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誰かに助けられた、そんなときに

少し前に続いて王様ランキングについての記事を書こうと思います。一応展開についてのネタバレはしない予定なので、今楽しんでいる方は引き続き一緒に楽しんでいきましょう!


王様ランキングとは?

王様ランキングのストーリーというのはかなりわかりやすいほうだと思います。耳の聞こえない非力な主人公が友達を作り、修行して強くなっていくっていう話。ちなみに現在、国を守るために戦っています。簡単に説明するとこんな感じ。

こういう作品を見ていて必ずと言っていいほど出てくるのが、お気に入りのキャラクターです。誰を応援するか、誰に共感するか、誰に自分を重ねるかというのはその人次第。

もちろん、客観的に作品を楽しむという方もいることでしょう。けれども私の場合はそういうキャラクターが出てきます。見るのが楽しみな理由の一つです。

それは主人公ボッジの友達としてともに旅をしてきたカゲ、そしてミツマタという巨大な蛇です。カゲとボッジの関係は前回の記事にもうっすらと触れてあります。今回はこのミツマタを軸に語っていこうと思います。


恩返しのために生きる

ミツマタというのはかつて弱っていたところをボッジとその継母であるヒリングに助けられた蛇です。そのときは小さな蛇だったのですが、その後成長し巨大な蛇となり、戦いのときなどにたびたび助けに来てくれます。

また、ボッジの国を守る四天王であるベビンにも命を助けられています。私は原作を読んでいないので詳しくはわかりませんが、おそらくこのベビンがミツマタを育ててくれたのだと思います。

簡単に言うと、このミツマタとは恩返しのために戦いに参加するくらいに「恩を大切にしている」、もっと言うと「恩返しのために生きている」ようなキャラクターだと私はとらえています。

この設定に私は自分を重ねずにいられません。何故なら私もそういう面があるからです。ちなみに先ほどのボッジの友達であるカゲも同じような理由からお気に入りのキャラクターになっています。

ミツマタのように自分を助けてくれた相手のために、恩返しがしたかったと思い続けているところがあります。逆に言えばカゲのような誰かのサポートを受けたおかげで、現在も生きていると思っているからなのです。


人間に対しての希望を

何度かこちらでも触れている通り、私は毒親である父によって傷つけられる幼少期を過ごしていました。よって自分に自信もなく、いびつな価値観や人間不信を抱いて成長しました。

どこか自分のことを無価値なようにとらえているところがあったし、自己肯定感も低くてなかなか自分のことを認められませんでした。そのため対等な人間関係というものを築くことが難しいときもありました。

そんなときに助けてくれたのが母と親友でした。また、学生時代に好きだったとある同級生も私にとっての大きなターニングポイントを与えてくれた一人です。

その人たちが私にとって「まだ人間に対して希望を持っていい」と思わせてくれた恩人です。この世にはたくさん人がいるし、信じられる人もいることに気付かせてくれました。

ミツマタのケースでは命を救われたということが恩を返そうとしている理由になっています。もしそう表現するならば、私にとっては心を救われたとでもいうのでしょうか。


極限まで傷つくときに

命についても心についても「これ以上傷付けられたら壊れてしまう」と思うようなラインがどうしてもあります。ここまで追い詰められてしまった場合、無茶をしてでも戦おうとする人や逃げようとする人。そして全てを諦め投げ出してしまう人といろんなケースが存在すると思います。

戦おうとする人、逃げようとする人。諦めてしまう人。どれにも共通しているのは「これ以上傷つきたくない」という思いです。諦めてしまう人というのは一見そうでないように見えますが、心を閉ざすことで現実を感じないようにしてしまうのだと考えています。

こういったときに助けられるということ――それは本当に助けたいと思って行動している人だけではありません。たまたましてもらったことで助けられたと思うこと、そしてそういうつもりが全くなくても救われたと感じる人もいるのです。

けれども、助けられたということはまぎれもない事実な訳で、恩返しができたらと感じるのはよくあることだと思います。人には好意の返報性という「嬉しいことをしてもらった人に同じことを返したくなる」という心理もあります。


いろんな形の愛がある

ところで、現在王様ランキングの主題歌として使われている曲にはサビにこんな言葉があります。

愛してしまった 全部全部 降りかかった呪いも全部
愛してしまった思いを全部 守れるほどの光を

Vaundy「裸の勇者」

私にとって毎回考えさせられる歌詞です。実は王様ランキングとはたくさんの愛の物語でもあるのです。ボッジへの継母ヒリングの親子愛、ボッジとカゲの友愛、また二人の師であるデスパーとの師弟愛。

ネタバレになるので言えない関係性も含めて、そのほかにもいろんな形の愛が出てきます。けれども、その形とは綺麗なものとは限りません。


例えば誰かの過ちを「自分は嫌われるかもしれない」と思っても勇気をもって正すこと。また過ちと知っていても相手が気付くことを信じて見守ること。また相手の好きなようにさせることもできます。

違う方向性のようでどれも愛からの行動です。けれども、どれが正しいかということは一概には言えません。どのような結果を迎えるのか、それが本人にとっていい形になるかはわからないからです。

それでも、誰かのために生きたいと思うことや助けになりたいと思うこと。支えになりたいと思うことは、人として本来とても尊い感情なのだと思います。


今回は恩返しという視点で語ってきましたが、恩返し自体も「救われたから愛を持ってそれを返したい」ということでもあります。私はもう大体の恩を返し終えました。直接相手に返せない分は恩送りという形で終わりにしたいと思います。

それでも、胸に残るのは暖かな感情です。助けてもらったときも恩返しをしようと誓ったときも、同じような思いがありました。自分の心に愛を感じるときというのが実は生きていて一番幸せなのかもしれないと感じます。

どうかそれが、純粋な形で残るように。


ここまで読んで下さってありがとうございました。



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