Diversity&Inclusionへの挑戦
こんにちは、Spir代表の大山です。
Spirではグローバル展開するためのユニバーサルなプロダクト開発をしていくためにも、組織作りについてもDiversity&Inclusionを実現したいと考えて採用活動にも取り組んでいます。
その中で、2022年4月に海外出身でグローバルテックカンパニーでの経験もあるIzzy(イジー)にCTOに就任してもらったのですが、今回彼からの退任の申し出があり、話し合いの結果、その申し出を受け入れることにしました。
グローバル展開に向けた重要なポジションとして肝入りで採用した仲間だったので、個人的にも衝撃は大きく、創業以来最もインパクトのある出来事でした。
このCTO退任という出来事を、何事もなかったかのように進むという選択肢もありました。でも、今後Spirに興味を持ってくれるかもしれない方々や応援してくださっている皆様にも事実を伝え、そこから我々がどう挽回していくのかをお伝えすることが、「常に胸を張ろう」というSpirのValueを体現につながると考え、このnoteを書くことにしました。
退任に至った大きな2つの理由
CTO退任の大きな理由の一つ目は、経営メンバーへの権限移譲に関する認識齟齬でした。具体的にはプロダクトに関する意思決定の裁量権と決定のプロセスに対して、期待値と現実のギャップが大きかったようです。
確かに、CTOにプロダクトに関する意思決定は任せると私が言っていました。しかし、実質的には、プロダクトは経営会議でのほぼ全ての意思決定事項と関連します。結果として、プロダクトに関しても合議的な意思決定になってしまっていたのです。
二つ目の大きな理由は、事業運営面での意思決定方法におけるカルチャーギャップでした。マネジメントメンバーがトップダウンで意思決定したものを推進していくことを目指しているCTOに対して、今のSpirはフラットな組織でボトムアップの議論が多いのが実状です。このカルチャーを変えることはかなり難しいと感じたようです。
退任理由の詳細な内容については、私から一方的に発信するのは適切ではないと思うので伏せさせていただきますが、それぞれの理由について、CTOと私の双方の景色があり、どちらの言い分も理解出来る部分がありました。
なんとか相互に歩み寄り、問題を解決して新しいステージに進む可能性を模索したのですが、最終的には価値観・方向性の不一致が明確になり、CTO退任という結論に至りました。
Spirとしての振り返りと次へのアクション
この結果を全社的に伝えるあたって、単に結論を伝えるのではなく、この結果に至った経緯を振り返り、反省すべき点を認識し、改善に向けてのアクションと共に発表をすべきだと考えました。
以下の2つが具体的なアクションです。
アクション①意思決定の責任権限の明確化のためのプロジェクト制の導入
退任理由の1点目の「経営メンバーへの権限移譲に関する認識齟齬」については、CTOのみならず、誰が何を決めるのかが実際に曖昧になってしまっている部分がありました。昨年末までフルタイムメンバーは5人。誰が何をしているのかが当たり前に分かっていましたが、数カ月のうちに10人以上の体制になり、またマネジメントメンバーが増えたことも背景にあります。
この状況を解決するために、経営課題としてのイシューを設定し、各イシューに対して責任を持つマネジメントメンバーを明確にしました。また、そのイシューを解決するためのプロジェクトを組成し、各プロジェクトはプロジェクトマネジャー(PjM)に推進してもらうことにしました。
プロジェクトの設定はイシュー担当のマネジメントメンバーとPjMで話し合いながら、プロジェクトのゴール、解決すべき課題のスコープ、目標とすべき結果などをすり合わせ、その後にプロジェクトをキックオフするという形で運用を始めています。
アクション②意思決定におけるSpirのカルチャーの明文化
また、2点目の「事業運営面での意思決定方法におけるカルチャーギャップ」については、具体的にどう言う場面でそのギャップが発生していたのかを社内では共有しました。Diversityがあるチームにおいて、今後も間違いなく同じ状況を迎える可能性が高いことをメンバーにも知っておいてもらいたかったからです。
SpirのValueについては、全てのメンバーに入社前に説明もしており、現時点では何も変わりません。グローバルなジョブ型の組織設計と日本的なメンバーシップ型の組織設計とを二元論的に捉えるのではなく、どうバランスさせるかを考える必要があると考えています。
今回の件を踏まえて、意思決定という行動についてSpirのカルチャーを明確に定め、改めて全体にも共有しました。
意思決定方法について
意思決定は責任と共にトップダウンで行う
意思決定すべきイシューは常に全員にオープンにする
意思決定のためのボトムアップな議論は大歓迎、議論では問題提起だけでなく対案を
意思決定のスピードについて
意思決定はearlyではなくquickに(結果を出すまでのスピードが勝負を決める)
quickな意思決定に必要となる一次情報にアクセスする
ブレない意思決定は大事だが、最適ではないと判明した時は朝令暮改を歓迎
意思決定に対するスタンス
アーリーフェーズにいる我々はイシュー領域が多くの場合重なることを認識する
その上で少なくとも自身が意思決定者として責任を持つ領域には納得するまで対話をして結論を下す
前提認識はすぐにズレるので景色を交換して対話を通じてコトに向かう
最後に
グローバル展開を目指す上で、Diversity&Inclusionが実現されている組織作りは必要条件だと考えていますし、これからもその実現に向けて歩みを進めていきたいと考えています。
今回の結果は私個人にとってもチームにとっても衝撃の大きいものでしたが、Izzyからの申し出によって、Diversity&Inclusionを実現するためのカルチャー作りやそれを明文化することの必要性に、改めて気づくことが出来ました。また、口で伝えるだけではわからなかったスタンスの違いにも向き合うことが出来ました。彼にとっても大きな意思決定だったと思うので、改めて感謝の気持ちを伝えたいです。ありがとう。
新たな取り組みはまだ始まったばかりです。運用していく中で、すでに課題題が見えてきてるところもありますが、以前よりもスピード感をもって事業を推進出来るようになったとも感じています。
今回の出来事を事業強化の礎にできるか否かは、これからの自分達の行動次第だと思っています。
事業環境も大きな変化が起こっている状況ですが、幸いなことにSpirの事業自体は拡大を続けています。この新体制で更に強いチームを作り、事業を加速的に成長させていきたいと思っています。
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