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新たなまちづくりの拠点、池袋駅東口「PAPILLON BLDG.」に「P-144」を運営

2023年3月、池袋駅の東口から徒歩2分という場所にサンシャインシティが手がける「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」が誕生しました。オリジナルクラフトビールやエスニック料理が楽しめる「PUB(パブ)」と、イベントスペース「GARDEN(ガーデン)」からなる施設「P-144(ピーイチヨンヨン)」を運営し、新たなコミュニティ拠点として注目を集めています。

プロジェクトに込めた思いなど、企画・運営を担当する株式会社サンシャインシティ まちづくり推進部の倉林さんにお話しを伺いました。

「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」ってどんな場所?

――「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」は、どんなきっかけでスタートしたプロジェクトなのでしょうか?

倉林
株式会社サンシャインシティは、まちづくりに積極的に関わっていくことを掲げて2020年4月に「まちづくり推進部」を新設し、これまでもさまざまな取り組みをおこなってきました。2023年3月にオープンした「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」は、新たなまちのコミュニティ拠点になることを目指してスタートしたプロジェクトで、日本橋浜町や丸の内などでまちづくりの実績がある、good mornings株式会社のみなさんと一緒にプロジェクトを進めてきした。実は、サンシャインシティから外に出て、拠点を作って運営するのははじめてのことなんです。 
 
――サンシャインシティからは徒歩10分ほど離れた場所にありますが、池袋駅東口からは徒歩2分という好立地ですね!

倉林
もともと、ここはサンシャインシティが所有している貸しビルで、テナントが退去するタイミングでプロジェクトを立ち上げました。築60年という古い建物なのですが、SDGsの観点からもすべて壊して新しいビルを建てるのではなく、5階建てを3階建てに減築する方法を採用することで、耐震性を確保。今あるものを、できるだけ活用したいという思いでリノベーションし、築60年のビルが生まれ変わりました!

――ビルに入っているのが「P-144(ピーイチヨンヨン)」という、“食”と“イベント”のスペースからなる施設ですが、このふたつを柱にしたのはなぜですか?
 
倉林
最初はスモールオフィスやシェアオフィスを作るアイデアもあったのですが、限られた人のための場所ではなく、より多くの人に集まってもらえるようにしたいと考えました。そこで、やはりフックになるのは、“食”と”お酒”なのではと。人が集まればいろいろなアイデアや、何か新しいことが生まれますよね。そんなときに自由に使えるような場所があればいいなと作ったのが、3階のイベントスペースです。アートの展示や音楽パフォーマンス、セミナーなど、使用用途は限定せずにどなたでも利用いただける貸しスペースになっています。
施設のオープニングの際には、南池袋公園近くでシェアアトリエを構えているアーティスト集団とのコラボレーション企画で、作品の展示や、子どもたちとのワークショップで製作したキッズアートの展示を行いました。

――「PUB(パブ)」にはエスニックや薬膳などを取り入れたオリジナルメニューが並んでいて、昼も夜も気軽に利用できますね!いわゆる一般的にイメージする"PUB"よりも、ずっと明るく開放的なカフェのような空間で、ふらりと入りやすい雰囲気です。

倉林
そうなんです!仕事帰りに1人でふらりと立ち寄られビールで一杯、といった使い方のお客さまも多いんですよ。

「PUB」のランチは、薬膳カレーをメインに、魯肉飯やカオヤムなどのアジア・エスニック料理が楽しめる。

人と地域を結ぶ、発信基地

――「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」そして「P-144(ピーイチヨンヨン)」は、新たなまちのコミュニティ拠点として「さまざまなパートナーと共に」というテーマも掲げられていますが、どのような人々とどのようなビジョンを描いていますか?
 
倉林
ひとつは、豊島区に根ざした活動をしている方たちと一緒に、まちづくりを盛り上げていきたいという思いがあります。池袋エリアの企業や団体、学校、行政機関が集まりまちづくりを推進する「池袋エリアプラットフォーム」という組織が2022年11月に発足して、サンシャインシティも事務局として参加しているのですが、「P-144(ピーイチヨンヨン)」を活動の拠点としてワークショップなどを行っています。
もうひとつは、豊島区を飛び出して、全国各地の自治体の皆さんとの繋がりの場所になることです。“食”は、各地の名産を紹介するのにはぴったりです。今年の5月には、サンシャインシティで毎年恒例となっているイベント「沖縄めんそーれフェスタ」と連携して特別メニューを提供しました。

――サンシャインシティとの連携企画もあるんですね。
 
倉林
そうですね。今、富山湾とのコラボレーションも企画しているのですが、きっかけはサンシャイン水族館でした。地元の高校生が、漁場に被害をもたらすため駆除されてしまうウニを「水族館に畑が登場!?アクアリウムファーム東京」の記事内でも紹介した「アクアポニックス」というシステムを使って育てて、販売しようという取り組みをしているそうなんです。そのウニや、富山湾産白エビの殻など通常廃棄されてしまう食材を使用した、フードロス削減を目的としたメニューなどを考えています。水族館と富山湾とのご縁から生まれたこの企画ですが、「P-144(ピーイチヨンヨン)」からも富山湾の様々な魅力や取り組みを発信していけたらと思います。

3Fのイベントスペース「GARDEN」は、明るく開放的な空間。音響やスクリーンなどの設備が整い、さまざまなイベントに対応している。

――逆に、サンシャインシティとの差別化を意識している部分はありますか?

倉林
あえて差別化をしているわけではありませんが、サンシャインシティはファミリー層の利用が多いのに対して、「P-144(ピーイチヨンヨン)」はクラフトビールを中心にお酒を提供しているお店ということもあり、大人の方を中心にご利用いただいているというのはありますね。
ちなみにクラフトビールをメインにしたのは、日本全国にビールを醸造するブリュワリー(製造所)があるためコラボレーションをしやすいのが魅力のひとつと考えたからです。ブリュワリーは豊島区にもあるんですよ!提供するビールの種類は日々入れ替わるので、いつご来店いただいても新しい出会いがあると思います。気軽に立ち寄っていただけたら嬉しいですね。

――これまでサンシャインシティとあまり接点のなかった層まで、ぐんと広がりましたね。
 
倉林
そうですね、ただ、先ほども申し上げましたが、ファミリー向け・大人向けなど区分けしているわけではありません。ビル名称の「PAPILLON」はフランス語で「蝶」や「蛾」という意味を持ちます。フランスでは「蝶」と「蛾」を区別しないように、この場所も年齢や性別など区別なく、多様な人を受け入れ、交流する場にしたいという意味を込めていますので、さまざまな方にイベントスペースを活用してもらえたらと思っています。最終的に目指すのは、誰に対しても寛容なまち。多様性を受け入れる=寛容性だと思うんです。

1Fの「PUB」スペース。オリジナルや日本各地から取り寄せたクラフトビール6種類を日替わり提供。

人が集まり、新しい何かが生まれる拠点

――最後に、これからのまちづくりやSDGsの取り組みなど、今後の展望をお聞かせください。

倉林
「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」「P-144(ピーイチヨンヨン)」は、たくさんの人が集まり何か新しいことが生まれる場所を目指してスタートしました。オープンしてまだ半年、少しずつですが繋がりが生まれています。
イベントスペースでは定期的に「IKEBUKURO LIVING LOOP」とのコラボレーション企画でトークイベントを開催しているのですが、あるとき「IKEBUKURO LIVING LOOP」のことは知らないけれどInstagramを見て面白そうだと来てくださった方がいました。その方が、その後に開催された「IKEBUKURO LIVING LOOP」にボランティアキャストとして参加されたそうなんです。「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」が繋がりのきっかけになれたことを、とても嬉しく思いました。
SDGsでいうと、“食”を通じて海や森など自然環境のことを考えたり、人とのコミュニケーションを通じて社会や地域の課題を解決する、きっかけの場になるといいなと思います。先ほどもお話しした、水族館で手がけている「アクアポニックス」で育てた水族館産の野菜を使ったメニュー開発など、いろいろと可能性は広がります。

ビルの名前の「PAPILLON (パピヨン)」のように、⾃分らしく⽻を広げられるように、これからゆっくりと時間をかけてでもいいので、ここを拠点にコミュニティが生まれ、新しいたくさんの“何か” が始まっていくことを期待しています。

「P-144(ピーイチヨンヨン)」の「P」はPAPILLON BLDG.の頭文字、「144」はこのビルの住所である豊島区東池袋1-4-4から。

「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」のプロジェクトをサンシャインシティと共に進める、good mornings株式会社の水代さんにもお話を伺いました。

編集思考のまちづくりで、人と社会をより良いものに

――good mornings株式会社は、普段はどのようなことに取り組まれている会社なのでしょうか?

水代
まちづくり、コミュニティづくり、場づくりをしています。僕たちが意味する“場づくり”とは編集すること。例えるなら、雑誌などのメディアをつくることに近い感覚です。メディアをつくる編集者は読者に読んでもらうために、コンテンツの企画から制作までをおこなっていきますよね。僕たちも考え方は同じです。さまざまな「場」づくりを通して、人と社会をもっと良くすることをミッションとしています。

――サンシャインシティと共に進める「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」のプロジェクトですが、どのような役割を担ってきましたか?

水代
ビルの着工に至るまでのハード面の計画からソフト面の整備まで、さまざまなことを一緒に考え、並走してきました。池袋というまちで働いている人、勉強している人、住んでいる人、遊びに来た人たちに対してどのようなコンテンツが必要で、繋げたあとにどういった価値を生んでいくのか。ここから生まれるコミュニティやプロダクトなどを、編集者目線で考えてきました。オープンしてからは運営視点、現場視点も大事にしながら場づくりをしています。

共有体験の繋がりで、新たな価値の創造を

――サンシャインシティの事業として、サンシャインシティの「外」に新しい拠点ができたことがとても印象的深く、まち全体を盛り上げていきたい!という思いを感じました。水代さんは、このまちをどのように盛り上げていきたいと思っていますか?

水代
池袋の笑顔がひとつでも増えるかどうか?を考えていきたいと思っています。働いている人、勉強している人、住んでいる人、遊びに来た人、池袋を訪れる目的は人によってバラバラ。働いている人、勉強している人の中には、「たまたま」そうだった方もたくさんいらっしゃると思いますが、そういった方にも池袋ファンになってもらいたいですね。

――最後に、これから挑戦していきたいことを教えてください。

水代
「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」はサンシャインシティの外の拠点だからこそ、サンシャインシティが全力で実践しているサステナブルな取り組みなどを知っていただける機会に繋げられればと思っています。まちのみんなで一体となって挑戦するサステナブルな取り組みなども企画してみたいですね。でもそのためには、まずは僕たちが、もっと地域に溶け込まなくてはと思います。これまでまちづくりをしてくる中で、まちに関わる多くの皆さまに助けていただきました。そう言った仲間を少しずつでも増やしていくことが、とても大事だと思っています。

そしてこれからも、「PAPILLON BLDG.(パピヨンビル)」からいろいろなコミュニティが生まれていくと思います。そのコミュニティをもう少し深い繋がりにしていければ、まちがすごく元気になると思うので、そこにチャレンジしていきたいですね。もう少し深い繋がりとは何かというと、その繋がりによって新たな価値やモノ、会社やプロジェクトが生まれていくことかなと思っています。コミュニティとは、共有体験。共有体験の繋がりによって新たな価値が生まれていくと思うので、いろいろな体験を作っていきたいです。

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