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「いい奥さんになりますね」と言われてモヤっとしたのでいろいろ考えてみた

最近、初めて会った男性と話していた時に、「わたし料理が得意なんです」と言ったところ「いい奥さんになりますね」と言われた。

ちょっとモヤっとしつつも、普通のことかなと思って一旦保留にした。しかし、そのモヤモヤがずっと引っかかっていたので、そのモヤモヤの正体はなんなのか、考えてみた。

(※ちなみにその方はこのnoteの存在を知らないので、これを読んで自分のことが晒されている!と嫌な気持ちにさせてしまう心配はないかと思います。)


まず、わたしはその人に結婚願望があるなんてひとことも言っていない、ということ。なぜか結婚する前提にされている。「なれそうですね」とかでもなく「なりますね」の断定形で言われた(笑)

そして、わたしは結婚願望はないわけではないけれど、結婚しても別居婚とか2拠点生活(パートナーとの家ともうひとつの自分の家)とか、夫婦でシェアハウスに住むとかもアリだなと思っているので、

「旦那さん」と毎日一緒に暮らして、「旦那さん」に毎日ご飯を「つくってあげる」ということはあまり想定していない。

そして、わたしは料理は得意と言ったけれど毎日作るわけではなく、自分のためにはいっさい作らず、基本的に誰かが家にいたり、来たりしたとき、つまり誰かのためにしか作らないし、

めんどくさいときや体調が悪いことも多いので、もし結婚して家族という「ご飯を食べてくれる存在」ができても、毎日つくるとは限らない。(とかいいつつおいしく食べてくれるひとだったら一緒に食卓を囲みたいし、作っちゃいそうな気もするけれど(笑))

毎日作ることが想定されていなかったとしても、なぜ料理が得意だと「いい奥さん」ということになるのだろう。でも「掃除が得意」とかでも「いい奥さんになりそうですね」と言われる確率は高そう…家事全般だとうそうなるのか!?でも「DIYが得意」とかだと言われなさそうだなぁ…


そして、「いい奥さんになりますね」という言葉は耳にしたことがあるけれど、「いい旦那さんになりますね」という表現は前者よりも耳にすることが少ない気がする。

そこには、結婚に関して女性ははじめから役割を求められているケースが多いのに対して男性は「旦那さん」になるにあたって、とくに役割を求められていないという非対称性があることにも、今回のことを通して気づいた。

とはいえ、電気を交換してくれるとか、日曜大工(それこそDIY)ができるとかは、潜在的に求められがちかも。


そして、「奥さん」という言葉はもともと、広い屋敷の入口から少し奥まったところから人前に出ることの少ない、武家階級などの配偶者を「奥方」「奥様」と呼んだことに由来する言葉で、

家庭の中に押し込められている感じがするため、今はあまり無難とされていない。

あくまで憶測だが、実際この「いい奥さんになりますね」と言ってきた人の「奥さん」という言葉にも、「台所など家の奥で家事をしてくれる人」というようなイメージがこめられているような気がする。(あくまで憶測。)

それでいうとわたしは料理以外の家事はそれほど得意というわけではないので、もし「家事が得意=いい奥さん」とその人が思っているのだとしたら、余計にわたしは「いい奥さん」にはなれないし、

そもそも家事はパートナーとであれ、シェアハウスの同居人とであれ、分担したいと思っているので、そういう意味でも「(家事ができる)いい奥さん」にはなりたくない…。

(あと多動なのでずっと家の奥にはいれない…(笑))


そして、「いい奥さん」という表現には「ジャッジをする」ような視点が含まれている気がする。

パートナーが相手に対して「いいパートナーだなぁ」と思うことはあるとしても、パートナーを含んだ誰かがそもそも「いい奥さんですね!」というように「いいパートナーかどうか」ジャッジするようなものではない気がする。(つい言ってしまいがちだけれど…)


ここまでいろいろと書いてきたけれど、そもそも「いい奥さんになりますね」という言葉には、ここまで大量に議論の余地があるにもかかわらず、

そのことがまったく頭の片隅にもなく、なんならわたしを褒める意味でなにげなく「料理が得意=いい奥さん」というステレオタイプを押し付けることができてしまったそのひとに対して、何はともあれ嫌悪感を抱いたのかもしれないな…というのがわたしのモヤモヤの正体、という結論。意外とあっさり。


おわりに

たった一文についての話で、しかもなんとなくモヤっとしたくらいのことだったけれど、考えてみるといくつかのジェンダーに関する奥深い問題が明らかになった気がして、「いい奥さんになりますね」と言った方に、感謝するレベルで学びになった(笑)

そして、このことを考えていた日はちょうどジェンダーに関するイベントを行った日だったので、より深く考えられた気がする。

ちょうど関連しそうな記事を発見したのでこちらもシェア。


それに、「これからの家族のかたち」にも関係することだなぁと書いていて思った!男女ふたりのパートナー同士で暮らすことだけが家族じゃない。


そして、今までのわたしだったら「こんな小さなことであれこれ言う自分って心狭いのかな…」とか思ってしまっていた気がするところを、

自責にしたり流したりして終わらせなかったこと、ちゃんと整理して考えることでなにが問題なのか整理できたことで、「自分偉い!」と思えたのがなにより!(笑)

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