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【前編】SSDCシンポジウム2021”「日本美」指向による社会システムデザイン”開催報告(Session1. 生活と働き方の新しい規範 / New Norm in Life and Work Styles)

SSDCチーフデザイナーの北村和久です。

この記事では、2021年10月27日(水)に開催されたSSDCシンポジウム2021 ”「日本美」指向による社会システムデザイン”の開催レポート(前編)をお伝えします。

前編では、Session1. 生活と働き方の新しい規範 / New Norm in Life and Work Styles についてサマリーします。
少しでも、当日の熱量をお伝えできれば幸いです!




シンポジウムの動画、資料はこちらから

当日の講演資料・動画は以下よりお申込み頂けます。
お申込み頂けた方に講演資料・動画のリンクを送付いたします。



会場の様子

ウェビナー会場となった、JBS虎ノ門スタジオの様子。

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グリーンバックの背景に、映像を重ねていきます
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スタジオ隣の部屋には、通訳の方々がスタンバイ
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登壇者のみなさんがそろい踏みし、スタート!


「Opening」Kazuya Makita / 牧田 和也

▼一般社団法人社会システムデザインセンター(SSDC)代表理事 牧田和也よりご挨拶

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Kazuya Makita / 牧田 和也

SSDCの正会員企業各位には、第2回となる本シンポジウムへの多大なるご支援を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。

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SSDC正会員企業一覧

今回のテーマは、”「日本美」指向による社会システムデザイン”です。
この30年余りは「失われた30年」と言われ、経済は停滞を続けました。
私どもの従事しているIT業界では、常にアメリカ、シリコンバレーの今を追いかけてきました。たしかにGAFAに代表される企業・製品・先進的な考え方から手法に至るまで、素晴らしいものです。

では、果たして我々は、自らがここ日本で、何を生み出してきたのでしょうか?

一方、ヨーロッパでも先進的な製品を生み出し続けているスウェーデンや、みんなが憧れているブランドのあるイタリア。彼らはどうやって世界で活躍し、しなやかに成長をしているのでしょうか?何かが違うのではないでしょうか?

せっかくここ日本に我々は生きているので、それらを参考に次の第一歩を踏み出すヒントを得たいと思っております。


「Introduction」Mick Etoh / 榮藤 稔

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Mick Etoh / 榮藤 稔

Point1
導入として、2000年~2020年にかけてのUSのインフレーショングラフ。日本ではインフレがなくむしろデフレが進行し「失われた20年」と呼ばれています。

Point2
私たちがこのシンポジウムで議論するのは、労働生産性やGDPを向上・改善する方法ではありません。
よりよい生活を送り、新しいライフスタイルを体験する方法や、地域間の国境を融合する方法を体験し、人生を楽しむ方法について話し合います。

シンポジウム本編は大きく2つのセッションに分かれて進めます。

Session1. 生活と働き方の新しい規範 / New Norm in Life and Work Styles
"How being lazy and expensive can make life better" Michael Jacob
"Stories that will inspire you to think outside the box" Emiko Tayanagi/田柳 恵美子
"Nihonbi: true value of Japanese beauty" Ken Okuyama/奥山 清行
Discussion on the current and new trends

Session2. 新技術との共生, 今後のシナリオ / Cohabitation with New Technologies, way forward scenario
"Lifestyle matters more than business success." Mick Etoh
"Changes of priorities in immaterial environments." Fulvio Moschetti
"What does it mean TO LIVE" Hideyuki Nakashima/中島 秀之
Discussion on our possible directions
Closing by Yasuhiro Katagiri/片桐 恭弘

コーディネーター・パネリスト

※パネリスト、コーディネーター各位のプロフィール詳細は、↓の記事を参照ください!



「How being lazy and expensive can make life better」 Michael Jacob

Point1
本パートでは、スウェーデンについて話します。私たちが社会や文化の側面について何かを前進させようとする解決策の種類。タイトルは「どうやってゆったりと高価であることで、人生をより良くできるか」についてです。
もちろん、これは可能な限り物事を簡素化しており、私たちの時間が本当により効果的になり、より良いことをしなければならないことを意味します。

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Point2
スウェーデンは、欧州連合(EU)が測定を開始して以来、世界的に革新で非常に高いランクです。EU諸国の中でナンバーワンで、世界第2位のサステナビリティ指数と各国で上位にランクされています。
その理由として、スウェーデンのカルチャーには5つの特徴があります。
①フラットで権力に疑問を持つ、②ジェンダー平等、③教育費無料・クリティカルシンキング、④社会保障・育児・ヘルスケア、⑤移民・国際協力

Point3
人生をより簡単にし、世界をより良くし、世界に影響を与えるために。
スウェーデンではKlarna、Spotify、Northvolt、Fossil-free Steelなど、革新的で持続的な企業が出てきています。
私たちが取り組んでいることは、よりシンプルで良い解決策を見つけるためにあります。なので、スウェーデンや他地域の人たちは、不必要なものに多くの時間を無駄にするのではなく、本当にやりたいことを行うための自由な時間を得ることができるのです。



「Stories that will inspire you to think outside the box」Emiko Tayanagi / 田柳 恵美子

Point1
世界経済の富は、限られたいくつかの先進地域に集中しています。一方、この20年間で、都市、地域、地域社会の階層は大きく変わりました。グローバル競争だけでなく、地域間の協力という選択肢が、それぞれの生き残りをかけて続々生成されています。
私のメッセージは、より多くのオルタナティブな場所に注意を払わなければならないということです。既存の階層の外に、あなたの仕事と生活をよりよくするための本当に価値ある場所を探す必要があります。

Point2
地域のイノベーション政策を象徴する、レンガ建築再生の対照的なケースを紹介します。
1つ目は、小樽と函館の美しいベイエリアの風景。倉庫の中に入るとタックスフリーのドラッグストアや家電製品店が…非常に残念です。
2つ目は、ドイツのゾーリンゲンとバルセロナの教会。インダストリー4.0の文脈でベンチャー企業の本社として利用されたり、ビッグデータ分析のスーパーコンピューティングセンターとして改装されました。

Point3
地域間のグローバルコラボレーション事例です。
1つ目は岐阜県の関市とドイツのゾーリンゲンとの相互交流の結果として、世界のプロ料理人向けの最高級包丁ブランド「MIYABI」。
2つ目は、北海道の函館とフランスのブルゴーニュ地方での、ワイナリー産業のコラボレーション。
3つ目は、小さな地域の再生としての徳島県神山村や福岡県糸島市。神山では4700人の村が、ITベンチャーのサテライトオフィス開設などで人口が増加しています。


Point4
グローバル化の時代になり、地域文化がオープンになりました。地域は互いに似通い、伝統文化やスタイルが消えてしまったように見えます。しかし一方で、内在する特性を生き返らせることで、刺激的なグローバルコラボレーションに繋がり続けています。
私たちは、働き住む場所を再考し、自身の生産性をよりよくするべきです。そして個々の地域・市・町を選びましょう。既存の経済社会のためではなく、あなた自身のありたい姿のために。


↓栄藤稔先生が、本パートの内容を「ウェルビーイングの視点」として再構成し、日経産業新聞に寄稿されました。

↓田柳恵美子先生のプロフィール(はこだて未来大学のウェブサイトへ)



「Nihonbi ,true value of Japanese beauty」Ken Okuyama / 奥山 清行

Point1
"Nihonbi: 日本の美の真の価値"について話をします。
質素さ、ミニマリズムだと人々は思いがちですが、実際にはシンプルに見えるデザインは、単純なものではありません。

Point2
日本文化には、多くの矛盾する要素が含まれています。洗練されているので、人々にはエレガントに見えるのです。

個人対チームを例に。
イタリア人はチームプレーが得意ではないと思いがちですが、素晴らしいチームプレーをします。
日本人はチームプレーが得意と思いがちですが、5人以上集まると意思決定できなくなります。日本はブルーカラーの人たち個々の教育レベルが非常に高く、モノをつくるのに本当に優れています。結果としてマネジメントスキルが開発されず、現在の日本経済の災害的状況に繋がっています。

Point3
進化と革命的変化について。
日本は革命的変化を起こさなければいけないし、実際には世間の認識とは違って自発的な進化は得意ではありません。
同じコンセプトを保っているすべての車を見てください。同じチームを持つ2世代以上の製品は、第一世代よりも良い結果を得たことがありませんでした。第二世代は常に悪く、第三世代はさらに悪化します。
ある意味では、江戸時代から明治時代の変化のように、私たちは文化的なものの多くの革命的変化を推し進め、経験する必要があります。

Point4
コモディティ、プレミアム、ラグジュアリー、3つの製品カテゴリー。
日本はコモディティなマスプロダクトを量産してきました。今、プレミアムレベルのプロダクトにステップアップする必要があると信じています。ラグジュアリーまではまだ準備ができていませんが、プレミアムの準備はできています。
ウォンツとニーズ。
ウォンツは生活必需品ではありませんが、強い欲求を起こします。フェラーリ、機械式時計など、人々はロマンのために買います。
ニーズは生活必需品です。空気・水・電気などだが、皮肉にも人々はそれらに対してお金を払いたがりません。コモディティ化し、一方通行の関係性になりがちです。

Point5
インスピレーションが空から降ってくることは決してありません。
私はツールを使用しています。ペンと紙で多くのスケッチを行い、手と手で対話します。何度もスケッチを続けると、私の手は思いもしなかったどこかに行き、期待と才能を超えて脳から何かを引き出します。
創造的な人々は、いつも隠れた才能を引き出すための創造ツールを持っていました


↓KEN OKUYAMA DESIGNのページ(本シンポジウムについても取り上げて頂きました)



Session1. New Norm in Life and Work Styles/生活と働き方の新しい規範

視聴者からの質問(詳細はぜひ動画を視聴ください!)

1)日本の産業は、プレミアムを追求する必要があるという話について、どのようにすれば成し遂げられるか?

キーワード:
・プレミアム価格の幅と価値
・アップルとコクヨ
・日本が貧しかった時代
・重労働とストイックな生活を組み合わせると…


2)日本がスウェーデン式の文化・社会への転換を追求する場合、教育はどうなるべきか?

キーワード:
・フラットなカルチャー
・教育システム
・(新たな解決策を見つけるための)ブレーンストーミングと議論
・段階的なイノベーション、変革的なイノベーション
・クリティカルシンキング


3)イタリアに関連してはどう考えるか?

キーワード:
・日本のメンタリティ(ドイツ、イタリア)
・チームワークと対話
・もはや空腹ではない人たち


4)素晴らしい小さな都市をつくる方法は?

キーワード:
・リーダーの存在とリーダーシップ
・人口減の社会
・持続可能な開発
・グリーンエネルギー、カーボンフリー(脱炭素)、フォッシルフリー(脱化石燃料)


5)なぜイタリアの人たちはチームワークがあるのか?

・ブレーンストーミング
・シェアードリーダーシップ
・根回し
・人間の真の創造性、真の民主主義

後編は別途公開予定です。
お楽しみに!!


当日の講演資料・動画は以下よりお申込み頂けます。
お申込み頂けた方に講演資料・動画のリンクを送付いたします。



SSDCについて

SSDCは「人と社会の幸せな未来のために」を理念に、社会課題解決や夢の実現のための事業創出を目指して2019年に設立された一般社団法人です。
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