生まれてからずっとあったもの
もくもくお雲。
雨戸を開けておひさまに会えない朝は、ちょっぴり寂しく、もの悲しい。
それでも
いつものように
床をクイックルして
踊っちゃ う。
7月に大片付けをしたときに、大したものが何も入ってはいない小さなチェストを物置に出して、床に敷いてあった、まあるいラグマットも何とか洗濯機に突っ込んで洗い、ひとまずクローゼットにしまった。
広く顔を出した床を
わたしはあれから毎朝
クイックルしている。
贅沢すぎる、祖母が残した浴衣生地を使って。
祖母は人形店に長く勤めていた。多分近くの知り合いのお店で安く買っていたのだろう。ちょっと素敵な桐の箪笥からは、いくつもの反物が出てきた。
浴衣生地は母もたくさんフキンを縫って友人にあげたりしたから、もういいと言う。捨てるなんてもったいないし、かと言って何かを作る気は全くしない。柄も好みではない。
自分の古した布物を掃除用に使おうと、たくさんハサミでザクザク切っていた。この浴衣生地に出会う前に、やはり古した手拭いを切ろうとした時にはもう、わたしの右手は疲れていて、2回ほどハサミを入れた大きさで、たたんで置いておいた。
それを、ある時になんとなく
クイックルワイパーに挟んでみたら
すごく良く取れたのだ。
ホコリも髪の毛も逃さず全て。
最後の一枚になった時に、母に手拭いクイックルがすごく良かったと話をしたら、この浴衣生地を使ったらいいわよ、と教えてくれたのだった。
それからずっと、もうすぐ6ヶ月目に入るのだからすっかり習慣になった。
毎日毎日床が綺麗だったら、ソファの上が少しくらい雑多でも、むしろいい。
それは
どうして気がつかなかったのだろうな
ずっとずっと共にあった
私たちが住まう
大地
木の床
足元の魔法に。
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