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【引用で思索メモ】何が好きか、どうして好きかを考える

先日、以下の記事を拝見しました。

こちらの記事では、作品鑑賞の時にわたしも大事にしたいなと思っていることが、ピンポイントで述べられておりました。

「自分が作品を好きなる基準がはっきりしたら記憶に変化があらわれるかもしれない!」(中略)
「わああ好き!」で終わらせず、きちんと何が好きなのかを言葉にしてみること(後略)

https://note.com/tsugihagi13/n/nc7fd86e9db0e

「自分が作品を好きになる基準をはっきりさせる」というのは、わたしも美術館賞をしばらく続けていて、必要性をだんだんと感じていた課題でした。筆者のツギハギさんは、展示の鑑賞を通して、ある作品について「具体的に、この作品のどこが良かったのか」を丁寧に思い起こし、ご自身の思考の輪郭を確かにする作業をしておられます。
わたしも、ちょっと考えてみたいなと思った次第です。


「何が好きか」を考える

さて、わたしも、ツギハギさんのように、鑑賞していて「わあああああ好き!!!!!」となることが多々あります。
これまでに鑑賞してきたいろいろな作品で、「わああ好き」となったやつ、何か共通項があるのかな? と思い起こすと、大体以下のようなポイントがボンヤリと浮かんできました。

  1. 室内画

  2. 一般的には「静かな」とか「落ち着いた」と評される雰囲気

  3. 人物少なめ

  4. ボンヤリしたライティング

  5. 作品サイズちいさめ

はい、大体わたしの好みがくっきりしてきましたね。笑
何を隠そう、わたしの好きな作家は、

  • ハマスホイ

  • フェルメール

  • ホッパー

  • ホイッスラー

なんですよね、もう別にいちいち分析する必要ないくらいはっきりしてしまった。。

だれもこっちを見ていない安心感

じゃあなぜこれらの作品がすきかというと、すごく安心するんですよね。ただの小さな部屋の中で、何人かの限られた人間だけがいて、静かに読書したりお茶飲んだりしてるだけの空間は、親密な感じがして、見ていると安心するんです。たぶんそれは、画中の部屋が閉じた空間だというのが大きい気がします。印象派とかの開放感ある畑とか街並みの風景画もそれはそれできれいで好きなんですが、これらの画家の描く室内画は、なんかどこともつながっていないような感じがするんです。この部屋の外に別の部屋があって、戸外の世界がある、ということがなんか想像できない。個人の感想ですが。

音楽とかも、交響曲とか円舞曲のようなゴージャスでにぎやかなものより、ショパンのノクターンとか、サティのジムノペディとか、現代音楽だとエレクトロニカが好きです。

平面的表現

あとは、ナビ派が好きです。
ナビ派がよく使った技法にクロワゾニスム(輪郭線を太い線で囲み、塗りを平面的にする)というのがありますが、これは浮世絵などの日本美術に影響を受けているといわれています。

エドゥアール・ヴュイヤール 《ベッドにて》

これは以前に三菱一号館美術館で開催していた「オルセーのナビ派展」で鑑賞した作品ですが、この展覧会では一番くらいに気に入りました。
女の子がたっぷりした柔らかそうなリネンにくるまって、タウ型十字のしたでこんこんと眠っています。色使いも柔らかい色で統一されており、まろやかな印象を受けます。
きっとこの素朴な十字架に、女の子は毎晩眠る前のお祈りをささげているのでしょう。シンプルでさっぱりした部屋で、鼻の下までふとんをひっぱりあげて、すっかり安心して深く眠る姿に、みているわたし自身もまた、満ち足りた気持ちになってしまうのです。

なんだかあんまり深く分析できなかったような気がしますが(実力不足ですね、すみません)、これから少しずつ鑑賞記録を形にしていこうと思っていますので、その過程でこういう風に「なぜわたしはこれが好きなんだろう?」と立ち止まって考えられるようにしていきたいです。