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ジャ・ジャンクーが描く文化大革命後の若者『プラットホーム(2000)』

題名:プラットホーム
製作:中国/2000
監督:ジャ・ジャンクー(賈樟柯)
主演:ワン・ホンウェイ(王 宏偉)

ジャ・ジャンクーが『一瞬の夢』の後に作った作品が『プラットホーム』である。
中国の文化大革命後の時代に翻弄される若者たちを描く作品。

理想へと走り続ける中国

近年の中国といえば発展著しいが、本作の舞台は文化大革命前後付近からとなっており、若者たちの変革の萌芽から、移り変わっていく若者たちをロングショットで捉えている。

直接的な文化の変革表現は感じさせないが、アイテムの変容(マッチ→ライター)などで少しずつ豊かになっていく様子もわかっていく。

天安門事件や文化大革命など、直接的な表現が難しい中国という国で、政治や社会に翻弄されていく様をまざまざと描く。

都市部の直接的な情報は広がらず、いつの間にか田舎に行き着いているような表現として適しているように思う。

内陸部に生まれた者として

中国では内陸と沿海部で経済、文化の格差が広がっていることは関心のある人なら知っているだろうが、ここに骨を埋めていくという選択は、若者としては苦しく感じてしまう。

生まれた国、育った地域によって生き方に差が生まれていく。

彼らが沿岸地域に生まれていれば、恵まれた素晴らしい人生を送れていたのかはわからないが、“そこ”にも必ず人生が存在している。

彼らが住む汾陽は城壁に囲まれており、まさに閉じ込められているような閉塞さを感じる。

一生この街で生きることが幸せであるのか?

本作は作品でもあるし、中国という国の歴史そのものでもあるかもしれない。

汾陽が『プラットホーム』となり、若者が生き生きと暮らすことができる中国という国は出来上がるのか。


永遠に待っている。 

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