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「誰かのきっかけを作りたい」〜会原実希×忍翔の即興2人芝居ができるまで〜


2022/5、noteに投稿された記事に惹かれた一人、
会原実希さん。(以下、みきのん)


彼女と一人のインプロバイザーが創る公演記録。



■取材のきっかけ

始まりは別件のお誘いでメッセージを送っていた。
会ったこともなくTwitterしか知らなかった。
この返信に思わぬ一言があったおかげで、自分でも驚く行動に出る。

Shall We Impro?についてはこちら

当時劇場にいたそうで驚きと同時に恥ずかしさがあった。
信じられない。
自分の初舞台が縁を呼び、私へ戻ってきた。

会場となるハーフムーンホールは懐かしい場所。

私の演劇人生はあの場所から始まったと言っても過言ではない。



どんな想いで忍翔さんと
舞台をやろうと思ったんだろう?
話を聞いてみたい。


その一心から勢いで取材を申し込んでいた。
せっかく話を聞くなら、写真も撮りたい。


興奮&緊張で誤字。


会ったことがないのに、快く取材を受け入れてもらえた。感謝の一言に尽きる。

これがきっかけで、迷った結果、カメラを買っていた。


今回はどんな景色が観れるだろう。
自分でも知らない感情に出会える。何かにつながる。
そんな根拠のない予感がした。


■穏やかな春のような人。

取材初回日。
緊張していたが彼女の穏やかな雰囲気に包まれ、以前からの知り合いのような軽さで進む。


3月、さきさんと忍翔さんの舞台を観た時、インプロを広める活動をしたいなと仰っていて私と同じだ!!って。シンパシーを感じました!!



恥ずかしさもあったが嬉しかった。
初舞台が3月でなければ、今ここにいないのかもしれない。そう思うと不思議な縁を感じる。
やりたいと言ったことをさせてくれる方々が周りにいるのはありがたい。



ーーー忍翔さんとの出会いは何だったのでしょうか?

大学生の頃ですね。脚本芝居のキャストとして忍翔さんをお呼びして。その時にインプロをやっている方と知りました。
インプロってやったことはあったけどよくわかっていなかった。
忍翔さんにちゃんと説明をしてもらって面白いなって思いました。


ーーーインプロの稽古って見たことないし想像がつかないんですけど、稽古の内容は決まっているんですか?

今までの輝きがさらに嬉しそうなエネルギーを放つ。

私、念願の忍翔さんと2人インプロができることが嬉しくて。
嬉しすぎて舞い上がりそうだなって思ってて。
その状態でずっと舞台にいそうなので、ちゃんと立てるようにしてもらう稽古かな。


数年ぶりに友人に会うような喜びで溢れていた。
憧れの人と初めての2人舞台は、きっと彼女にとっても最高の思い出になる。


■本番、のような稽古。

長編でずっと突き進むか、短いシーンをを少しずつやるか?
ショーの形式を決める。



決めると言っても話し合いはなかった。

1本でじっくりやりたいかなぁ。
みきのんの希望で「じゃあそうしよっか」と忍翔さんの即決で決まった。


お客さんと繋がりたい。


みきのんがお客さんからアイデアをもらう提案をする。

「この2人の関係性って何に見える?」と聞かれたので「姉と弟」と提案する。
決めたのはそれだけ。


どちらからともなく会話が始まる。
場所やお互いの抱えているものを、立ち姿や雰囲気を見た印象をそのままに言葉にしていく。

相手の細かい動き、雰囲気で自然と言葉が生まれてくる。

初めて観る人は台本があるような自然さに衝撃を受けるはずだ。

まるで台本があるかのように言葉を発し、葛藤や場面転換が行われるのだから。

みきのんが葛藤の渦の中にいる。
その間、忍翔さんはじっと待っていた。



みきのんは1役、忍翔さんは弟役を含め3役を演じた。
全て彼女に関わりがある役で、どれもなくてはならないピースだった。



本番は嬉しくて舞い上がりそう!



ワクワクするみきのんに「そうなったらそれも使おう」と笑顔で忍翔さんも返す。


そう、予想外をお客さんは一番楽しみにしているしその日の状態を舞台に持ってきてもらえるとワクワクするのだ。


忍翔さんは「久しぶりに長編やったけど、意外とできたなぁ」と嬉しそうにしていた。


反省はありつつ、「楽しかった!」と言い切るみきのんは来週の本番がより楽しみになったようだ。


なぜかわからないけど、私も嬉しかった。




8/28(日) 公演2日前

みきのん×忍翔さんによるTwitterのスペース。

みきのんは「忍翔さんを広めたい」という想いもあったらしい。
忍翔さんは初めて聞いたなぁ、と驚きつつ嬉しそうな声だった。

忍翔さんはみきのんが大学生でインプロを始める前から知っている。
みきのんが今もインプロを続けていることを感慨深く思っている様子だった。

早く本番が来てほしいけど、終わってしまうのも寂しいなぁと呟くみきのん。


どんな物語ができるだろう。
みきのんの逞しさと脆さは物語でどのように影響を与えてくれるだろう。
忍翔さんは辛い時期を経たからこそ、生まれる言葉が必ずある。

即興芝居はより人生が反映される。身を持って体験していたので確信がある。


■8/30(火) 夢が叶う日。

秋の気配に包まれる。

時計の針をゆっくり進めるように、穏やかな雨が降り出す。


思わぬ客人。



会場は地下。非日常の始まりを予感させる。
初めて訪れた時の興奮、不安が蘇る。
記憶が、というより身体が覚えている。



興奮とハプニングで寝れなかった、と言いつつ疲れが見えなかったみきのん。

楽しさが勝っているからだろう。


打ち合わせ中。


軽い打ち合わせのみで15分もしないうちに終わり、お客さんが入るのを待つ。
ショーはこうして作られるのか、とアットホームな空間に心が緩む。

うまく撮れるだろうか、と少しの不安も覚えつ「ひたすらシャッターを切り続ける」と自分に言い聞かせる。


心待ちにしていた夜。


お客さん2名から、関係性と場所をもらう。


【幼馴染】【神社】



なんとも言えない懐かしさが漂う。

互いに想いを秘めながら進んでいく。






想いが届いた瞬間。

幸せそうな日々を送る2人。ところが...



照明と音楽が、不穏な未来を予感させる。
何が起きるのか、茂みの中を手探りで進むように
物語は進む。



深い、深い底。




目の前に立つ忍翔さんの中に何を見たのだろう。





数ヶ月前の忍翔さんの内側を見ているような気がした。撮りながら苦しかった。

最後は二人で。
それぞれの未来を描き、口に出した想いは今だから出てきた言葉だった。





これからも続いていく日に夢を見ながら。

後日インタビュー。アーカイブで作品を観て質問がどんどん浮かんできた。


ーーーお久しぶりです!一週間ほど経ちましたがどうでした?

楽しかったなぁって。今までこうしようと考えている自分がいたけれど、考えすぎる自分を捨てられたのはよかったかな。


ーーーお客さんから「幼馴染み」「神社」という設定をもらった時はどうでしたか?

予想外。今まで経験ほとんどなくてサプライズをもらったなぁ。



ーーー場面が変わると同時に男性の性格もちょっと変わりましたよね。どう感じました?

今までと流れが変わったのを感じたから、何か支えってことかなって思った。
何かが乗り移ったのかなって。


(すごい、もうその時点で何かを察してたんだ!)



ーーーケンカするシーンは照明、音楽が後押しをしてくれたように感じました。

そうそう、音楽が早くなるたびにヒートアップしていったし、照明も暗くなって2人きりになる感じ!



ーーー途中、みきのんが声だけで入ったシーンがあったじゃない?あれはそうするべきだと思った?

そう、あれはそう思ったね。

(人には察する力があるのかもしれない...)


ーーー後半に忍翔さんが一人ステージにいる、少し長めのシーンがあったけどやっぱり自分はでない方がいいと思いました?

今思うと、途中みたいに声だけで入った方が良かったかもしれないって思ってる(笑)


ーーー観客に見えてるのは忍翔さん一人だけだったし、あのシーンの最中は苦しそうでした。


わかる。観客としては苦しそうだなって思ったけど、キャストとしては「待ってました!」って。


ーーーそれもなんとなくわかります(笑)
その葛藤を見たかった!って。


あれをどこかで使うだろうなって思ってたから。
いいタイミングできたなぁ、と。


ーーー楽しみで怖いですけど、ぜひ私が共演する舞台も来てください!

わかった! 楽しみにしてるね!




【Special Thanks】

【受付】出店菜生(さんぶんのいち)

【照明】平野みくてぃ (Second Circle)


【即興ミュージシャン】村田貴章(インプロカンパニーPlatform)


【舞台写真、文責】中島早紀













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