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東野圭吾さんの「殺人の門」を読んだ感想

東野圭吾さんの「殺人の門」を読んだ感想です。

ネタバレ無しの感想

なかなか読むのを躊躇ってしまうようなタイトルです。
重い話だけど、自分にはちょうどいい感じでした。
そういうのが好きな人にはオススメできる一冊です。

感情移入しやすいですね。
主人公は馬鹿だなと思いますけど、なんだかそれも共感できるような気持ちになりました。

「自分の人生を狂わしてきた男を殺したい」と思いながらも、実行することができない主人公、その中で読み進めていると「さっさと実行してしまえば良い」と思ってしまうから、怖い作品です。

その背景にある、友人関係、夫婦関係、親子関係、仕事、などなど、様々な要素が絡みあって、結末に向けて、一気に読んでしまいました。

読んでいる自分自身の中にある不安や恐怖に向き合っているような気持ちになりました。

ぜひ読んでみてください。

ネタバレありの感想

最初は倉持が悪い、と完全に思っていたのですが、途中から様々な心境の変化がありました。

高校時代のバイトで知り合った陽子の件は、最初から自分からいっていれば、と無念な気持ちでいっぱいになりました。
ただ、同時にもっと信じてあげられれば、という気持ちが強かったです。
(噂の内容は後になって分かることですが)

ホズミでのマルチの件は、余計な一言を自分で言ってしまうことが自分の首を締めることになりました。

東西商事の件は、さすがに自分でもよく分かっていたことでしょう。
それでも辞められない。
辞められないのは、それ以上に強い気持ちがあるのか、結局こういう人の気持ちはよく分からないなと思いました。

主人公田島が浮気をしてしまうのは、父と一緒でした。

離婚によって様々な損害があったとはいえ、倉持の仕事も手伝ってしまいます。
これも、普通に考えれば良くないことは分かるでしょう。

悪いことをしていると思っていても何も変えられない姿、この本で一番感じたのはこれですね。
結局、原因を作っているのは自分自身のような気がします。

倉持の執念は、子供の頃から続いていたと思うと、本当に恐ろしい気持ちです。
「捨て石として役に立たないほどには幸せにしない」
という言葉が、すごく印象的です。
そこまで人をコントロールできるのか?と思いますが、よほどの執念だったのでしょう。
それほどまでに執念を持てるのなら、別のことに使って欲しい、とつくづく思います。

こんな二人の友人関係?が成立していたのは驚きですが、それがこの本の読み応えがあった部分かなと思いました。

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