れうしあ

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最近の記事

雨後青山青転青

雨後の青山青うたた青し。雨が降った後は青い山がいっそう青く見える。雨によって埃が払われるように、体にこびりついた煩悩や執着が取り払われると、いっそう美しく見える。 お茶を始めて1年が過ぎた。お茶の世界の1年など一瞬である。1年お茶を習ったところで成長など微々たるものだ。それでも1年続けたことで出来るようになったことはあるし、1年前には見えなかった世界が見えるようになっている。続けるとはそういうことだ。この1年間で私の心境は大きく変動したけども、お茶はずっとそこにあり、寄る辺

    • 目に青葉山ほととぎす初鰹

      あちらこちらに花が咲き誇り、お散歩が楽しい季節になった。卒業入学のシーズンに桜が彩を添え、慌ただしく過ごすうち、あっという間に散ってしまう。気付いた頃には新緑である。 標題は江戸時代の俳人山口素堂の句。野に山に海に、目に耳に口に、春から夏にかけての楽しい季節を詠んでいる。 季節の移り変わりは茶の道具にも現れる。茶釜ひとつ取っても、3月には釣り釜、4月には透木釜、そして5月になると炉を閉めて風炉を使用する。暖かくなるにつれてお客さんから火を離す仕組みらしい

      • 初級

        茶道を始め半年ほどで許状の申請を行い、2ヶ月ほど経って初級の許状「入門」「小習」「茶箱点」をいただいた。裏千家のシステムでは、これら許状を申請することでそのお点前のお稽古をすることを許されるようになるらしい。要するにここへ来て初めて裏千家への入門を許されたとも言える。 習い事を続けて何らかのステータスを得ることはモチベーションに繋がるし、資格マニアのような本性を私も備えているため、嬉しいことには違いないのだが、思ったほど心躍るようなものでもないと感じている自分がいることに気

        • まとめ

          「お薄を差し上げます」 7つ数えて頭を上げる。指を揃えて水差しを持つ。右足で部屋に入り、炉の隣へ3歩進んで座り、水差しを置く。左足で立って水屋に下がり、左手に茶碗、右手に棗を半月に持ち、水差しと二等辺三角形を成すように置く。もう一度水屋に下がり、左手の3本指で建水と柄杓を挟むように持つ。部屋に入ったら前に進み右足を被せて後ろを向く。座って建水を横向きに前に置き、襖を閉める。建水を持ち直し正面を向いて、炉の隣まで歩みを進め、3歩目を炉の方向へ、4歩目で向きを揃えて5歩目で足を揃

        雨後青山青転青

          平点前

          平点前のお稽古を何度も続けている。一回のお稽古で二度お点前をする。一度目は毎回お点前を忘れていて、言われるがまま動く機械だ。何度も同じことばかり言われている。毎回家で復習しようと思うのだが、復習せずまま次のお稽古を迎えるというルーティンである。 身が入ってないのは見るからに明らかであろう。だが先生は毎回怒らずに指導してくださる。「細く長く続けてください」とは先生の口癖だが、その言葉に甘えてしまっている。 私の顔が曇っていると、先生はどれでも好きなお茶碗使っていいですよと言

          お歳暮御挨拶

          12月のお稽古ではお歳暮を用意する必要がある。熨斗袋に筆ペンで「お歳暮御挨拶」の文字と名前を書き、5000円を包む。私にとっては初めての経験で、文字の書き方もお金の包み方も知らなかった。めでたいお金は下から受ける、めでたくないお金は受けずに下へ落とすらしい。こういったことを学べるのも茶道をやっていて良かったと思う。私は何も知らない。 さて、平点前も既に5回を終えたらしい。

          お歳暮御挨拶

          炉開き

          前回で盆略点前は終了し、次から新しく平点前に入りますと話には聞いていた。 教室へ伺うと別の生徒さんがいらっしゃったので、前の時間の方かと思いお邪魔するのを躊躇っていると、お入りくださいと声がかかる。橙色の綺麗な着物を着た女性だった。部屋に二人並んで座らされる。どうやら一緒にお稽古するらしい。 話してみると、相手は13年目のベテランだそう。先生の「細く長く続けること」を守ってきたらしい。以下彼女をMさんと呼ぶ。 しばらくすると、先生お手製のおしるこが運ばれてきた。これを食

          盆略点前

          11月から新しいお稽古に入りますと予告されていた。つまり、10月2回目の今回で盆略点前を完成させなさいということである。 いつも通り稽古開始の10分前に着いて、水屋で準備をする。棗のお茶を、二酸化珪素含有量の少ない玄武岩質マグマにより形成される楯状火山のごとく成形する作業もさまになってきた。気を抜くと浅間山になってしまう。 本日使用したお茶碗は「京焼 描き分け 竜胆」。これもまた時候柄で華やかなお茶碗である。 一度指導を受けながらお点前を行い、次いで準備からやり直し、二

          盆略点前

          平常心是道

          お稽古に訪れたら、前の時間のお弟子さんがお水屋で後片付けをされていた。弟子同士で会ったときは「ごきげんよろしゅう」とご挨拶するのが慣わしである。 さて、私もお水屋での準備を済ませ、お稽古を始める。本日のお菓子は「秋茜」。オレンジと紺の2色を浸かったお菓子で、上にトンボが描いてある。トンボは秋の風物詩である。すっかり秋になってしまった。 そろそろ盆略点前も仕上げの時期である。一度目は先生に教わりながら、二度目は何も言われずにどこまで出来るかやってみる。お盆と建水を用意し襖の

          平常心是道

          秋の調べ

          8月下旬、お盆が過ぎて涼しくなったかと思いきや、また暑くなった。本日のお菓子は「笹饅頭」、水まんじゅうが笹で包んである。 今回はお水屋の稽古を教わった。水に浸かった茶巾を取り、左掌の上で半分に折る。刀を持つように両手で絞る。これが一番絞れるらしい。 広げて縫い目を自分の方へ向け、三つに折る。右手を上に縦にし、左親指を起点に半分に折る。小指をかけさらに半分に折り、さらに1/4を折って親指を抜き穴を作る。この穴が、綺麗な茶巾の証拠とのこと。 そうしたら、茶碗を正面に向け、茶

          秋の調べ

          夏の雨

          世間はお盆のようだが、私には関係なくいつも通り夜勤明けでお稽古へ向かう。盆略点前もそろそろ大詰め。 準備ができたら、襖の前で待機。襖を開けるところからお稽古である。右手を引手にかけ数センチ開ける。床から25センチの位置に右手を添え半分開ける。左手に変え全て開け切る。そうしたら扇子を前に出しにじり入る。先生のいる方向へ扇子を向け、「ごきげんよろしゅう」。 最初からやりなおし。「盆略点前の稽古よろしくお願いいたします」 お盆を持って入る。お軸へ向かって歩くときは右足で畳のへ

          お茶と向き合う

          梅雨が明けた。季節は目まぐるしく回る。 前回習ったとおり、茶室に入るところからお稽古。 本日のお菓子は「枇杷」。以前もお会いした気がする。 引き続き盆略点前の御稽古である。10回ほど繰り返せば自然と体が動くようになるよと言われている。すでに5回まで来ていた。折り返し地点である。 確かに、やるべき動作は分かるが、点と点が繋がらない。一人でやってみてくださいと言われたが、順序を忘れ動きが止まる。 お点前には無駄な動きなどない。動作の意味を考えれば自然と流れるはずなのであ

          お茶と向き合う

          梅雨の合間

          7月上旬、毎日雨の続く梅雨真っ盛りの季節である。私の心も雨模様。 今回はいつもより早い13時半の開始であった。こういう日に限って残業があるのだ。用事があると言って早めに上がらせてもらった。ありがたい。 おかげでゆっくりご飯を食べてお稽古に向かえるのだが、夜勤明けの体に電車のリズミカルな振動は、目を開けていることを許さなかった。 気付けば乗り過ごしていた。急いで電話をかけて謝罪する。5分ほど遅れる旨を告げると、「大丈夫ですよ〜」と優しい声。ありがたい。 5分程度の遅れ、

          梅雨の合間

          はじめてのお月謝

          月の最後のお稽古は、1ヶ月の感謝を込めてお月謝をお渡しする日。今月はお稽古が2回あったので、8,000円+水屋料3,000円を握りしめて、今日のお稽古へ向かう。 いつ渡すものかとドキドキしていたが、お稽古はいつもどおり始まった。作務衣を着て、懐紙と帛紗を懐中し、畳のへりから16目を空けて座る。その際、閉じた扇子を、要を右に向けて親骨を上下にし、畳のへりから1目空けて置く。ごきげんよろしゅう。 本日のお菓子は「石清水」。白餡のまわりに白いんげんが組まれており、井戸のように見

          はじめてのお月謝

          本来無一物

          入門してはじめてのお稽古である。例によって「ご機嫌よろしゅう」で始まる。まずは畳の歩き方から。右足から立ち左足から座る、1畳は4歩で歩く、畳のへりは右足で越える、以上を守っていればとりあえず良いらしい。 前回やった帛紗の復習。何度か指導を受けながら動作を行い、続いて一人でやってみる。意外とできるものだ。家でハンカチ使って練習した成果かな。 「夏の訪れ」なる黄色と白のきんとんをいただく。直径6cmほどの球体。中にこし餡、求肥。ずっしりとした重みがあり、箸で掴んで懐紙に乗せる

          本来無一物

          独身異常男性が茶道に入門した話

          25歳独身異常男性である私が茶道教室に通いはじめた件について、稽古録を兼ねてnoteに書き記すこととしたい。これを読んで茶に興味を示す異常者が一人でも増えてくれれば幸いである。 茶道といえば、お着物姿の気取った年配女性が「結構なお点前で」などと定型文を発しており、堅苦しく内向的なイメージをお持ちの方もいるかもしれない。 しかしいまや、日本国政府は文化外交の一環として茶道を活用している。 ”日本文化がきっかけとなって日本に関心を持つに至る外国人は大変多い。外務省及び国際交

          独身異常男性が茶道に入門した話