意です。

農場での作業は、野菜が見えないようにコンポスト全体を覆ったら、雨よけと余分な蒸散を防ぐために、ブルーシートを被せて完了となります。

翌日には微生物の働きで、堆肥(コンポスト)の温度が上昇。

あったかくなります

45℃〜65℃くらいで管理しています。

家庭用コンポストでも、米糠やボカシを一緒に混ぜるコンポストで、40℃〜50℃前後まで上がることも。
野菜の切れ端だけだと、反応もゆっくりで、温度上昇も緩やかです。

条件にもよりますが、夏なら3日〜1週間、冬でも2週間あれば完全に分解されます。(沖縄だからか。。。)

約3ヶ月後

堆肥化のグラデーション

木の肌そのものだったチップが、黒ずんだ堆肥として生まれ変わるのです。
振るって大きな木片を取り除けば、そのまま畑の土づくりにも使えます。

家庭用のコンポストなら1〜2ヶ月くらいすき込んで、最低2週間ほど寝かせばOK。完成した堆肥は黒くなります。全体的に黒ずんでいれば、堆肥として利用できるでしょう。

畑やプランターに興味がない場合は、土にすき込んで、切れ端を消してしまうだけの、「キエーロ」タイプがおすすめ。

お肉や魚が入った残飯は、腐敗に傾きやすいので、まずは野菜の切れ端から始めるのが無難かと。

野菜の切れ端を食べて、あったかくなるコンポスト。
可愛く思えてきたら、微生物の世界にはまってしまうのですよ。。。

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