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ショートストーリー

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#人生

白いイルカ

白いイルカ

正確にはそれがいつなのか覚えていないが、僕がまだ幼稚園児だった頃の記憶で、今でもふとした瞬間に思い出す光景がある。

僕が生まれた時、母方の祖父は既に鬼籍に入っていて、祖母は一人で新潟県の田舎に住んでいた。塩の匂いが漂う港町だった。僕は祖母が大好きだったから、母親と一緒に帰省するのがいつも楽しみだった。

その光景の中で、祖母は僕にこんな話をする。

「大きくなったら、そのうち大きな波がやってくる

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ものさし屋さん

ものさし屋さん

まだ僕が小さかった頃、近所の「ものさし屋さん」がこんな話をしてくれた。

「人はね、生まれながらにそれぞれ自分のものさしを持っているんだ。

不思議なことにそのものさしは人の成長に合わせてすくすく成長するんだ。

それから、君に成長期があるように、ものさしにも成長期みたいなものがある。

でも大抵の場合、君の成長が止まっちゃう頃には、ものさしの成長も止まっちゃう。

もちろん完全に止まっちゃうわけ

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