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ピカソ 青の時代を超えて

先日、ポーラ美術館にて会期中の「ピカソ 青の時代を超えて」に行ってきました。

ポーラ美術館、緑に囲まれていて、行くだけで心から癒される美術館です。一番好きな美術館かもしれない。

ちょうど紅葉の時期だったので玄関のガラス越しに美しい景色が見れました。

さて、肝心の展示ですが、一部ジョルジュ・ブラックなど関連人物の作品もあるものの、ほぼピカソの作品で構成された贅沢な内容でした。

「青の時代」というのは、1901〜1904年ごろにピカソが描いた絵画の総称として使われます。当時彼はまだ20歳前後。親友のカサヘマスの失恋を苦にした自殺に大きなショックを受け、悲しみや冷たさを題材にした青基調の作品を多くつくりました。

3年は“時代”というには短いようにも思いますが、ピカソほどの偉大な画家のキャリアにおいては大きな意味があったことが分かりますね。

そしてこの企画展の良いところは、青の時代の作品だけでなく、それを乗り越えてキュビスムや新古典主義に至るまで、作風の変遷が見れるところにあります。

ピカソといえば、と言われてどの作品を思い浮かべる人が多いでしょう?やはり「アヴィニョンの娘たち」かな。私は小学生の時、ゲルニカが教科書に載っていて、模写もさせられました。その時は“させられた”という気持ちでしたよ…こわい絵だなぁ、くらいの感想しか持てませんでした。ピカソはこわい絵を描く人というイメージが定着しました。

そういう、ピカソ=◯◯というイメージがある方がこの展示に訪れると、「えー、ピカソってこんな絵も描いたの?」という驚きが得られると思います。

センスがあるからいろいろ描ける、ではないと思うのです。生涯にわたってとにかく熱量と行動量がずば抜けていた。私が多様な作風で描けるのはそれだけ行動してるからだ、と言われればこんなに説得力のある画家もいません。

あまり内容を詳らかに書いてもこれから行く人にお楽しみが無くなってしまうので、個人的に印象に残った1枚を紹介します。

「母子像」(1921年)

悲しみの青の時代を乗り越え、1917年ごろからピカソはバレエ団の舞台装飾と衣装を任されるようになります。そこでバレリーナのオルガと出会い結婚し、長男パウロが誕生しました。これはオルガと生後2ヶ月のパウロを描いた作品です。

なんてことない母子像と言われればそうなのかもしれませんが、青の時代、アフリカ彫刻の時代、キュビスムの時代…とある種非現実的で挑戦的なスタイルの変遷を見た上でこの作品を目の当たりにしたときは、神々しさと同時に、どこか懐かしく愛しい気持ちを覚えたのです。これは展示方法の妙だなぁと思いました。

身体の部位は大胆にデフォルメされていて、色使いも少ない。さっと短時間で描いたことが予想されますが、それなのに母子の美しさや儚さをよく表している。それはピカソ自身の家族を慈しむ気持ちがキャンバスに滲み出たものだと感じさせます。

悲しいこと、辛いことが降りかかっても、人はどうにか、人と人との繋がりの中で生きていくのですね。


美術初心者でも楽しめること間違いなしの展示会です。お近くの方は是非足を運んでみてください。

展覧会情報(公式HPより)

ポーラ美術館開館20周年記念展
ピカソ 青の時代を超えて
 
The Pola Museum of Art 20th Anniversary Exhibition
PICASSO: THE BLUE PERIOD AND BEYOND

会期
2022年9月17日(土)~ 2023年1月15日(日) 会期中無休

会場
ポーラ美術館 展示室1, 3

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