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あの人が願っていたこと

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こちらのマガジンでは、対話の中で聴かせていただいた願いを絵と文章で綴っていきます。聴かせていただいたの願いを応援し、それが誰かの背中を押せるように。絵を書かせてくれる人も募集して…
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#創作大賞2023

あの人が願っていたこと 44

あの人は ずっと学んでいた 自らを活かし尽くす その方法を探して 見つけた その方法は コーチングという 名前をしていた コーチングで 関わった人たちには 力強く 軽やかに 一歩を踏み出してほしい なぜなら その人が 本来持っている らしさを  お互いに 表現し合うことができれば 世界は より 調和をし 色鮮やかな 光を放つはず あの人は それを信じ 関わりを 続けていた その関わりは 決して 派手ではない ひとつひとつを 丁寧に進める あの人は 知っている

あの人が願っていたこと 43

あの人は 社会人経験を 積みながら 新たな学びを はじめた 組織を変革する 会社を興す 高い志を 掲げる友人たち 焦っている わけではない けれど 問いが 湧いてくるのも 自然のこと だった 私は どうなんだろう 自己を振り返り 内省するものの 追いかける 夢は出てこなかった  大きくなくて いい  壮大でなくて いい  素晴らしいものでなくて いい 顔が見れない 人のために 見えもしない 夢のために 予想できない 未来のために 自分は 頑張れない であれ

あの人が願っていたこと 42

あの人は 自分を内省する過程で 人間そのものを 学んできた  人は どんな時に 喜び  人は どんな時に 怒り  人は どんな時に 哀しみ  人は どんな時に 笑うのか 発した言葉の奥に どんな物語があるのか 想像を膨らませ 洞察をするようになった まるで 小説を読むように しかし 接する人たちを 傷つけまいと 意識をする あまりに 我慢が 日常だった 過去の習慣が 抜けきれない あまりに いつの間にか 自分を抑え込んでいた 自分でも気づかない 困難を抱えた

あの人が願っていたこと 41

あの人は 望んでいた 自分に 嘘をつかないことを 両親は 共働き 祖母に 育てられてきた 言う事を聞かないと 動けなかった 自然と 人に合わせる術を身につけた いろんなことに 合わせられるようになった  人に不快な気持ちを 与えてはいけない  人の模範で あらねばならない  挑戦することより 失敗しないことを いつの間にか住み着いた 声に 行動と思考は 制限された そうして 自分を見失った 言葉にならない もやもやが身体に残った 自分に 嘘をついていた報いだっ

あの人が願っていたこと 40

あの人は 探していた ずっと ずっと 何かに なりたい あれを やりたい ちょっとや そっとでは 手が届かないのに 諦めずに ずっと追い続けられるものを 人々は 夢 という名前をつけた  私の 夢は   目指す ところは  一体 何なのだろう あの人は 考え続けた けれど 探せど 探せど 見つからない さまざまなことを  試せるだけ 試した だって 他のみんなは 持っているから 私だけ 持っていないから 追いかけるはずの 夢に あの人は いつの日か 追い詰めら

あの人が願っていたこと 39

あの人は 望んでいた 静かに あること 心穏やかに あること 何かに 振り回されずに あること あの人は 幼い頃から  固定観念に 縛られてきた ルール 通りにやらなければ ならない 決まりを 守らなければ ならない 親を 困らせては ならない いくつも いくつもの ならない が あの人を がんじがらめにした 無意識のうちに 従っていた その縛りを 社会に出て 日々を重ねる中で 気づいた その縛りを 手放したい あの人は そう語った しかしながら 物語の所々に

あの人が願っていたこと 38

あの人は  平和であることを 願った 平和とは 分かち合うこと 対になる言葉は 戦争 戦争とは 奪い合うこと あの人は 分かち合う世界を 広げていきたい これは 必ずしも 人と人との 関係性だけではない 人と地球との関係性も 同じ そこに 課題意識を持った 私たちは 地球の声を無視し  地球を 自分の持ち物のように扱い  得られた恵みを 占有している 地球に住む 私たちは 分かち合うべき なのだ あの人が それに気が付いたのは 自らの 家族の病気 日常の 当た

あの人が願っていたこと 37

あの人は 誰かの役に立つことを 望んだ 自分自身は 何か 事を成す人では ない だから そんな人たちを 助けられるような人に なりたい あの人は そんな自分自身を 触媒と 形容した 仕事では たくさんの人と関わり  物事を 前へ前へと進める 自分たちだけでは できないことが 誰かと手を組むと 前に進むことがある それを 人生を対象にして できないだろうか 自分が 関わることで 誰かの人生を 前に進められないだろうか あの人は そう考えたのだ この考えを 導い

あの人が願っていたこと 36

あの人は 心と身体を大事にすることを 願っていた それは 自分らしく生きる ということでもある その考えが 育っていったのは 育った環境にある 周りからの期待に 応えるため 顔を伺い 様子を伺い 自分を抑えて 暮らしてきた 周りが望む 幸せを 実現しようと 行動してきた けれど 周り は 周り であり あの人 は あの人 身も 心も  削っても 削っても  幸せには ならなかった ぼろぼろになった 自分 その姿を見て 投げられた言葉が  あの人を 目覚めさせた

あの人が願っていたこと 35

あの人は 人の縁について 語ってくれた 歩みを 進める中で 誰しも 壁にぶつかることがある 思った通りに 進まない時 どうしていいか わからない時 自分のことを 見失ってしまった時 そんな時 道を切り開く きっかけと なったのは 人の 存在だった 教えてくれる 人 道を示してくれる 人 勇気づけてくれる 人 あの人は その度に 人の助けを 借りてきた 自分が 何かしたわけでもないのに どうして こんなにも 時間を 使ってくれるのだろう いつしか 支えてくれた人は

あの人が願っていたこと 34

あの人は 誠実な語り口で 語り始めた 人としての  深みを持っていきたい 視野を 広げること 思考の幅を 持つこと そして 強い個として 在る こと 自らの 能力を高め続けた 一体何が この突き進む 原動力となっているのか 語りの中で ふいに  心の声が 漏れる おかしいじゃないか と あの人は 怒っていた 思考停止にさせる 構造に そう あの人は 人の心を 無意識のうちに制限する 構造を この手で変えたいのだ しかしながら あの人は 構造を 直接 怒りの

あの人が願っていたこと 33

あの人は  ずっと 急いでいた 目の前の 世界には 目に見えない 落とし穴がある 落ちたら おしまい 二度と 這い上がれない 少しでも 穴を塞がねば 良くして いかなければ それが あの人は 自分の役割だと 考えた 何よりも 結果を求め 最短距離を 歩んでいこうとした 決して 子どもの頃から そうだったわけではない その気持ちが 根を張ったのは 家族が 病に倒れた時 あの人は  世界に 裏切られたような 感覚になったのだ 世界は こんなにも 残酷なのか 自

あの人が願っていたこと 32

あの人は 前に進むことを 切望していた 何か一つでも 前よりもできることが あの人の 喜びだった 立ち止まることへの 不安に  背中を 押されながらも 来る日も 来る日も できないことを  できるように するために 時間を 費やしてきた しかし ふとした時に思う その成長の先には 何があるのか  何のために 前に進むのか あの人には わからなかった 先の見えない 道のりを それでも 前に進む 前に進むしか 道はないから 成長の手応えは あるが 苦しみを伴う 

あの人が 願っていたこと 31

あの人は 自分の育った境遇の 意味を 探していた その体験を 活かせと 何者かに 言われている気がして 幼い頃に 母親を亡くし 父親に 育てられてきた 複雑な 環境の中 あの人は 早くから  お金を稼ぐことが 求められた 知恵も 経験も ない中で できることは 限られる あの人は 悟った 生きていくには  手に 職をつけることが  必要なのだと この辛さは まだ自分の人生が 始まっていない だけなんだと 自分に 言い聞かせ続けた 自分の 居場所は どこに ある