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メモ帳談義【わたしの場合2:美術館めぐり編】

 愛読しているnoteの書き手、ちいさな美術館の学芸員氏(以下、「学芸員氏」という。)が以下の記事でご自身が偏愛するメモ帳について書いていました。

 これを読んで、メモ帳なるものに対する自分なりの考えを整理した記事を書いたのですが、それはそれとして(by鈴木大拙)、美術鑑賞の時の自分なりのメモのお作法について、別途整理してみようと思った次第です。


感想を綴るということについて

 わたしも、学芸員氏と同じく、鑑賞した展示の感想を書くのが大大大好きです(といっても、公開できるほどきれいにまとめることができずに、たいていノートに手書きでグダグダ書いて終わってしまうのですが。お恥ずかしい)。
 それでも、美術館へ行き、展示品を鑑賞したときは、できる限り記録を取るようにしています。それは、美術館へ行き、作品の前に立つと、とにかくいろいろな感慨や感興や感想がどんどん湧いてくるからです。
 これは持論なのですが、すぐれた作品はまるでトップスターのように、オーラがあります。画集やテレビで何度となく目にしていても、実際に目の前に立つと、その存在感は圧倒的です。そしてじっくりと眺め、印刷やテレビ画面では拾いきれない筆触やわずかな画面の凸凹や、臨場感そのままに巻き込まれてうねっている筆の毛や小さなゴミだとかを見ていると、一瞬、画家がすぐ隣に立っていて今まさに筆を振るっているかのような息遣いを、とてもリアルに感じ取る瞬間があったりします。
 そういう、リアルに対象と対峙する鑑賞体験をわたしはもっとも大切にしていますし、大切だからこそ、その時感じた種々様々な思いを残らず書き留めて残しておきたいといつも切望しています。
 それから、建物がきれいだなあとか、期待していたほど好みの作家の作品は来ていないなとか、人が多すぎてゆったり鑑賞できないなとか、グッズ展開がいいなとか、周縁的な感想も、展覧会全体の雰囲気を残すため、書き留めます。
しかしながら、感じたすべてを文章として書き起こすことは(実力的にも、物理的にも、時間的にも)殆ど不可能なので、現実的には、「一度ササっとメモしておいて」「あとからじっくり思い返し追記して」、最終的には、撮ってきた写真と合わせて、ブログなりこのnoteなりでまとまった文章として構成することを念頭に置いて整理しています。

実例:一度ササっとメモする

サッとメモするのに、わたしは大体作品リストを利用しています。
(もちろん、保存用と書き込み用で2部もらいます)
以前は、学芸員氏のようにノートに書いたりしていたのですが、書いたメモがどの作品のことを言っているのかとてもわかりにくくなってしまったので、結局こうなりました。
実例として、去年鑑賞した「メトロポリタン美術館展」の作品リストを挙げてみます。

書くところが少ないので、あまり多くは書けないのが難点

気になった絵の番号にマルをつけて、印象深い点や、思い出した類似作品、自分が良いと思ったポイントなど、わりと素直に(あけすけに?)書きます。
時には、「全然好みじゃない」とか、「皆が評価するほど傑作か?」とか。。不遜ですね。。

バインダーは重いので持たないことにしており、字がふにゃふにゃになりがち

地方在住のため、鑑賞は主に住んでいる地方周辺の美術館と、あとは数か月に一度上京する美術館巡りが主な活動です。
といっても、あまり美術館が豊富にある地域ではありませんので、どうしても東京での大規模展示がメインになってしまいますが…。
コロナ禍においては、なかなか上京機会を作ることができず、ここ2年くらいは年に30件前後を推移しています。その前は、今よりも東京に近い地域に住んでいたこともあり、40~50件近くは回れておりました。
(自己紹介がてらに年間件数をあげておりますが、個人的な考えとしては、それほど訪れた展覧会の件数は重要ではないと思っています。たった1枚の絵画との出会いに心奪われる経験は、数百の展覧会をただ見て回ることよりもはるかに大事な思い出となります。強いて言えば、足しげく展覧会に通うのは、わたしにとってのファムファタル…運命のたった一枚に出会うためでもあります。ちょっとロマンチックすぎるかな?笑)

鑑賞した展覧会は、鑑賞日時を手帳に整理します。

青いマルがついているのは2022年のベスト7。遅きに失した感がありますが、いずれこれもnoteにかければいいなあ

実例:あとからじっくり思い返して追記する

以下は、2022年の夏に訪れた石巻で鑑賞した「リボーンアートフェスティバル」についての鑑賞記録です。
作品数が多かったり、特に気に入って色々思いを整理したい作品がある場合には、こんなふうにノートにつらつら書きます。使用しているのは普段から持ち歩いているなんの変哲もない雑記帳(無印良品のA5横罫ノート)。
作品リスト等をコピーして貼って、どの作品のメモか分かるようにしています。
アナログだけど、いつでもどこでも取り出して、隙間時間でもメモできるところが良いところ。

わりと自由に書きます

あとはこのメモ書きを携えて、noteに投稿すれば完璧!なんですが、、なかなかまとまった文章を書く時間が取れず。。
鑑賞メモが腐らないうちに形にしたいです。。