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「大河ドラマもこれでより理解できる~『さよ 十二歳の刺客』~」【ヤングアダルト=YA ②】ネタバレあり

        『さよ 十二歳の刺客』 森川 成美 著 (くもん出版)
                          2019.10.15読了                                                 
現在放送されているNHK大河ドラマの『鎌倉殿の13人』は演出や脚本がこれまでの大河と違って、現代の私たちにもわかりやすいように読解されており、とてもおもしろく観させていただいています。
 
元々私は日本史に弱く、特に鎌倉時代からはもう教科書のページが漢字の羅列で誰が誰やら、何が何やら??でかなり苦手意識が先に立ち、日本史の試験の点数は惨憺たるものでした。
 
当時は大河ドラマのような時代劇も観ていなかったし、学習漫画も読まなかったし、物語小説も海外ものしか読んでいませんでした。
それを思い返すたびに、せめてそういうものに少しでも触れていたらまだ理解が深まったのではないかなと悔やまれてなりません。
 
今回ご紹介する『さよ 十二歳の刺客』はまさにドラマの時代と重なります。

 
源平合戦で源氏が平氏を討ち、生き残った平氏たちは各地に散らばります。
そんな中ひとりの姫君・さよ姫も逃げようとしますが、もはやこれまでと水の中に身を沈めることを、いっしょに逃げてきた侍女に勧められます。
 
しかしどうにか生き延びたさよ姫は、藤原氏の配下である清原良任のもとに身を寄せ、荘園の中で匿われることになりました。
無念の思いを秘めながらも、乗馬し弓を射る練習に日々まい進していたのです。
 
ある日、藤原氏の邸宅に源義経が頼朝に追われ逃げてきたとの情報を得ます。
その義経こそがさよの一族を破滅させた憎き敵であり、さよがいつか家族の敵を討つべくそのために流鏑馬などの鍛錬をしていた相手だったのです。
 
こんな機会はそうそうないと、良任とともに平泉へ行き、ついに藤原氏の邸宅に招かれることになりました。
 
馬に乗るため男装していたさよは男子と勘違いされ、これはチャンスとばかりに勘違いされた男の身のまま住み込むことに成功します。
そして密かに仇討の機会を狙っていました。
 
そんな中さよは、義経の息子と出会い、乗馬の競争などをして親交を深めていきます。
そして義経とも必然的に対面することとなるのです。
 
時は熟し、いよいよ義経を討つチャンスが訪れようとしていたのですが……。
 
 
 
復讐という一念で、天下の義経を討とうとするさよの心に常にある無念さと、実際に本人と会い、彼にも守らなければならない者たちの存在を知り、葛藤する切なさがひしひしと伝わってきます。
 
勇気という言葉の尊さがしみる物語でした。
 
そもそも児童書に分類される本ですから、日本史が苦手な私でも読みやすい文章で、時代背景も理解できました。
ああ…こういうものを、現役時代に読んでいればという後悔を再び感じざるを得ませんでした。
少しは興味を抱き、苦手意識が多少薄らいで日本史の試験への対策もできたのじゃないかなと思われます。後悔先に立たず…。

 
※タイトルの【ヤングアダルト=YA②】のYAとは、ヤングアダルトの略語です。これからこの表記で書きたいと思います。
 


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