軽い気持ちで社員3人スタートアップに入ってしまうと一体どうなるのか
どうもR2K1と言います。現在上場企業で働いていますが、大学時代は2回留年、1回休学しています。ぼっちで、しかもADHD持ちです。ここはそんな僕がどうやってなんとか生きていけているのかを書いていくnoteです。
下記のページが目次,インデックスです。
M&Aは起業家の夢
起業家にとって、M&Aは目標の一つです。
上場は高いハードルがありますが、事業売却できれば数千万〜数億円が手に入るかもしれないです。
そうはいっても、なかなか上手くいくものではありません。
実は、私は社員3人のベンチャー企業の2人目の社員でした。
そして、そのベンチャー企業は私が入社して2ヶ月後にM&Aされたのです。
この記事では、いち社員としてM&Aされた会社の内側がどんな感じであったかを紹介いたします。
大学2留1休 からツイッター採用でベンチャーに入社
私は大学にろくに行かず、アルバイトばかりして過ごしていました。
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そのせいで大学に7年通うことになるのですが、
ある日、ツイッターを開いていると元々応援していた人が起業していました。
そこで、DMをしたところ採用される運びになりました。
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業務
会社でどんな業務をしていたかというと、ほとんどが雑務でした。
私の映像制作スキルを活用することもたまにはありましたが、ほとんどが起業後の事務処理などの雑務でした。
社長と車を出して役所にまわったり、取引先まで届けたりする日が1ヶ月続きました。
2ヶ月目にはいってようやく制作の仕事が増えてきましたが、
業務時間の10%ほどでした。
あとの90%は社長から依頼された分析や、新事業の骨組みをプレゼンする資料など、あとは勉強していました。
会社の売上はほとんど社長が営業で手に入れた業務を外部に委託することで成り立っていました。
「会社の資本的に、あと6ヶ月ぐらいで潰れそうだな...」
そんなことを考えながら、私はとにかくこの体験をどうやって今後に活かしていけるだろうか、とか考えていました。
社長からの呼び出し
入社してから2ヶ月が経過しました。
ある日、社長が会議室に社員全員(2人)を呼び出します。
「大変突然なのですが、うちの会社は来月からX社になります」
「え?」
「いわゆるM&Aみたいな感じです」
あまりに突然だったので、私はびっくりしました。
何よりびっくりしたのは、そのX社は私が元々入社を願っていた会社だったからです。
私は
「これ絶対に詐欺だ」
そう思いました。
スタートアップ詐欺
「なぜ詐欺?」
と考えるかもしれません。
実は「起業詐欺」「ベンチャー詐欺」みたいなものが存在します。
この詐欺の手法は以下の通りです。
・やる気のある学生を入社させる
・「教材,資料,データ,道具,税金,準備金」などと理由をつけて社員から金を受け取る
こういったものです。
私は今回の詐欺はこんな展開になるのではないかと予想しました。
・M&A先の企業(X社)の役員を名乗る人物とMTGする。
・社長からM&A前に資本チェックがあるけど現金が足りないと言われる。
・M&Aされるまでの数週間だけ、現金を口座に貸して欲しい。
実際、こういう詐欺にあったことがある人と私は話したことがあります。
そういう詐欺を働く会社は、とても居心地が良くて楽しいので、
そういった楽しい仲間のリーダーである社長から頼まれると、
普通は拒絶するような依頼でもOKしてしまうらしいです。
他にも良くあるのは
「上場前の審査に費用が必要だから貸してくれ」
といったものです。
社員に「この会社は上場する」と嘘をついて、ストックオプション(社員に株を特別な条件で渡す仕組み)を出した上で、こんな依頼をされたら欲に目がくらんでお金を出してしまう人は沢山いるでしょう。
ベンチャー、スタートアップに入社するような方は、冒険心にあふれていて、リスクを取ることに抵抗が少ないです。
情熱とやる気を逆手にとり、そこに微量の「人間の欲」を混ぜることで、
こうも巧妙な詐欺の手口が出来上がるのかと感心します。
私は完全に今回のことは詐欺だと思ってました。
でも、それはそれで面白いからいいか、と思い特に気にもしていませんでした。
社長の人柄
怪しいと思ったのは、社長の人柄が原因です。
彼は当時、大変若かったです。私よりいくつも下でした。
若干二十数歳にして、投資家から資金を引っ張ってきただけあって、
若い見た目だけど、35歳くらいの雰囲気と貫禄のある方でした。
しかもイケメンで、低音ボイスがセクシーです。
笑顔がめちゃくちゃ可愛らしかったですね。
ですが、問題がありました。
めちゃくちゃ暗い人なのです。
私の覚えている限りですが、社長と会話したのは10時間もいっていないと思います。
会社を常に留守にしていました。連絡はslackのみ。
そして、いつも妙にイライラしているような雰囲気でした。
彼自身は「私は怒ってないし、イラついてもない」とのちにバトルしたさいに言われましたが、社員を威圧する態度はすごかったです。
激務に苛まれていく社長
社長は睡眠時間が2~3時間でした。
朝から夕方は営業と外回り。夜は会食。夜中は取引先の夜型アーティストとのMTG。
私が出会った2ヶ月の間だけでもどんどんと痩せていっていました。
「社長ってご飯食べてるんですか?」
「飴の他には食べれてないです。固形を胃に入れると戻してしまいます」
こんなことを言う始末です。
断っておきますが、私はこの社長に大変感謝しています。
大学7年通って人生お先真っ暗な私に職を与えてくれ、
それ以上に私が入社したかったX社まで私を連れてきてくれました。
X社での給与の条件も大変良かったのは、社長が私の給与を粘り強く交渉してくれたからです。
ですが、「ワーカホリック」である自分に酔っているようなこの発言に対して、私はゲンナリした記憶があります。
「社長が倒れたら私たちは何もできないんですから、しっかり健康管理も仕事だと思ってください」
そんなことを言ったのを覚えています。
睡眠しないワーカホリックタイプの上司の下にはつきたくないものです。それも自分で誇りに思っているタイプは。せめて申し訳なさそうにして欲しいです。自分の体に対しての労働違反行為だと思うべきです。
これだけ働いて、精神的に廃れていけば、何かの理由からキャッシュが必要になって社員を騙して金を巻き上げてしまうこともあり得るのではないかと私は思ったのです。
絶対に詐欺だ
そんなこんなで、私はいつ社長が自分に金を要求するのかとビクビクしていました。
そしてついにX社へ訪問して役員と面談すること日になりました。
オフィスの会議室での面談という話でした。
「なんだかんだ理由を並べてそこらへんの喫茶店で済ますんじゃないかな」
そう考えていた私でしたが、社長と都内の有名オフィスビルに入ると、入館証をもらい、そのままX社のオフィスにつきました。
「あれ?そうしたら、MTGは本当だけど別件のMTGをM&Aの話にすり替えるるつもりかな」
まだ私は考えていました。
大学時代にぼっちだったせいか、自意識過剰と被害者意識で頭がいっぱいだったのです。
そして、なんと私たちは社長室に案内されたのです。
メディアで良く見る社長とついに面談
するとなんとそこには、メディアで良く見かけるあの社長が座っているのです。
私は流石に
「これはいよいよ本当なんじゃないか」
と思い始めました。
私は歩く速度から息の仕方まで意識を隅々まで張りめぐらし、失礼のないようにしようと心がけました。
MTGの内容は、社長以外の社員2人の自己紹介や、これからM&A後に取り組んでいく事業について、そしてその事業を強力に手助けしてくれる、大企業から協業にGOの返事が出たという話などをしました。
「これ...現実なのか?3ヶ月前まで銀行の残高が8000円だったのに」
私は夢見心地でずっとその日を過ごしていました。
面接パスで入社
「普通は面接するけど、今回はもうそのまま皆さんに入社してもらいます」
そのセリフが社長から飛びてた時はもう、身体中が喜んでいました。
血管にシュワシュワとした物質が全身の流れ込んでいたかのような、快感でした。
「ああ、ついに憧れていた会社に入社するのか...」
大学7年間の苦労がようやく報われたような気がしました。
しかもこの日は私の誕生日でした。
人生でいちばんのサプライズ、そして世界からの最高のプレゼントでした。
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