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あの人が願っていたこと

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こちらのマガジンでは、対話の中で聴かせていただいた願いを絵と文章で綴っていきます。聴かせていただいたの願いを応援し、それが誰かの背中を押せるように。絵を書かせてくれる人も募集して… もっと読む
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記事一覧

あの人が願っていたこと 55

あの人は 言葉を紡いだ 生きることは 思い通りに いかないことだらけ 苦しくて 息が詰まり 怒りに 肩を振るわせ 悲しみに 頬を濡らすこともある でも それでも 生きることは すばらしい そう 信じたい 日は登り 月は照らす 花は咲き 空は青く 草木は繁る 心臓は鼓動し 魂は響く 毎日は ささやかな奇跡に 溢れている そこに気付き 受け取りさえすれば いまここにある時間に 感謝し 一日を 終えることができる 生きることは 一日の繰り返し ならば 生きるこ

あの人が願っていたこと 54

魂に 一致して生きたい あの人は そう言った 正解があるものは 得意だった 勉強 や スポーツ 努力が そのまま 結果につながった 積み上げれば できるという 効力感が あった しかし 社会人になってから その生き方に 行き詰りを感じる 仕事 人間関係 答えを 自分で作らなければ ならないものは 何もかも うまくいかなかった 身体を壊すほど 残業をしても 成果は ついてこなかった   転機 となったのは 結婚の話が 上手くいかなくなった時 小手先の話 ではなく

あの人が願っていたこと 53

あの人は 自らの仕事に 誇りを 感じていた 生命を ご本人から預かる 看護という 仕事を 看護 と言っても  あの人の職場は 集中治療室 生命維持 限界の人たちが  運ばれてくる 最後の砦 あの人の 身体が  あの人の 技術が あの人の 信念が 一人では 維持できない生命を 回復するまで 支える 一日一日に 細心の注意を払い 預かった 生命を 本人へと お返しできたその時に思う ああ なんて 尊い仕事なのだろう しかし 目の前の仲間達は その素晴らしさを 

あの人が願っていたこと 52

あの人は 個が尊重される社会を 求めていた 言いたいことが 言えない環境なんて  おかしいと 思うんだよね あの人は 柔和な性格からは想像しにくい 怒りにも似た感情で 言葉を発した そうだ 我々は 生き生きとした毎日を 過ごさなければ いけないのだ あの人は 生命の使い方に 課題意識を 抱いていた あの人が そこに意識を向け出したのは 大学生の頃に 遡る ワーキングホリデーに 申し込んだ際の 健康診断で見つかった 難病 奇跡的に初期に 見つかり 結果は 寛解に至

あの人が願っていたこと 51

幼い頃 海外で過ごした あの人 日本人は 自分だけ 友達づくりは 難しく 保育園では いつも一人で遊んでいた 繋がりたいのに 排除されていたのだ この痛みを 決定的にした記憶がある 兄との すれ違いだ ある日は あの人は  いつも通り 一人で遊んでいた たまたま 隣の建物に 兄を見つけた あの人は 大きく大きく 手を振った 絶対に喜んでくれる と信じていた 一人ではない そう感じられるはずの瞬間 兄は 恥ずかしさから 反応を避けた あの人は 世界から排除されている 

あの人が願っていたこと 50

あの人は 家庭の中で 虐げられて 生きてきた 自分を 犠牲にし  ケアをしながら 生きてきた 罪悪感 と 無価値感 いつの間にか 何かをしないと 自分には価値がないと そう 思いこむようになった 何をやっても 足りない 食事も取らずに 勉強ばかりしていた そして 身体は痩せ細っていった 何も がんばらなくていい そう 救いの言葉を投げかけてくれたのは  高校の先生 少しだけ 自分を赦せたような気がした 他にも 心療内科の先生 や パートナー あの人は 出会うた

あの人が願っていたこと 49

共に 働き 共に 笑いたいんだ あの人の話は この言葉から 始まった この言葉が 生まれたきっかけは 働き始めた過去に 遡る すでに 家庭を持っていたが 会社を やめたかった 死にたくはないが 生きられない そんな 毎日を過ごしていた どん底だった あの人が救われたのは 恩人との 出会い 恩人は 見ていた 苦しみながらも あの人が  信念を 持って 仕事に 取り組んでいることを そうなのだ 心の炎は 消えていなかったのだ ではなぜ  あの人は 耐えることがで

あの人が願っていたこと 48

あの人は 人と人との関わりに 強く 心を惹かれていた そして コーチングを 学ぶ道のりで あの人は 衝撃を受ける 自分と異なる 他者と こんなにも 強く繋がることができるのか その想いが 自分の根幹にあることに 気がついたのは つい最近 仲間の前で  ある歌を 歌った時 平和を 願い 健やかなる日々を 歌う 不思議と 身体の中から  力が 湧き上がり 声は 壁を飛び越え  遥か遠くまで 届くようだった これは 全てと 繋がっている感覚だった それは 幼い頃

あの人が願っていたこと 47

あの人は 囚われずに 自由に生きることを 望んでいた 自分らしく 振る舞っている人を見ると 羨ましいと 思っていた 他者の目を 気にし 空気を 読み そこで求められる いい人を  演じ続けて しまっていた 演じることは 少しずつだけど確実に 自分を 削っていく そんな時は 決まって本を読んだ その本の名前は 嫌われる勇気 この本は 教えてくれた 自由に生きるには 嫌われる勇気が必要なことを そう 自由というのは 嫌われることを 避けては 手に入らないのだ 落

あの人が願っていたこと 46

あの人は 言った 何かを 願うということは そこから一歩 踏み出すということだ だから  何かを 願うということは とても 怖いことだ 安定していて 安心できるところから 不安定で 危険な 外に出るのだから 怖い  足が竦む 身体が震える やっぱり やめてしまおうか 心が 挫けそうになる 進みたい 気持ちと 留まろうという 気持ちとが 天秤を 傾け合う けれど あの人の心には 止められない 願いがある いや 願いというよりは 抑えきれない もの まるで 疼き

あの人が願っていたこと 45

あの人は ずっともがいていた どうしたら 自分らしく生きることが できるのか 問いばかりが 頭に残った 教育に 厳しい家庭に生まれ 優秀な 兄弟を持った 常に 比較の対象になり 自分は 何のために生きているのか 問い始めるのは 自然のことだった そんな あの人が 目覚めるきっかけに なったのは 大学での 出来事 当時所属していた サークルでは 運営がうまくいかず 停滞していた いつもならば 目立った行動はしない けれど サークルに愛着のあったあの人は 他の人が 

あの人が願っていたこと 44

あの人は ずっと学んでいた 自らを活かし尽くす その方法を探して 見つけた その方法は コーチングという 名前をしていた コーチングで 関わった人たちには 力強く 軽やかに 一歩を踏み出してほしい なぜなら その人が 本来持っている らしさを  お互いに 表現し合うことができれば 世界は より 調和をし 色鮮やかな 光を放つはず あの人は それを信じ 関わりを 続けていた その関わりは 決して 派手ではない ひとつひとつを 丁寧に進める あの人は 知っている

あの人が願っていたこと 43

あの人は 社会人経験を 積みながら 新たな学びを はじめた 組織を変革する 会社を興す 高い志を 掲げる友人たち 焦っている わけではない けれど 問いが 湧いてくるのも 自然のこと だった 私は どうなんだろう 自己を振り返り 内省するものの 追いかける 夢は出てこなかった  大きくなくて いい  壮大でなくて いい  素晴らしいものでなくて いい 顔が見れない 人のために 見えもしない 夢のために 予想できない 未来のために 自分は 頑張れない であれ

あの人が願っていたこと 42

あの人は 自分を内省する過程で 人間そのものを 学んできた  人は どんな時に 喜び  人は どんな時に 怒り  人は どんな時に 哀しみ  人は どんな時に 笑うのか 発した言葉の奥に どんな物語があるのか 想像を膨らませ 洞察をするようになった まるで 小説を読むように しかし 接する人たちを 傷つけまいと 意識をする あまりに 我慢が 日常だった 過去の習慣が 抜けきれない あまりに いつの間にか 自分を抑え込んでいた 自分でも気づかない 困難を抱えた