見出し画像

計算式の算数で考える、労働生産性を効率的に上げる方法 ⑤

 今回は付加価値労働生産性を上げるための手段として、何がベストなのかをお話します。その理由となる様々なお話については、前回をご確認下さい。

 もう一度掲載しますが、付加価値労働生産性の式は、最終的に
付加価値生産性=(売上高-付加価値外費用+営業外損益)÷労働量
となります。前回のお話では、売上を上げるためのお話でしたが、その視点で欠けている部分がありました。

 売上を上げてもそれ以上の割合で労働量が増えてはいけないのです。その面も考慮して判断すると、私が計算上で判断する付加価値労働生産性を上げるベストはこちらです。

1位 値上げ

 値上げが最も有効です。売上=客数×客単価 なので、単価を上げて数量が減らなければ付加価値労働生産性は上がります。特に現在のようなインフレだと、全体の価格が上昇するので、数量への影響が最も少ないため、付加価値労働生産性は値上げで上げるのがベストです。

 世界的に見てもインフレ傾向が強い国ほど、付加価値労働生産性は伸びています。
ちなみにデフレの時に値上げはリスクが高いです。

2位 設備投資

 やはり設備投資です。設備投資は減価償却が上がる分だけ経常利益が下がるので、生産性の計算上ではいくらでもやって構いません。その結果で、ロス率の低下や生産量の増加、労働量の減少につながる場合は、生産性が上がります。

 リースによる設備投資をすると、生産性が下がってしまうので、お薦めできませんが、レンタルの場合は生産性に関係無いのでお薦めです。 

3位 経費節減

 付加価値外費用を下げるのは有効です。ちなみにこの付加価値外費用という呼称は、この話題の中で私が勝手に付けたものなので、一般的には通用しない言葉であることはご留意下さい。

 有効性があると思われるのは、
・商品売上につながらない広告費削減
・LED等に入れ替える等の光熱費節減
・教育研修の削減
・下請けや外注を減らす
・視察や店舗巡回等の頻度を減らす
・売上につながらない交際費を減らす

 企業の将来性が心配になるような項目や、全体コストが増加して経常利益が下がるのでは無いかと懸念されるような話が多数ありますが、今は生産性しか見てないのでこれでいいです。

4位 営業外で投資をする

 営業外収益を増やす話です。一般の企業で、株式投資の収益を本業にしていることは少ないでしょうし、資産管理会社や不動産業でなければ、不動産資産の収益を本業に組み入れるケースも少ないでしょう。

 こうした営業外収益を増やすのは、生産性向上の効果があります。バブル崩壊やリーマンショックのような事態が起これば、最悪になるでしょうが、生産性の話なので、将来に起こるトラブルリスクは関係ありません。

少しまとめます

 実は当初に意図していたのは、「給料を上げるには生産性を上げる」という話が多かったことから、効率的に算出する方向を探るために考えながら進めてきたのですが、給料も経常利益も生産性には無意味であり、企業の将来性や継続性を図る費用を減らす方が有効だったりと、あまり望ましい内容方向に進んでいません。

 物的労働生産性でも、付加価値労働生産性でも、最も有効なのは、
・設備投資
・値上げ
です。特にインフレ期であれば、値上げが最も生産性が簡単に上がります。

 ということは、賢い消費者目線だと、生産性が高い企業の商品は市場から見て割高でありコスパが悪い、生産性の低い企業の商品は市場から見て割安でコスパが良いと言えます。

 そうすると、実質的なモノの価値よりも、高くても売れるブランド力や、企業や製品のイメージ戦略の方が生産性向上には有効になります。商品イメージよりも高い品質を追求してしまう多くの日本企業が苦手な分野であることも納得です。

生産性と給料

 労働生産性の向上があっても、生産性は経常利益も営業利益も関係無いので、利益が増加しないことのに給料が上がるはずがありません。

 さらに労働生産性が高いから収益が高いわけでもなく、将来性が安定しているとも言えません。すると、労働生産性の数値は、何を目的とした指標なのかすら分からなくなってきました。まさかコスパが悪い企業の指標なのでしょうか。

 世間一般に言われている生産性の向上によってもたらされるイメージは、「生産効率の向上」と混同しているのではないかと考えられます。生産効率が上がれば、粗利益が増加するので、経常利益も増加し、給与配分を増加させる原資が増加します。

 という諦めの境地に至ったところで、私が無知なために知らなかった給料と密接に関係ある「生産性」がありました。

 人時生産性 です。

ということで、これでは「看板に偽りあり」になってしまいますが、本来の個人的な目的を達成するための、人時生産性の話を次回することにします。


次の話はこちら

最初の話はこちら


この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?