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土壌生物たちの暮らしと役割


<土壌生物たちの暮らしと役割>

現在では地下深くにある生物相の全生物量が地表に生きている生物の全量を上回るのではないかという説を唱える科学者もいる。通常生物の進化史を語るとき、海から陸への進出が注目されるが、そのずっと昔から生命は陸上の地表から深いところに微生物たちが存在していた。そしてその微生物と淡水から進出してきた藻類が手を結ぶことでついに地表面に生命が大地に定着したのだ。

~センチュウ~

ミミズの次に重要な役割を担っているのがセンチュウだ。地球上の小さな巨人とも呼ばれる。ほとんどの種類は肉眼で確認できないが、地球上のバイオマス(生き物の重量)の約15%をも占める。

森林の土を一掴みすれば数万匹のセンチュウが存在する。
多くの種類がいて主に有機物や微生物を餌にしているし、逆に餌としての役割も担っている。根に寄生するのはごく一部。野菜の病気の原因となるセンチュウを食べるのもまたセンチュウ。
水中や動物の体内にも生息しており、人間の体内に住むギョウチュウなどの寄生虫もセンチュウの仲間だ。

~トビムシ~
山の落ち葉の上に座ってじっとしていると、白っぽい小さな虫が飛び跳ねていることが観察できる。彼らは湿った場所ならどこにでもいる。湿った場所なら大人しくしているが、乾いた場所にいるとまたいた場所が乾くとぴょんぴょん飛び跳ねて移動する。

腐食、細菌、カビ、藻類などを食べて分解し、さまざまな動物の餌となるため、大地のプランクトンと呼ばれている。物質循環の要。
実際に腹部にある足でジャンプすることからその名がついた。古来から存在する原始的な昆虫と考えられているが、全く違う系統なのではないかという見解もある。
初春に雪が溶け始めた雪溜まりに大量に出現することから雪ミノとも呼ばれている。

~クマムシ~
湿った泥やコケ、植物堆積物についている水の膜の中にいる。基本的に水生だが水が極端にない状態になると再び条件が良くなるまで、ときには100年以上も休眠することができる。
体長1mmほどに満たず、植物の汁などを食べて生きている。ゆっくり歩くという意味の緩歩動物の一種。

実は地球最強の呼び声が高い。150度以上の高温、マイナス270度以下の低温、7万5000気圧もの高圧の中でも生きていける。
宇宙にも連れて行かれ、宇宙服を着ることもなく宇宙空間で有害な放射線や太陽光を直接浴びたにも関わらず、一部のクマムシは生き残った。
南極や高山、泳げないのに深海にも、その辺の苔の上にもいる。世界中に1000種以上も生存している。

~ダニ類~
捕食性、寄生性のダニが2万種ほど存在している。害虫にも寄生するが人間に寄生して嫌われるものはやはりごく一部。戦中などを捕食するものや落葉および菌類を食べる腐食性で土壌の生態系の中核を担っている。

ササラダニは草食で落ち葉などを食べる、土の中で一番多い、0.2~1.5mmほど。トビムシと並んで大地のプランクトンと呼ばれる。日本だけでも800種以上存在している。

・シデムシ
夏になるとモグラやヒミズといった地中哺乳類の分散期に生き残れなかった死体を見かけることがある。こういった死体を片付けてくれる虫がシデムシである。
赤と黒の模様が特徴のモンシデムシは小動物の死体をあっという間に土の中に埋めてしまう。死体の下の土を掘って周りに掻き出して、埋めていくのだ。その時間は2~3時間ほど。私たちが普段動物の死体を見る機会が少ないのは彼らの職人芸のおかげである。そして、土の中に保存した死体の近くに卵を産み付けて育児をする。幼虫には直接口移しで餌を与える。

・ムカデとヤスデ

肉食のムカデは

ヤスデは消化効率の悪い落ち葉や一度排泄された糞を食べる糞食、腐食や土壌を食べる。こうしてまだ植物が利用しにくい資源を利用し、分解してくれる。
ヤスデの方がムカデよりも倍以上足が多い。なかでも750本ほどの足を持つ種がいて地球上生物の中で最多を誇る。

龍神や大蛇に対抗するライバル神だったが、いつのころか鍛冶屋や金属産業を守る神様の使いとなった。前に前に進む様子から武士たちから勇ましいとして甲冑などのデザインにも利用されている。

・ダンゴムシ

特に石灰岩地域に多いダンゴムシは海岸から森林まで広く生息している。ムシという名前がついているがエビやカニと同じ甲殻類で、エラ呼吸をしている。

落ち葉や雑草、動物の死骸などを食べて土に変えてくれる。またときに木登りをして植物の葉を食べることもある。カルシウムが足りないときはコンクリートの表面も食べるという。また、ダンゴムシの排泄物はカビ菌の増殖を抑える効果が認められている。

私たちの身の回りでよく目にするオカダンゴムシはヨーロッパ原産の帰化動物である。明治時代にやってきたと考えられている。
日本原産のコシロダンゴムシは乾燥に弱いため、主に森林内に生息している。代わりに乾燥に強いオカダンゴムシが人家周辺に生息しているようだ。
このオカダンゴムシは迷路が得意だという。

・アリジゴク
アリジゴクといった種の昆虫はおらず、ウスバカゲロウの仲間の幼虫のことを言う。主に砂地にすり鉢型の巣を作ってそこに落ちてくるアリや小さな昆虫を食べる。もし、あなたの畑が砂地なら生息している可能性が高い。真夏になれば成虫になり、カゲロウとして生きる。

蟻地獄の斜面の角度はその日によって変わる。ただしくは湿度によって変わる。砂を山盛りにしたときに砂が崩れずに安定している際の斜面と水平をなす最大角度を安息角という。これが湿度によって変わるため、アリジゴクはこまめに傾斜を調整している。そのため、虫がその斜面に入れば一気に崩れる。いったん入り込めば動けば動くほど崩れていって、すり鉢の底に勝手に落ちてくる。ときにこのすり鉢から逃れそうになる虫が現れると、アリジゴクはそこから砂つぶを投げて妨害する。決して食べるために努力と工夫を怠らない。

しかし、獲物がすり鉢に入ることは運次第だ。だからアリジゴクは基本的に飢えに耐えられるようにできている。そのために肛門を閉じて成虫になるまでの数年間もの間、全くと言っていいほど糞をしないのである。そして羽化するときにまとめて外に出す。どれほど気持ち良い瞬間なのかとついつい想像してしまう。

成虫になったウスバカゲロウは数週間の命の間、今度は全く食べずに水だけで生きる。便秘からの断食である。理由は簡単だ。彼らに取ってその成虫期間はただ恋愛し、子孫を残すためだけの時間で、そのための栄養分を溜め込むのがアリジゴクの時間である。

・セミの幼虫
セミは土中の昆虫だ、といってもなかなか信じてもらえないかもしれないが、その一生の99%は土中内で幼虫として過ごす。成虫は夏に騒々しい音で短い恋愛をすることで有名だが、最新の研究では数週間から1ヶ月程度生きることがわかっている。とはいえ、幼虫期間はその何倍にも当たる。現在の研究では数年から七年以上と考えられているが、やはり土中内の観察と研究は難しく実際のところはまだよくわかっていない。

しかし、多くの昆虫の命はもっと短い。一年のうちに何度も生と死を繰り返す方が普通だ。だから人間が「セミの命は短い」と言うのは誤りで「セミが恋愛期間が短い」が正しい。
セミの幼虫たちは土中内で生きている植物の根から食事をとる。しかし、葉で作られた糖分を送る篩管ではんく、根から吸い上げた水分を植物全体に送る導管から食事をとる。

普通、植物の茎から養分を取る昆虫は篩管から栄養たっぷりの食事をとって一気に身体を大きくする。しかしセミの幼虫は導管から主に水分ばかり取る。そのため吸われている植物は生き続けるし、セミの幼虫はゆっくり成長する。
だが、セミの成虫は今度は地上の樹木で篩管から食事を取る。篩管とはいえ、そこには水分がたくさん含まれている。その水分こそがセミのおしっこの正体である。

~今後のスケジュール~

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・沖縄県本部町 2月11日~12月1日
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