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今さら聞けない!「エモい写真」ってなんだろう? 解説&インスタで人気のハッシュタグ10選 #tmhspark

こんにちは!  トライバルのトレンド研究グループSpark! です。

2019年は大辞林が13年ぶりに改定され、「エモい」や「ばえる」といった現代語が追加されたということが話題になっていました。

「エモい」という言葉は、いま一体どういう場面で使われているのでしょうか?

そもそも「エモい」って?

「エモい」とは、感動を意味する「Emotion」から派生した言葉だと言われていて、若年層を中心に使用される形容詞です。
感情に訴えかける、心を動かされるといった意味で使われることが多く、「やばい」のように幅広い意味合いでも使われています。

Twitter上では特に「アツい」「グッと来る」といった文脈も多く見受けられますが、今回は特にInstagram上で多く投稿されている「エモい写真」に注目し、そこではどういった意味合いでとらえられているのか、まずは現役大学生に意見を聞きながら探ってみました。

大学生にとっての「エモい写真」

はじめに、内定者アルバイトのなっちゃんが大学生11人にヒアリングし、「エモいと思う写真」を送ってもらいました。集まった写真の中から一部を紹介しながら、詳しく見ていきたいと思います。
こちらは、風景やモノをテーマにした写真です。

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フィルムカメラで撮影したようなくすんだ色味の写真が多く集まりました。
また、提灯どことなく昭和っぽさを感じる路地裏など「レトロ」な被写体も「エモいもの」としてとらえられているようです。

続いて、を撮影した写真です。

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風景・モノの写真と同様、彩度が低めで落ち着いた印象の写真が多く集まりました。

上段の3枚は、意図せず撮られたような自然さが印象的です。
一番右の制服の写真は、高校時代に「青春っぽい写真を撮りたい!」とジャンプした瞬間を撮影したものだそうですが、少しブレてしまっています。こういった、偶発的でその瞬間の臨場感が伝わる写真もエモいと感じるのだとか。

下段の3枚は、感情がわかりにくい表情を浮かべた写真や、表情がはっきりとは読み取れない構図の写真で、どこか切なくミステリアスな雰囲気を感じます。

このような「ミステリアスさ」や、「その前後にどんな会話があったのか」「(写真が撮られた当時は)どんな日常だったのか」というようなことに想像力を働かせたり、思いを馳せたりしたくなるのは、人物が被写体のときのエモい写真の特徴です。

今回集まった、大学生にとっての「エモい写真」の要素をまとめたものがこちら。

自分は経験していない過去に関するモノや風景
例:昭和レトロ、バブル時代を象徴するモノ
自分の経験した過去を投影するような懐かしさを感じるシーンやアイテム
例:制服、体育祭、プール、教室、黒板、部活
③何気ない現在の日常のワンシーンや、想像の余白
例:大学での日常、ミステリアス・アンニュイな表情

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被写体や撮影シーンの要素に加えて、どこか懐かしい雰囲気の演出も重要です。
ラブグラフ駒下さんは、後述の参考記事の中で、フィルムカメラで撮影したような風合いの「エモい写真」が人気になった経緯を以下のように推測しています。

スマホのカメラや画像加工アプリは年々進化して、高画質で「映える」写真がプロのカメラマンでなくても撮れるようになりました。すると、感度の高い人々は「人と違う偶発的な写真を撮りたい」と考えるようになり、フィルムや使い捨てカメラの仕上がりや味わいが再評価されました。

デジタルカメラやスマホのカメラで誰もがキレイな写真を撮り、レタッチすることができるようになった今だからこそ、フィルム撮影特有の温かみや偶発性に価値が見いだされるようになったようです。
このような流れの中で、フィルム撮影を行わない人の間でもフィルム風の味わいのある加工がトレンドとなりました。

カラフル&派手なインスタ映えはすでに過去のトレンド!?

このようにエモい写真を見ていくと、「インスタ映え」が流行語大賞になった2017年ごろとは写真のトレンドがすっかり変わっているということが分かります。

2016~2017年頃は、彩度の高い加工や派手なアイテムがインスタ映えの要素とされていて、SNOWのキラキラ・動物のフィルター(顔認証スタンプ)が流行していたように、現実よりも華やかな印象に加工した写真がトレンドで、写真をとにかく「盛る」ことが重要視されていました。

<2016~2017年の投稿例>

しかし、2018年以降にトレンドとなっているエモい写真とは、「盛る」というよりもむしろ自然体で日常に近く、背景のストーリー性に価値を見出したものと考えられています。

目に見えるモノに焦点を当てた「盛り」のインスタ映えと比較し、目には見えない背景のストーリーに価値を見出した「エモい」写真は、抽象的で一見理解しにくいように感じますが、想像の余白が共感を呼び、心に響きやすいのです。

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※図は下記の参考記事より一部抜粋

参考記事:インスタ映えに続くSNS上のトレンドは「エモい写真」。その魅力と拡散力の理由とは
https://bae.dentsutec.co.jp/articles/instagram-03/

「エモい写真」はどこに集まる? 人気のハッシュタグ10選

ここまで紹介したような「エモい写真」、一般のユーザーはどのような画像を撮影し、SNSでシェアしているのでしょうか。
Spark! のメンバーで、Instagram上で「エモい写真」と一緒に投稿されているハッシュタグをまとめてみました!

【Spark! メンバーイチオシ!】
「エモい写真」が集まるハッシュタグ10選

①昭和以前の雰囲気のあるアイテムやモチーフが多く投稿されている

#昭和レトロ
#ノスタルジー

②主に高校生活の様子が多く投稿されている
#青春広告部
#青春フォトグラフ
#1095日のタイムリミット

③テーマを問わず「エモい」雰囲気のフィルム写真や、フィルム風の加工を施した写真が多く投稿されている
#写ルンです
#生活とフィルム
#デジタルでフィルムを再現したい
#儚くて何処か愛おしい様な
#その瞬間に物語を

これらのハッシュタグをつけて投稿されている写真の中から、いくつかをピックアップしてご紹介します。

#ノスタルジー より
▼レトロな建築✕セピア風の加工


#デジタルでフィルムを再現したい より
▼昭和レトロなアイテム✕フィルム風の加工


#青春広告部 より
▼高校生の日常風景✕フィルム写真

被写体やシーンと、画像の色味などの風合いの2つがうまく掛け合わさることで、より共感しやすい写真になっているのではないでしょうか。

「エモさ」も「盛り」も大事! Instagram投稿から見るユーザーの使い分け

この記事では、理想を投影したような華やかな演出や、カラフルで派手な「盛り」のトレンドが以前と比較し下火になり、「ありのままの日常」を肯定した自然な写真(=エモい写真)がトレンドになっているということをご紹介しました。

しかし、こういったトレンドの渦中を生きている若年層が「等身大でありのままな写真」だけを楽しんでいるわけではないということも押さえておきたいポイントです。

例えばこちらの記事でも紹介したように、プリ(プリントシール)やカメラアプリで自分好みの写真写りに編集する(=「盛る」)ことは変わらず人気。
※「盛る」とはカラフルで派手な物や加工による装飾のみを指すのではなく、理想に近づけるために編集するというニュアンスを含みます。

高校生の投稿例を見てみると……
「自分で自分を『かわいい』と思える写真を残したい」という動機があるときにプリやカメラアプリで「キメた」写真を撮影することはもちろん定番です。

以前(2016~2017年の流行)のようにカラフルで派手な加工ではなくシンプルな白い背景が人気なので、その点を比較するとナチュラルな印象ですが、髪型やメイク・写真写りにこだわって「盛る」ことに変わりはありません。

「日常の何気ない瞬間を写真にしたい」「いまこの雰囲気を写真に残して振り返りたい」という動機があるときの手段として、「エモい写真」の雰囲気に加工することやフィルムでの撮影を選び、思い出をより味わい深いものに編集することを楽しんでいるんです。

プリも写真も自己表現の一つ。多くの若年層ユーザーが自分好みにトレンドを取り入れながら楽しんでいます。

ソーシャルメディアなどを通して日々自分なりのセンスを磨き、表現しているこの世代。トレンドをひとくくりにしたり、背景となるストーリーを考慮せずに「形式だけ真似る」のではなく、彼らの楽しみ方にきちんと寄り添っていく必要がありそうです。

多様で移り変わりが早く、奥が深い「写真」のトレンド。
これからの動向にも注目です!

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