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足の運動が膝にも効く【DoctorTのスポーツ・エクササイズ医学】

こんにちはDoctor Tです。連日の猛暑が続いていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

今回は5月に続いて足の運動と膝の痛みの改善に注目した研究を紹介します。
*医学で「足」は足首より末端の部分のことをいいます。


足の構造や機能は足首や膝、股関節にも影響する

グラグラは他の関節にも影響する
骨の向きがねじれてると関節に歪みが生じる

これは前回の記事でも少し触れましたが、2本の脚で立つときには地面から足→足首→膝→股関節の順で関節が続きます。

足の機能が悪くなると土台がぐらつき、その上に乗っている足首、膝、さらに股関節も不安定になり、関節に負担がかかります。逆も然りで身体の中心に近い股関節が硬かったり、向きに異常があるとその先にある膝、足首、足はそれにつられて正しい向きにならなかったり、正しく動けなくなったりします。

骨の並びや筋肉のアンバランスが原因の痛みも多い

転倒などのはっきりしたきっかけのない腰痛や膝の痛みを訴える患者さんを多くみます。これを読んでいるみなさんも経験があるのではないでしょうか。

悪い姿勢や筋肉の使い方のクセで、ある特定の場所に負担がかかりすぎてそこに痛みが生じることは少なくありません。

運動は関節の痛みに対して大事な治療法

関節は靭帯だけでなく、筋肉や腱によって支えられています。そして、骨の向きは筋肉によっても決められます。おしりに力を入れると太ももが外側に向く感じです。

骨の並びや向きが痛みの原因の場合、長期的に治すには①装具で関節のサポートをしつつ②周りの筋肉を付け、関節が健康的に動けるようにする必要があります。②を可能にするのが「運動」です。治療の一環なのです。

運動がいいというのがわかったところで、どんな運動が効果的なのかが気になりますね。

今回紹介する研究では膝蓋大腿痛症候群 Patellofemoral pain syndromeと診断されたひとを対象に股関節や膝の運動に加え、足の運動を追加したらさらに症状がよくなったと言っています。

膝蓋大腿痛症候群とは

よくある膝の痛みのひとつで、症状は、膝の曲げ伸ばしによる膝蓋骨(いわゆる「膝のおさら」)の周りの痛みです。膝を長時間曲げ続けても痛くなることがあります。膝蓋骨と大腿骨(太ももの骨)が接触してこすれ合っているのも原因だと考えられています。

膝の周りの症状ですが、部位の違う、足や靴の不具合でも生じることがあります。

適切な運動で大腿骨から足までの骨の並びを整え、効果的に動かす筋肉をつけることも治療になります。

この研究では平均22歳の男女28人を対象に
1)①股関節と②膝周りの運動のみ
2)上の運動+③足の土踏まずアーチを上げるような運動
のグループに分け、週2回*6週間のエクササイズをした後の症状を比較しました。
5月の記事でアーチを上げる運動を紹介しています。(こちらを参照)

運動で症状改善

6週間の運動の前後で比較すると、1)2)のどちらのグループでも痛みは軽減し、全身のバランス能力、膝の機能が改善し、膝の筋力と筋量が増加しました。運動に効果があったということです。

グループ1)とグループ2)の比較では、グループ2)で痛み、膝の機能、前後の揺れに対するバランスが改善していました。足の運動の追加で、さらによくなったと考えることができます。

足の運動を加える価値はありそう

膝蓋大腿疼痛症候群に対して股関節や膝関節に焦点を当てた運動だけでも症状はよくなるのですが、足の運動を加えると痛みや膝の機能、バランスの一部がさらによくなるかもしれないということです。

③の足の運動はそれほど時間がかからないので、効果を考えると追加する価値はありそうです。

今回はよくある膝の痛みのひとつの膝蓋大腿疼痛症候群を取り上げましたが、他の膝の痛みの原因にも共通する部分があるので、これらの運動は他の膝の痛みにも効果があるのではないかと考えています。

まとめ

  • 足の構造や働きは他の関節にも影響を与える

  • 骨の並びや筋肉のバランスが大事

  • 運動は関節などの痛みに対しての「治療」

  • 運動によって膝の痛み、機能、全身のバランスもよくなる

  • 股関節や膝周囲の運動に足の運動を加えると膝の痛みが更によくなるかもしれない

誰もが経験する長時間歩いたときの足や膝の痛みや疲れ。これは定期的に運動をする人でなくても、旅行先などでよく経験しますよね。旅を楽しくするために荷物だけでなく、からだも準備をしてみてはいかがですか?

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