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非認知能力についての学びを記録する。

ごく小さなオンライン学習スペース「Supportia」を設立してから8か月ほどが経過しました。

ありがたいことに、小中学生の入学希望をいただき「マインクラフト教室」を開講することができました。

そして改めて、参加してくれた子どもたちの非認知能力を向上させて、豊かな人生を歩んでもらうことを目指すにあたって、非認知能力への理解をより深めるため色々な書籍を読んだり、関連イベントに参加してみたりしてきました。

12年間公立中学校の教師であった経験と、今現在私が特別支援学級の補助教員として現場で働いている経験とが非認知能力に関する学びと連動して、学び→実践→振り返り→改善といったサイクルが私自身の生活の中に根付いてきました。

そこで学んできた内容をしっかりと記録しておきたいと思い至りました。そして、それは自分だけの知見とはせず、興味をもっていただける方々にもお読みいただけるものにできれば何より、との思いで文章化していこうと思います。

投稿は週1回×全10回を予定しています。各回にひとつ、非認知能力について私自身の学びとなったことを記録する形で文章に残していこうと思っていますので、ぜひお読みいただければ幸いです。


「非認知」能力という言葉の広がり

あらゆる能力を表現する際には、その能力自体の効果が頭につくものです。一例を挙げれば、「コミュニケーション能力」・「言語能力」・「空間把握能力」などなど。
しかし、私たちが扱うのは「非認知=Noncognitive」能力です。
認知されない能力。
つまり、どんな力なのか明確ではないことが特徴です。明確ではなく認知能力ではない能力というあいまいな表現なので、実は広範囲にわたる能力全般を指す言葉とされています。
この言葉自体は2010年頃から使われ始めたようです。

もとになったのは2009年にアメリカ合衆国イリノイ州シカゴ郊外エヴァンストンで開催されたAssociation for Research in Personality(ARP)と呼ばれる学会での基調講演を行ったヘックマンというシカゴ大学教授でノーベル経済学賞受賞者の講演内容でした。

彼の講演後、日本でも非認知能力とか非認知スキル、非認知特性といった言葉を扱った書籍が店頭に並ぶようになっていきました。

「非認知」とは多様で曖昧

教育業界や保育業界など、子どもの成長に関わる機関に重宝されるようになりますが、実は中身については多様かつ曖昧であり、さまざまな立場の人がそれぞれの見解で語っているのみ、といった様相です。

これから10回に分けて、心理特性を文章化していこうと考えていますが、10種類で収まるものではないことは事前にお伝えしておきます。10回では扱えない特性もたくさんあります。むしろそちらの方が多いほどです。

私の主観で10の特性を選出して記載しますが、選ぶ視点は、Supportiaに関わろうとしてくれるお子様やその保護者様の生活やお互いのかかわりの中に、ちょっとした発見や変化をもたらす可能性のあるもの、そして、教育の場における大人の「介入」がその能力を発展させていく効果の高そうなもの、という2点で選びます。

Supportiaでは非認知「能力」と呼ぶ理由

関連の文献には、「非認知=Noncognitive」に続く表現として「Skills(スキル)」・「Abilities(能力)」・「Traits(特性)」といった呼び方があるようです。

各言葉がもつニュアンスは異なります。
①スキル
 訓練などによって身に付けた技能や技術の意味。生まれながらにして身に付けているというよりも経験によって身に付けた力というニュアンス。教えられることや経験を積むことによって具体的にできることを増やしていく。スキルの多くには、「明確な教え方や指導法」が存在することが多い。良い結果につながるもの。

②能力
 何かを成し遂げることができる力。またその背後にある可能性。良い結果につながるもの。教育によって劇的な変化を得られるかどうかはわからない。環境による側面も大きいもの。訓練だけで形成されるものでもないし、それほど簡単に変わるものでもないけれど、良い結果をもたらしてくれるであろうもの。環境による変化も含むことから、教育や子育てによる介入による変化を期待できる。

③特性
 個人に備わった心理的な性質。何らかの機能をもちながらも時間的に安定した特徴。

私たちはこれらを吟味したうえで、Supportiaでの学びに即効性はないかもしれないけれど、学びの環境を整え、その場に応じた最小限度の介入をもって伸ばしていく対象としてこの力を捉えています。そこに最も適切な意味合いを含むのは、②の「能力」という単語でした。よって、今後は非認知能力という呼称で統一したいと思います。

非認知能力がもたらすよい結果

最先端の研究者であるシカゴ大学教授ヘックマンによると、以下のような結果を得られる可能性があるとのことです。

「賃金や就労、労働経験年数、大学進学、十代の妊娠、危険な活動への従事、健康管理、犯罪率」に関してよい結果を得られる可能性がある。

認知能力と非認知能力との関係

非認知とされるどの能力についても、認知的な側面は必ず含んでいます。自分の心理特性を評価するのは自分自身であり、その際には自己認識であり自己評価をする機会が必要です。その際には言語による思考や表現が必要であり、認知的能力が深く関わってくることになります。
よって、非認知能力だけ伸ばせばよいというものではなく、互いに関連し合っている心理特性であるということは考慮に入れておくことが必要となります。

ということで、第一回目の今回は非認知能力の「非認知」の部分、「能力」という」表現の意味、また良い結果などについてまとめてみました。

Supportiaでは現在マインクラフトクラスの体験生を募集しています。下記フォームからご参加いただくことができます。

https://docs.google.com/forms/d/1_qHGcyQbvZ0dWVjZn7xSClh9egprun34p5J8mTHOCPk/edit

また、HPもマインクラフト教室を中心にリニューアルしましたのでぜひ参考となれば幸いです。

それでは、次回からは具体的な心理特性ひとつを取り上げた上で、教育や子育てによる大人の介入による効果を中心にまとめていきますのでお楽しみに